1.ワクチン接種の医療者「100万人ぐらい増える」河野氏が見通し
毎日新聞 2月19日 |
河野太郎行政改革担当相は18日夜の TBS番組で、新型コロナウイルスのワクチンを接種する医療従事者について、推計370万人から「100万人ぐらい増える状況だ」と明らかにした。約100万人を加えた医療従事者約470万人に対する2 回目の接種と並行し、65歳以上の高齢者接種を4月中に開始する方針だと説明した。これまで高齢者接種は、医療従事者への2回目の接種を終えた後に始めるとしてきた。4月中の接種開始を先送りしないようにするため、並行という形を取る。 「(4月中の)どこかの時点でゆっくりと立ち上げ、じわじわと広がる形で始めたい」と述べた。
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2.超零細企業のタブレット歯みがき、宇宙の生活用品候補に
朝日新聞デジタル 2月19日 |
たった2人の会社が開発した製品が、国際宇宙ステーション(ISS)に搭載される候補に選ばれた。多くの大企業が参加した宇宙航空研究開発機構 (JAXA)のコンペに勝ち残った。今後、安全性などの条件をクリアすれば、2022年度以降、宇宙へ旅立つ可能性がある。選ばれた製品は、名古屋市千種区に本社があるオーラルケア製品開発会社「TSUYOMI」のタブレット型歯みがき「カムガキ」。使い方は、レモン味の錠剤1粒を口に含み、約10秒かみ砕く。出てくる泡を口全体になじませ、歯ブラシで磨けば歯みがきになり、そのまますすぐだけでも口内を清浄にして口臭を抑える作用がある。
JAXAが昨夏、募集した「宇宙滞在中の生活と地上での生活に共通する課題の解決アイディア」というコンペで94件の応募から最終的に残った10製品の―つに選ばれた。選定理由は明らかにされていないが、TSUYOMIの森健一代表 (52)は「持ち運びが簡単なことと、少ない水でも使える点が、宇宙生活での利便性向上に評価されたのでは」と話す。選定結果は昨年10月末に連絡があった。ほかに選ばれたのはワコールや資生堂、ライオン、花王など生活用品を扱う大企業の製品がほとんど。
TSUYOMIは2017年、森さんが立ち上げたベンチャーで現在、森さんを含め2人だけの「超零細」企業だ。それだけに今回の快挙を喜ぶ。アイデアの源は「必要性」だった。元々、製薬会社の営業担当だった森さんは外回りの仕事が多く、 外出先にも持参しやすい歯みがきが欲しいと思っていた。さらに2011年、東日本大震災の被災地ボランティアに参加した際、避難所生活が続く高齢者の口腔ケアを手助けし、少ない水でも歯みがきができる必要性を痛感した。
そうして思いついた「カムガキ」を製品化したくて起業した。製造は大阪の製薬会社に任せ、前身の製品を18年に発売。通販雑誌などで主婦向けのお出かけ用品として紹介され、30粒入り袋が年間約5万個売れ、ヒツト商品になった。味や溶け具合などを改良して19年10月、リニューアル発売した。
JAXAのコンペに応募する際、宇宙空間での生活に詳しい専門家にも相談した。現在、宇宙用の歯みがきは、そのままのみ込める口シア製のチューブ型しかないが、歯ブラシを接触させるチューブは衛生的な問題で共有できない。「タブレットなら、その問題もクリアできる」と森さん。ISS用に、さらなる改良も検討中だ。閉鎖された空間では乗組員同士のコミュニケーションも重要とされるため「多国籍の乗組員同士で話題にしやすいよう、日本らしいお茶味などフレーバーの種類も増やしたい」。
社名の「TSUYOMI」 は、自分の「強み=行動力+発想力」を生かしたいという思いから名付け た。「カムガキ」は同社ホームページから、1袋20粒660円(税込み)で購入できる。
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3.自民、たがの緩み露呈「夜にラウンジ」で離党の白須賀氏に幹部怒り
毎日新聞 2月17日 |
緊急事態宣言下で国民に外出自粛を呼びかける中、また発覚した与党議員による夜の飲食。内閣支持率の低迷に悩む政府・与党は17日から始まった新型コロナウイルスワクチンの接種を政権浮揚の契機とする思惑があったが、その日に身内に水を差された形だ。自民党は飲食が発覚した白須賀貴樹元文部科学政務官を即時離党に追い込んだが、党内のたがの緩みが露呈した。菅義偉内閣発足後初の国政選挙となる4月25日の衆参3補選・再選挙などへの悪影響を危倶する声も出ている。
事態の推移は早かった。週刊文春電子版が17日午前、東京・麻布十番の会員制ラウンジに出入りする白須賀氏の様子を写真付きで報道。白須賀氏が党本部に離党届を提出しに来たのは午後1時過ぎだった。二階俊博幹事長と15分ほど面談した白須賀氏はその後の取材に「今の時期に軽率な行動はしてはいけないとよく分かっているが、店長から 『お客さんが1組しかいない』と聞き、お金を落としてあげようと思って1時間だけ行った」と釈明。「本当にすみませんでした」と2度にわたって神妙な面持ちで頭を下げた。
発覚の時点で離党は必至だった。自民党では松本純元国家公安委員長ら衆院議員3人が緊急事態宣言下の1月18日夜に東京・銀座のクラブに出入りしていたことが1月末に発覚。当時は時短に従わない飲食店などに罰則を科す特別措置法の改正論議の最中で、3人は離党に追い込まれた。
白須賀氏はこの後に夜の飲食に出かけており、報道の時点で党幹部は「ばかじゃないのか」と怒り、白須賀氏が所属する細田派関係者も「離党だな」と突き放した。白須賀氏は自公が政権を奪還した 2012年衆院選で初当選し、その後問題を起こしてきた「魔の3回生」の一人。派手な交遊も党内で有名だった。政府・与党は国政3補選・再選挙で少なくとも1勝することを目指す。それだけに白須賀氏の問題の切り離しに躍起で、自民党の下村博文政調会長は記者会見で「言語道断だ」と述べ、公明党の竹内譲政調会長も会見で「責任を取るのは当然。もういいかげんにしてもらいたい」と非難。二階氏も「批判を真摯に受け止め、より一層、各議員に規律の徹底を図ってまいりたい」とのコメントを発表した。
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4.供給確保、接種体制など課題多く 新型コロナワクチン接種開始
毎日新聞 2月16日 |
国立病院など100医療機関に勤務する医療従事者への新型コロナウイルスのワクチンの先行接種が17日、始まった。国内でもいよいよ接種が本格化するが、世界的な争奪戦に発展しているワクチンの供給確保や、自治体の接種体制など課題は多い。17日午前、国立病院機構東京医療センター(東京都目黒区)でワクチン接種が始まった。接種を受けたのは医師や看護師ら12人。予診票に記入し、体調を確認して注射を打った。注射方法は、皮下脂肪より奥の筋肉に打つ「筋肉注射」だ。通常の皮下注射よりも人によっては痛みを感じるというが、接種を終えた事務職員は「普通にチクッとした感じ」と感想を述べた。急激なアレルギー反応に備え、15分程度休憩し、業務に復帰した。
今後の課題は多い。接種開始は、国内治験を追加して時間を要したことから欧米に比べて2カ月遅れとなった上、ワクチンの確保やスケジュールは今も見通せない。接種を進める現場も副反応を考慮して勤務シフトを工夫しなければならない。
東京医療センターでは、先行接種にあたり、意向調査を実施。職員や委託業者を含め約1770人中1440人が希望したが、うち800人を先行接種の対象とした。樅山幸彦副院長は「一度に打ったら(副反応で)100〜150人が休む可能性がある。病院の役割を考えると半分の800人を先行接種とし、1日60人ぐらいに分散して打つようにした」と明かした。残りの希望者は、他の医療従事者と同様、3月中旬以降に接種する方向だ。
来週から約300人の接種が始まる神奈川県内の病院では、副反応が出た場合の通常診療への影響を考慮し、診察終了後のタ方か土日での接種を検討。担当者は 「通常診療をしつつ限られた人数で接種を進めるのは容易ではない」と話す。
政府は3月中旬以降、約370万人の医療従事者に優先接種を始める。この医療従事者が2回目の接種を終えた4月以降、高齢者への接種を始めたい考えだ。厚生労働省は当初、今回の先行接種対象は1万〜2万人と見込んでいたが、最終的に4万人に上る見込みだ。ワクチンは12日に到着した第1便で6万4350本確保しており、先行接種には対応できる量だ。
ただ、1本あたりの接種回数は特殊な注射器を用いれば6回分採取できるが、代用の注射器では5回分の採取になる。6回分の注射器の調達が間に合わない可能性があり、第1便のワクチンで接種できる回数は注射器次第で約32万〜約38万回 (約16万〜約19万人分)と幅が出かねない。政府は今回の先行接種では6回分採取できる注射器を確保したとしているが、3月中旬にも始まる残りの約370万人分の医療従事者や、その後の高齢者らへの接種で不透明さは残る。
副反応 迅速に公表
政府が今回、一部の医療従事者らに先行接種を計画したのは、国民に副反応の頻度などを迅速に伝える狙いがある。ワクチンがスピード開発された経緯を踏まえて判断した。 予防接種法では、 医師らに副反応や疑い例の報告を求め、厚生労働省の審議会で評価する「副反応疑い報告制度」がある。ただ、重篤な症例が中心となる。ファイザーが実施した国内治験の対象は 160人と限られ、日本人で副反応がどの程度出るかは分かっていない。政府は追加のデータ収集が必要と判断し、従来の報告制度に加え3種類の調査を行うことにした。
先行接種者の健康調査では体調の異常(有害事象)など接種後28日間の健康状態を記録。高齢者の優先接種と同時に始める「健康状況調査」では、1種類のワクチンにつき全国で計100万人を抽出し、発熱の有無などを回答してもらう。中長期の追跡調査は企業(今回はファイザー)に委ね、先行接種者で同意を得られた人について、1年後まで重篤な有害事象とコロナの感染の有無を調べる。
課題は、調査で収集した症例と接種との因果関係を迅速に明らかにできるかだ。例えば「健康状況調査」は対象の多くが高齢者となる見込みだが、15日の厚労省の専門部会で委員から「高齢者では(ワクチン以外でも)他の疾患でけいれんなどは一定の頻度で発症する。因果関係の検討は非常に難しい」との指摘が出た。因果関係の有無を調べるには、同じ年代でワクチンを「打った」「打たない」層それぞれの症状の発生率の違いといった比較が鍵となる。
米国などでは評価の基となるデータを集める仕組みがあるが、国内では個人の医療情報の扱いの難しさから整備が遅れており、厚労省幹部は「長年のテーマだが日本ではなかなかできない」と吐露。接種との因果関係は国民の関心事となるだけに、どこまで解明できるかも焦点となる。
自治体は「個別」模索
今年4月からは65歳以上の高齢者の優先接種も始まる。東京23区をはじめとする都市部では医療関係者の会場への継続的派遣が難しい点などを踏まえ個別接種を重視するケースも多い。東京都練馬区は各診療所の個別接種で対象者全体の3分の2を力バーし、かかりつけ医がいない人など残り3分の1を集団接種で補完する。「練馬区モデル」と呼ばれ、厚生労働省が先進事例として全国に周知した。区担当者は個別接種の利点について「例年のインフルエンザ予防接種がモデルになり、高齢者も医師も慣れている」と説明する。区内約250カ所の診療所で受け付ける予定で、ワクチンは区が予約状況を把握した上で、小分けにして診療所に週2回届ける。
新宿区も「ワクチンの運搬状況によるが、医療従事者や住民の負担を考えれば、個別接種を中心に進めたい」。ただ、区内には繁華街・歌舞伎町があるなどの事情から住民登録せずに居住する人も多い。1月末までに区内でコロナに感染した約6150人のうち、登録がない人は4割近くに上った。こうした住民への接種について、吉住健一区長は「マイナンバーを活用するなら国にも関与してもらわなくては。一自治体では荷が重い」と訴えている。
神戸市は集団接種と個別接種を並行して進める。市内の各区に集団接種の会場を設営するほか、各区役所に超低温冷凍庫を配備し、個別接種をする病院や診療所にワクチンを配送する。市医師会と連携して個別接種を担う病院や診療所を募っており、目標の800施設が確保できれば、個別接種は集団接種の3〜4倍の規模になるという。
―方、奈良県によると、県内39市町村のうち、12日時点で個別接種の実施を決めたのは3市村だけだった。残る自治体のうち2村は全て集団接種と決め、34市町村は個別接種を「検討中」という。同県の中央に位置し面積の97%が森林の黒滝村は唯―の医療機関である村営診療所で全村民約650人の集団接種をする予定。―般診療と接種の時間帯を分け、 通常の医療体制に影響が出ないようにするという。村民の半数以上は高齢者。診療所には自家用車などで来てもらうが、交通手段がない場合は村職員による送迎も検討している。村保健福祉課の担当者は「早く接種できるよう全て集団接種で対応する。職員総出で対応したい」と話す。
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5.子どもの歯みがき、一緒に楽しく 嫌がったら、この技で
朝日新聞デジタル 2月13日 |
2歳の息子の歯みがきに毎日手を焼いている。「楽しく」を心がけているが、なかなか思うようにはいかない。妙案はないだろうか。
大人の唾液を介して感染するミュータンス菌がむし歯の主な原因だ。むし歯菌は食べかすに含まれる糖分をえさにプラークをつくり、このプラークの中でつくられる酸が歯の表面にあるエナメル質を溶かすことでむし歯ができる。乳歯は永久歯に比べ、エナメル質が薄くて弱いため、むし歯になりやすく進行も早い。歯みがきでプラークを落とすことが虫歯の予防につながる。
歯みがきはいつから始めればいいのか。日本歯科大学病院の臨床教授で、テクノポートデンタルクリニック(東京都)の倉治ななえ院長は「歯が生え始める前から『歯固めブラシ』をかませたり、大人がガーゼや専用ブラシでマッサージをしたりしてほしい」と話す。子どもが口の中を触られても気持ちいいと感じることで、歯ブラシをスムーズに使えるようになるという。
歯が生えたら月齢や歯の本数に合った歯ブラシを選ぶ。子どもが自分で使う歯ブラシと、大人が仕上げみがきに使う歯ブラシは分け、子ども用はのど突きを防ぐタイプを選ぶ。 東京都の2017年の発表によると、歯ブラシ中のけがは1歳が48%、2歳が31%を占めた。ソファや椅子、踏み台からの転落、クッションや布団などでのつまずきや転倒などに注意が必要だ。大人が楽しそうに歯をみがいたり、歯みがきに関する絵本や映像を見せたりしても興味を示さない子もいる。そんな時は使わなくなった歯ブラシを子どもに持たせ、子どもが好きなぬいぐるみや人形の口の中をみがかせてみよう。例えば「○○ちゃんに歯みがきを教えてあげて」と言って、子ども自身を先生役にすることがポイントだ。
倉治さんは「ふだん子どもは大人から何かを教わったりさせられたりすることが多い。自分が先生役になるとやる気が出る。弟や妹がいない子に特に効果がある」と勧める。
それでもまだ歯みがきを嫌がる子には、「1を数える間だけみがくね」と約束する方法を試してほしい。大人は長めに「いーち」と数えながら仕上げみがきをする。数え終わったら約束通り手を止め、「やったね!」「すごいね!」などと子どもと一緒に喜ぼう。子どもの機嫌が良ければこれを繰り返し、全部の歯をみがく。嫌がったら無理せず、1日ずつ「いーち」の回数を増やしていく。長めの「いーち」を繰り返すだけでなく、「1〜10を数える間、みがかせて」という方法もいいという。
仕上げみがきの注意点がいくつかある。上唇の裏にあるひだ「上唇小帯」に歯ブラシがあたると痛い。大人は歯ブラシを持つ手とは反対の手の人さし指や中指で上唇小帯を覆いながらみがくといい。エナメル質を強くするフッ素入りの歯みがき剤は適量を守って使いたい。倉治さんによると、子ども向けの歯みがき剤なら2歳までは切った爪程度の少量、3〜5歳で5ミリメートル以下が目安だ。
倉治さんはキシリトール食品の摂取も勧める。キシリトールはむし歯菌を減らし、プラークをとれやすくするなどの働きがある。大人向けにはガムが一般的だが、子ども用には万一にのどや気管に詰まっても呼吸ができる形状のタブレットなどが売られている。「歯みがきを頑張ったご褒美にあげるのもお勧め」という。外出先などで歯をみがけない時もある。そんな時は食後に水や麦茶を飲ませ、ガーゼや歯みがきシートで口の中の汚れを拭き取った後、キシリトール食品を食べてもらうといい。災害時にも応用できる。
嫌がる我が子に歯みがきをするのは親もつらいが、「永久歯に生え替わるから手を抜いても大丈夫」と油断はできない。乳歯がむし歯になって抜けると永久歯の歯並びが悪くなる恐れがある。永久歯は乳歯を目印に生えてくるうえ、しっかりかんで食べられないとあごが十分に発達せず、永久歯が並ぶ空間も狭くなるからだ。倉治さんは「子どもがその気になりそうな方法を小出しにして試しつつ、どうしてもうまくいかない時は歯科医に相談してほしい」と話している。
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