1.ワクチン先行接種、国立病院機構などの医療従事者を対象に
讀賣新聞オンライン 1月19日 |
新型コロナウイルスワクチンの先行接種について、厚生労働省は2月下旬以降、国立病院機構などの医療従事者を対象に実施することを決めた。接種者には副作用などに関する健康調査を行い、3月下旬以降に予定している高齢者らへの接種に備える。
先行接種の対象は、同機構のほか、地域医療機能推進機構、労働者健康安全機構に所属する医師や看護師ら約1万人。それぞれ140,57,32の病院が傘下にあり、希望者を募る。希望者がいる医療機関や人数を国に伝え、正式に決定する。
先行接種の後には、その他の医療機関で新型コロナの感染者や疑い患者を診療する医師や看護師、職員、薬局の薬剤師、搬送に関わる救急隊員などに接種する。接種は個人の判断で、業務に従事する条件とはしない方針だ。
先行接種以外で対象となる医療従事者は約400万人に上る。1000人超の接種を想定する「基本型接種施設」と、100人以上の接種を行う「連携型接種施設」に分けて接種する。基本型には、米ファイザーのワクチンを保管するため、氷点下75度を保てる冷凍庫を2月末までに1500台設置する。そこから、ワクチンを連携型に運ぶことにしている。
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2.吉村知事 歯科医院に「何かある」…府下5500の医院でクラスターゼロ
デイリースポーツ 1月19日 |
吉村洋文大阪府知事が19日、府下の歯科医院から新型コロナウイルスによるクラスターが発生していないとツイッターに投稿。「何かある」と記した。
吉村知事は「コロナウイルスは口の中、唾液に多く含まれている。なのでマスクが有効だし、飲食の場も指摘される」とマスクをすることなど従来の対策について投稿。
続けて吉村知事は「一方で利用者側がマスクができない環境に歯科医院がある。大阪には5500医院があるが、クラスター発生はゼロ。感染対策の賜物と思うが、何かある。何か?専門家には、是非分析してもらいたい」と求めた。
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3.家庭内で受動喫煙10年超…若者のむし歯リスク1.5倍
朝日新聞デジタル 1月18日 |
家庭で10年以上、たばこの煙を浴びた若者が虫歯になりやすいことを裏付ける調査結果を、岡山大の研究グループがまとめた。受動喫煙の経験がない若者と比べ、むし歯リスクが約1.5倍高かった。研究者は「家庭での喫煙は家族のお口の健康も奪う」と注意を呼びかける。
森田学・岡山大大学院教授(予防歯科)らのグループが、2019年に岡山大に入学した全2241人を対象に調査。受動喫煙による幼児の乳歯への悪影響は知られているが、若者の永久歯への調査は他にほとんどないという。
むし歯本数と家庭内の喫煙状況の関係を調べた。項目は、むし歯の本数と歯磨き習慣▽甘いおやつや飲み物をとる頻度▽同居家族の喫煙歴――など。20歳以上や本人が喫煙者であるケースなど336人を除き、1905人の回答を解析した。
その結果、「むし歯」「むし歯で失った歯」「むし歯治療痕がある歯」のいずれかが1本以上ある「むし歯群」は884人。一方、全くないのは1021人だった。
研究グループは双方の歯の健康習慣などを比較。統計的に意味のある違いとして、「1日の歯磨き回数」「歯の矯正をした」「10年以上家庭でたばこの煙にさらされている」の3項目が浮かび上がった。
受動喫煙に注目して更に解析し、10年以上受動喫煙を受けていた学生(438人)は、受けていない学生(1112人)より1.5倍むし歯になりやすいことが分かった。受動喫煙歴10年未満の学生(40人)や、過去にあったが今はない学生(315人)との比較では差が出なかった。
調査した岡山大病院予防歯科の佐保輝(ひかり)医員によると、むし歯になりやすいのは、受動喫煙によって口中のむし歯原因菌が増える一方、口呼吸が増えてドライマウスになり歯を守る唾液が減るなどの影響と考えられるという。研究成果は昨年11月、スイスの学術誌に掲載された。
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4.感染源、洗面所の蛇口か 都営大江戸線の集団コロナ
日本経済新聞 電子版 1月14日 |
東京都営地下鉄大江戸線が昨年末から今月11日まで間引き運行した原因となった運転士間の新型コロナウイルスの集団感染が、共同利用する庁舎の洗面所の蛇口経由で広がった可能性が高いことが14日、都交通局への取材で分かった。手をかざすと自動的に水が流れるセンサー式ではなく、手で回すタイプの蛇口だった。今後はセンサー式への置き換えを検討する。
交通局によると、大江戸線では昨年12月15日以降、江東区の同じ庁舎を使う運転士ら計39 人の感染が判明。大江戸線は12月27日から今月11日まで、運行本数を通常の7割程度に減らしていた。庁舎には始発電車の乗務に備えて運転士が泊まり込んでいる。保健所からは「歯磨きの際の唾液が付着した手で蛇口に触れたことにより、感染が広まった可能性が高い」との指摘を受けたという。
交通局は以後の対策として、蛇口を紙で覆って触れることや使用後の手指消毒を徹底するよう職員に指示。日常的な手指消毒やマスク着用、アクリル板の設置などは以前から実施していた。交通局の担当者は「今後も感染防止に努めながら、運転を確保していきたい」と話した。
この報道に対する口腔衛生学会の会員へのコメント
さて、昨日今日と、地下鉄大江戸線の運転士39人に「歯磨きの際の唾液が付着した手で蛇口を触れたことにより、感染が広まった可能性が高い」との報道が日本中に広まり、本学会会員におかれましても、学校保健や産業保健の歯科保健指導で頭を痛めておられるのではないかと心配しております。
報道によれば、保健所からの指摘ということでしたので、保健所がどのような根拠に基づいてこのような結論を下したのか不思議に思い、保健所に聞き取り調査を行うため報道を行った新聞社に正確な保健所名を尋ねてみますと、分からないとのことでした。それでは事実確認ができないではないかと指摘したところ、この情報元は東京都交通局の広報担当であるので、東京都交通局に尋ねて欲しいとのことでした。
そこで、東京都交通局の広報担当者に連絡を取り、調査にあたった保健所名を尋ねたところ、保健所は江東区保健所とのことでしたが、保健所は単に聞き取り調査を行っただけで、感染源についての具体的検査等を何も行ってはいないことが分かりました。
東京都交通局の広報担当者は報道機関の個別取材において,保健所から指摘された飲食を含む様々な感染の可能性を報告したそうですが、歯磨きの際に唾液に汚染された蛇ロもその可能性のーつであったとのことです(蛇口を素手で触れず、できればセンサー式が良いとのアドバイスを受けた程度)。
しかし、いざ記事になると目新しい「歯磨きの際に唾液に汚染された蛇口」が切り取られ、あたかも「歯磨きの際に唾液に汚染された蛇口」が感染源であったと断定されたかのような記事が飛び回っています。
たしかに「歯磨きの際に唾液に汚染された蛇口」が感染源のーつであった可能性を否定する根拠はありませんが、記事の内容は必ずしも個別取材の内容を正確に反映していないことを東京都交通局の広報担当の方から聞き取ることができました。
記事をよく読めば可能性と書いているので、誤報とまでは言えませんが、他の可能性を敢えて言及していない点に問題がありそうです。また、この手の記事では見出しに惑わされることが多いようです。何が事実かということは結局分かりませんが、マスコミ報道に振り回されず、事実を見極める目が大切であることをお伝えします。
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