1.「診療報酬」コロナ禍で初めて改定へ 特例、補助金どうするか焦点
朝日新聞 デジタル 11月4日 |
医療機関に支払われる「診療報酬」について、来年4月の改定に向けた本格的な議論が始まりました。診療報酬は国が2年ごとに決める公定価格です。なじみの薄いテーマかもしれませんが、医療関係者の賃金や医療の質、患者の窓口負担にも影響します。今回の改定の重要テーマはやはりコロナ対策。今後の感染症対策もにらみ、現在の特例や補助金を平時の診療報酬に組み込むかどうかなどが焦点になりそうです。
2日に開かれた厚生労働省の社会保障審議会で、来年度改定の基本方針案が明らかになった。診療報酬は2年ごとに見直され、今回は新型コロナウイルスの感染拡大後、初めての改定となる。政府は年内に診療報酬全体の改定の増減を決め、その枠組みのなかで、日本医師会や健康保険組合連合会の役員らから選出された中央社会保険医療協議会が来春からの個別の報酬額を固める。
巨額の医療費 日医と国が綱引き
新型コロナ対応をめぐっては、国は昨年から段階的に診療報酬を上乗せできる特例措置を導入した。今年4〜9月にはコロナ診療の有無にかかわらず、感染症対策の費用を加算する措置などが一時的にとられた。初・再診料に50円、入院ならば100円が加算された。6歳未満の外来であれば、1千円が加算できる特例になっている。9月末にはこの加算は打ち切られたが(6歳未満は500円に減額)、病院などがコロナ対策をとれば実費で最大10万円を支給する新たな補助金が設けられた。
こうした特例や補助金について、診療報酬として持続的な形にするのかどうか、様々な検討が進められる。また、感染症流行時に病床を確保できるよう、地域ごとの医療機関が役割分担していくことが重要だが、それを診療報酬で促す仕組みを整えるのも課題だ。菅義偉前首相が打ち出した来春からの不妊治療への保険適用に向け、どのような治療方法を適用の範囲に含めるのかも今後議論される。
今回の改定で、診療報酬全体の引き下げが継続するかどうかも主要テーマだ。全体は前回の2020年度の改定まで、4回連続で引き下げられてきた(消費増税の影響で実質的なマイナス改定だった14年度を含む)。増える国庫負担を抑えるのがねらいだ。
20年度の概算の医療費は約42.2兆円。診療報酬全体のうち医師・看護師らの人件費などにあてる部分は日本医師会などの要望でプラス改定にしつつ、薬価の部分を引き下げることで、全体としてマイナス改定で決着してきた。ただ与党公明党は先月の衆院選の政策集で、診療報酬改定における薬価の過度な引き下げに慎重な姿勢を示し、薬価での調整に頼ってきた例年の手法で全体をマイナスにできるかは見通せない。
一方、岸田文雄首相は医療や介護・保育に従事する人たちの待遇改善に向けて「公的価格評価検討委員会」を設ける考えで、診療報酬の改定議論にも影響するとみられる。年末までの議論では、医療機関側の収入を確保したい日本医師会や、支払いを抑えたい保険者側、社会保障費の膨張に歯止めをかけたい財務省などによる綱引きが激しくなりそうだ。
「減収の穴埋めはおかしくない」
日本医師会はこれまでの中医協などの議論で、「医療機関内での感染症対策はコロナ以外であっても有効」と主張。コロナ対策で上乗せされた診療報酬をこれからも残すことをめざす。―方、医療機関にお金を支払う健保連などの保険者側は「費用対効果でエビデンスが不十分」と診療報酬の上乗せの議論には材料が足りないとしている。
日本医師会がこうした診療報酬の上乗せを強く主張するのは、コロナ禍で病院や診療所の収入が減っていることが背景にある。日本医師会の城守国斗理事は、地域医療の安定のためには診療報酬による減収の穴埋めが「決しておかしなものではない」と主張する。
健保連の幸野庄司理事は「診療報酬は診療の対価であり、減収の穴埋めは絶対にあってはならない」と反論している。厚労省は病院や診療所、歯科医院などを対象に経営の実態を調べる調査票を7月に配布した。今月中に「医療経済実態調査」として公表し、今後の議論のたたき台にする考えだ。
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2.久々にマスク取ったら「あれ、老けた?」歯科医師が「顔トレ」指南
朝日新聞 デジタル 10月31日 |
新型コロナウイルスの感染拡大により、マスクが手放せなくなってもうすぐ2年。ふとマスクを取ったとき、鏡に映った自分の顔に「あれ」と感じた人はいませんか? それは、マスクの下に隠れた表情筋の衰えによるトラブルかもしれません。見えづらくなった「口周り」の健康を保つため、心がけたいポイントを専門家に聞きました。
職業柄、コロナ禍の前から
「マスクがずれることを気にして思い切り笑うことを避けたり、他の人との会話が少なくなったり。コロナと付き合う生活をきっかけに、口もと周りの運動量が減ってしまうケースが多い」こう話すのは、日頃からの「口もとケア」の重要性を発信し、「口もと美容スぺシャリスト」として活動する歯科医師の石井さとこさん(60)。
職業柄、コロナ禍の前から日常的に「マスク生活」だったため、以前から 「長時間マスクをしていると、顔つきが変わってしまう」「口臭が気になる」など、マスクをつけ続けることのデメリットを感じていた。
今回、多くの人にとってもマスク姿が「日常」となったことから、日頃から取り組んでいたケア方法をまとめ、昨年11月に「マスクしたまま30秒! マスク老け撃退顔トレ」(集英社)を発売。ユニークな方法が話題になっている。
「口角下がった」「ほうれい線が深くなった」
石井さんによると、顔には大小併せて30以上の筋肉があり、口もとには7割が集中している。そのため、口もとを動かす機会が減って口周りの筋肉が衰えると、顔の印象の変化に直結するという。特に、「口角が下がった」「たるみが目立つようになった」「ほうれい線が深くなった」などという状態につながることが多いそうだ。
こうした状況を改善するため、石井さんは舌をゆっくり、大きく動かすことを基本にした「顔トレ」を考案。口の中で舌を動かすことで、表情筋が刺激できる。もともと、日本語は表情筋をあまり使わない言語と言われていることから、「『顔トレ』を日常に取り入れ、表情筋を動かす習慣をつけてほしい」という。
最初の一歩「モダイオラス」
石井さんが「最初のー歩」として勧めるのは、口角の少し上、ほうれい線の延長線上にある「モダイオラス(口角結節)」と呼ばれる部分に、舌を上下に押し当てるようにして刺激することだ。モダイオラスは、表情筋の多くが集まる部分で、刺激することで筋肉が柔らかくなり、表情筋も動かしやすくなる。
回数の目安は左右10回。テレビを見るときや移動中など、気付いた時に少しずつやるといい。さらに、10秒ほどかけて口の中でゆっくりと舌を回したり、口笛を吹くような動きをしてみたりすることも、表情筋の働きを促すのに有効という。「表情筋が動くようになると、口もと周りの血流がよくなって、唇の色も明るく見えます」
口呼吸で口内が乾燥
また、マスクをしている息苦しさからか、つい口呼吸になってしまうことによるトラブルも増えているという。口内が乾燥して唾液の分泌量が減り、歯周病や虫歯の原因になったり、口臭などが気になりやすくなったりするからだ。
唾液を増やすためには、水分を意識的に取ったり、よく咬むことを心がけたりするほか、顔トレで舌を動かすことも効果的。石井さんは、「顔トレは、―石ニ鳥なんです」という。石井さんは「マスク生活は気分がめいることも多い。でも、マスクのおかげで『誰にも見られずに顔トレができる』メリットもある。顔トレを、マスク生活の楽しみの一つにしてもらえたら」と話す。
顔トレに役立つ雑貨などの商品も人気を集めている。生活雑貨を取り扱う渋谷口フトでは、マスク生活で「しわが深くなった」「ほうれい線が気になる」などの客からの声を受け、スキンケア用品やトレーニンググッズの品ぞろえを拡充。昨年同期と比べ、全国の店舗での売り上げは2倍以上に伸びている。あごやほうれい線のあたりに貼るフェイスマスクのほか、表情筋をほぐす口―ラー、電気刺激を与えて顔の筋肉を鍛える機器などが人気。
広報担当の高橋祐衣さんは「自宅にいる時間が長くなり、トレーニングやケアをしてみようという人が増えている。ビデオ会議の画面に映る自分の顔を見て驚いたという男性も多い」と話す。
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3.新型コロナ 3回目接種、希望者全員 2回完了から8ヵ月後 厚労省方針
毎日新聞 10月29日 |
厚生労働省の予防接種・ワクチン分科会は28日、新型コロナウイルスワクチンの3回目の追加接種について、2回の接種を終えた全ての希望者を対象とすることでー致した。米欧では高齢者や重症化リスクの高い人らに限定している国が多いが、市町村業務の煩雑化を避けるため、2回の接種完了から8カ月経過した人は年齢や属性に関係なく接種を受けられる体制とする。厚労省は11 月に予定する会合で枠組みを正式決定。12月に追加接種を始める方針だ。
3回目は海外で先行するが、対象者を限定している国が多い。2回接種完了後、感染予防効果は時間と共に低下するものの、半年程度経過後も重症化や死亡を防ぐ効果は維持されるとの研究データがあるためだ。分科会では「その都度、対象者を拡大されると(自治体で)混乱が起きる」 (坂元昇・川崎市健康福祉局医務監)として全員を対象とすべきだとの意見が大勢を占めた。
日本では1巡目の接種を、医療従事者・高齢者、基礎疾患のある人の順で進めてきた。8カ月を目安に自治体が順次接種券を発送するため、医療従事者らから3回目を受けられるようになる。
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4. 国保保険料、上限3万円引き上げ 年収1140万円以上
朝日新聞 デジタル 10月22日 |
厚生労働省は22日、自営業者らが加入する国民健康保険の保険料の年間上限額を来年度から3万円引き上げ、年額102万円とする方針を明らかにした。医療費の増大に対応するためで、今後、上限を定める政令を改正する。主に高所得層の負担が増える。
厚労省がこの日開いた社会保障審議会の医療保険部会で示した見直し案によると、上限を現在の 99万円から3万円引き上げる。対象となるのは単身で年収約1140万円以上の世帯で、全体の1.58% (22年度推定)になるという。これまで上限額の対象としていたのは、単身世帯なら年収約1100万円以上だった。 引き上げ分はいずれも医療費にあて、内訳は基礎額に2万円、後期高齢者医療制度の支援に1万円。
国保の保険料は医療費給付の増加が見込まれるなかで段階的に引き上げられ、上限の引き上げは2年ぶりとなる。高所得者層の上限額を高くし、中所得層以下の負担が増えすぎないようにするねらいもある。
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