日本歯科医師会の発表では、5・6月において26都道府県歯科医師会で延べ3,813人の歯科医師が延べ232,940人に対してワクチン接種を行っている。全国での新規のコロナ感染者数が15,000人を超えた8月7日(土)に東京都葛飾区の大規模集団接種に出務したのでその内容を報告する。
この大規模接は7月10日に初めて開催され、この日に1回目の接種を受けた人の2回目が今回の対象者であった。接種時間は14:00〜18:00で出務時間は13:30からと15:45からの2グループに分かれ、各グループに15ブースが設置され、接種担当者15名(歯科医師2名 看護師13名)と予診担当者15名(医師)、経過観察者6名、予診票確認者9名と準備等6名(医師1名 看護師18名 薬剤師2名)の医療担当者は合計51名、他には事務ボランティアが多数参加していた。そしてそれぞれが「医師」「看護師」「歯科医師」「薬剤師」「ボランティア」と書かれたビブスを着用して勤務した。
私のグループでは15名の接種担当者は16:15〜18:15の2時間で約500人を接種し、私は32人に対して接種した。接種担当者は予診担当者とペアを組み、私は慈恵医大葛飾医療センターの若い女性医師との組み合わせであった。接種の流れは受付で書類を確認し、各ブースに振り分けられ、予診担当者が1回目の副反応の状態等を問診し、本日の接種が可能かを診断する。
接種は左右どちらの腕に打つのかを確認して、患部をアルコール綿で清拭し、準備されているモデルナワクチン0.5mlを接種後、止血を確認してチューシャバン(20mm各のテープ)を貼り、最後に予診票にサインをして終了する。その処置時間は1人約1分半であった。
事前に接種実習を受講していたが、実際にやってみて次のことに気づいた。
- 腕が瘦せている人は根元まで刺すと骨面に針先が当たりそうで心配。→三角筋の中央部をつまむように持ってゆっくり刺せばよい。
- 針を抜いたあとテープを貼るために目を離したら針刺部が分からなくなった。→モデルナの針はファイザーより太いので針穴が黒っぽく必ず見える。日焼けしていると見づらいので要注意。
- ゆっくり注入したほうが痛くなさそうだ。→あまり痛みとスピードは関係ない。
結果、皮膚や粘膜での注射で最も痛いと言われている口腔内浸潤麻酔をいつも行っている我々歯科医師にとっては簡単な処置であるので何も心配はないと思われた。なお、出務手当ては自治体や企業によりかなりの差があることが分かった。
(田中良彦 71回卒) |