1.高齢者用ワクチン、医療従事者に転用の動き…配分足りない自治体「医師ら感染なら接種進まない」
讀賣新聞オンライン 4月14日
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新型コロナウイルス対策として、12日に接種が始まった高齢者用のワクチンを医療従事者用に一部振り替える自治体が相次いでいる。国が最優先に接種するとした医療従事者用が届いていないためだ。医師らが感染して高齢者接種が停滞したり、地域医療の機能が損なわれたりするのを防ぐ目的で、ワクチンの転用が行われている。
厚生労働省などによると、転用が行われるのは、医療従事者用の配分量が十分でないことなどが原因だ。13日時点でワクチンを2回打った医療従事者は、接種対象(約470万人)の13%にあたる約60万人にすぎない。一方、3月29日までに輸入されたワクチンの総量は約235万人分で、厚労省は同日の週までに医療従事者用として約126万人分だけを配送した。4月5日の週からは高齢者用が自治体に届いた。その結果、医療従事者の接種が終わっていない自治体に高齢者用が到着する事態が起きた。厚労省は4月12日から自治体に対して転用を容認している。
高齢者接種では、自治体がキャンセル分を廃棄するケースが続いている。5人分のワクチン1瓶は、6時間以内に使い切る必要があるためで、13日に1人分を廃棄した福島県郡山市では14日、キャンセルで生じた余剰分は集団接種会場の医療従事者に打つことにした。
地域医療に詳しい城西大の伊関友伸教授は「第4波が本格化しかねない中、医療従事者を優先するのは当然だ」と語り、「自治体が混乱しないよう、国はもう一度、医療従事者を優先すべきことを周知すべきだ」と指摘している。
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2.中医協、高額薬「キムリア」の150万円値下げ了承
毎日新聞 4月14日 |
中央社会保険医療協議会は14日、白血病など血液がんを点滴で治療する高額薬「キムリア」の公定価格の引き下げを了承した。現行より約150万円下げ、3264万円とする。7月から新価格となる。
高額薬の登場を受け、2019年度から単価が高いか、もしくは市場規模が大きい医薬品は、費用対効果を踏まえて価格を見直す制度が始まった。この制度により価格調整されるのは今回が初めて。キムリアは19年5月に3349万円(現在は3411万円)で公的医療保険が適用された。
また中医協は、血液がん治療でキムリアと同等の効果が期待できるとして類似薬「イエスカルタ」も同じ3264万円で新たに保険適用することを了承。21日から適用される。第一三共 が製造販売する。利用患者数はピーク時に年間232人、販売額は年間79億円と見込む。
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3.ワクチンの「副反応」とは?報告されている症状は?
朝日新聞デジタル 4月13日 |
一般のお年寄りへの新型コロナウイルスのワクチン接種が、12日から国内でも始まった。 使われているファイザーのワクチンは高い効果が報告されているが、「副反応」を心配する声もある。基本的な事柄をQ&Aで整理すると。
Q 副反応は「副作用」とは違うのか?
A 薬の場合は副作用、ワクチンでは副反応と呼ばれる。発症を防ぐなど、ワクチンに期待される効果は「主反応」というのに対して、ワクチンによって起きる症状を副反応と呼ぶ。
Q 新型コロナのワクチンにはどんな副反応があるのか?
A 発熱やだるさのほか、呼吸困難など重いアレルギー反応が出たケースも報告されている。海外ではとても少数だが、血のかたまりが血管につまる血栓症も疑われている。でもこのワクチンは、日本でいま自治体に配られているワクチンとは違う、アストラゼネカのものだ。
Q「有害事象」という言葉も聞く。
A「接種後に起こるあらゆる好ましくないできごと」のこと。副反応もそのー部だが、たまたま接種後に起きた良くないことも含む。
Q なぜそんな分け方が必要なのか?
A ワクチンは健康な人に広く接種するので、安全であることがまず求められる。だから接種した人に起きた情報を広く集め、副反応を見逃さないようにする仕組みになって いる。「包丁で指を切った」など、明らかに無関係なもの以外で、あらかじめ決められた基準に基づいて、医師らが症状を報告する。
Q その後は
A 報告をもとに、国の会議で専門家によりワクチンが原因かを判断し、安全対策などにつなげる。でも、すぐに判断がつくものばかりではないから、本当に副反応だとわかるには、時間がある程度かる。一つ一つの報告を、心配しすぎたり軽く考えすぎたりせず、冷静にみることが必要。
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4.コロナ収入減で「歯の痛み1.4倍」…ストレスが要因か
讀賣新聞オンライン 4月13日 |
新型コロナウイルスの感染拡大中に収入が減少した人は、歯の痛みの出現率が1.4倍になるとの研究結果を東京医科歯科大などのチームが発表した。論文が国際医学誌の電子版に掲載された。
チームは、昨年8〜9月に15〜79歳の男女を対象に実施したインターネット調査で、回答が得られた約2万5000人のデータを分析した。世帯収入が減少した人は約6400人おり、うち13%が「直近1か月に歯の痛みを感じた」と回答。一方、収入に変化がなかった人では8%だった。各集団の年齢や性別などの違いを調整した統計学的手法で解析したところ、世帯収入が減少した人が歯の痛みを訴える割合は、収入に変化がなかった人の1.4倍だった。
研究結果をまとめた同大の松山祐輔助教は「経済状況の悪化が、精神的ストレスとなり、歯の痛みを引き起こしたとみられる。収入減や失業などへの対策で、歯の病気の悪化を防げる可能性がある」と話している。
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5.「命削ることになる」高齢者医療費2割負担、審議入り
朝日新聞デジタル 4月9日 |
一定以上の収入がある75歳以上の高齢者を対象に病院などの窓口で支払う医療費負担を1割から2割に引き上げる法案の審議が8日、国会で始まった。対象となる人たちからは不安の声が漏れる。「病院に行くのと、食費を減らさないといけない。自分で自分の命を削ることになるんじゃないかな。」
都内に住む石塚恵章さんはこう話す。2019年11月に脳梗塞を発症してから、定期的に脳の画像を撮る検査を受けてきた。昨年9月に75歳を迎え、自己負担は2割から1割に減った。3カ月後の12月に受けた脳梗塞の検査では自己負担額は3400円。加えて、薬の自己負担額は6960円かかった。
同じ月に政府は、75歳以上の夫婦世帯で年金などの年収が320万円以上なら、22年度後半から2割負担に引き上げる方針を決めた。75歳以上で2割負担になるのは約370万人とされている。石塚さんも、そのー人になる見通しだ。引き上げ後、最初の3年間は外来で払う医療費が月3千円以上は増えないように負担を和らげる仕組みができる。また、医療費の自己負担には上限があるため、1割から2割になっても単純に2倍の負担にはならない。それでも、石塚さんは不安がぬぐえない。白内障の手術を医師から勧められているというが、「2割負担になってから、手術を受けることになったら、どれくらいかかるのか分からず、心配でしかない」と話す。
医療費の自己負担割合(原則)は年代によって違い、70歳未満の現役世代は3割、6歳未満と70-74 歳は2割となっている。75歳以上は原則が1割負担で、現役並みの所得がある人のみが3割を負担している。自己負担分を除く75歳以上の医療費は2021年度の予算ベースで16.6兆円。その半分は税金、約4割は現役世代が入る健康保険組合などからの支援金でまかなわれている。今後も高齢化率が上がり、現役世代の負担が増えると見込まれている。
政府・与党は昨年12月、「全世代型社会保障検討会議」で、75歳以上の一部の人たちにも新たに2割の負担を求めることを決定。その関連法案の審議が8日の衆院本会議で始まった。菅義偉首相は「若者と高齢者で支え合い、若い世代の負担上昇を抑えるという長年の課題に対応するために、窓口負担を2割にするものだ。多くの方に能力に応じた負担をしていただくことで、制度の持続可能性が高まる」などと説明した。
これに対し、立憲民主党は「新型コロナ禍の現状で窓口負担を引き上げるべきではない。(負担増を軽減する)配慮措置も不十分だ」として、所得の多い高齢者の保険料を増やすことなどを盛り込んだ対案を提出している。共産党は反対の立場で、同党の宮本徹氏は「多くの高齢者はきりつめて暮らしている。病気が多く、治療が長引く人ほど負担が増える」と課題を指摘した。
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