1.感染予防に口腔ケア有効 かかりつけ医に相談を
朝日新聞デジタル 9月21日 |
新型コロナウイルスの感染や重症化の予防策として、口腔ケアが注目されている。口の中をきれいに保つと、唾液中に含まれる免疫物質がウイルスの侵入を防いでくれるからだ。埼玉県歯科医師会は、かかりつけ医に相談して自分に合った衛生管理のやり方を見つけるよう呼びかける。教育現場では同会などが提案するコロナ対応の歯磨き指導が実践されている。
推奨される歯の磨き方
・歯磨き剤をつけすぎず、なるべく口を結んで行う
・前歯の裏を磨くときは口を手で覆う
・飛沫を抑えるためブラシは静かに小刻みに動かす
・すすぎは少ない水(10ミリリットルくらい)で1、2回に
・すすいだ水は低い位置からゆっくりと吐き出す
・ブラシは流水でよく洗い、水を切って乾燥させる
※日本学校歯科医会提案の磨き方から抜粋
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2.大学生に虫歯が多いわけは? 口内細菌を調べて違い発見
朝日新聞デジタル 9月18日 |
大学生になると、なぜ虫歯が増えるのか――。岡山大の研究チームが、そんな積年の疑問を解き明かそうと、卒業前の学生たちを調べたところ、入学時から虫歯の増えたグループと増えなかったグループには、口内にいる細菌の割合に違いがあることがわかった。
全国3820人の歯の状態を調べた厚生労働省の「歯科疾患実態調査」(2016年)によると、虫歯のある人の割合は15〜19歳で47.1%だが、大学生を含む20〜24歳では78.6%と、大きく上昇する。2013年に同大学などの研究チームが学生約2千人を調べた論文では、食事の時間が不規則だったり、よくお菓子を食べたりする学生の方が、虫歯がある傾向が確かめられている。生活習慣の乱れが、歯の悪化につながっていることがうかがえる。
チームは今回、卒業前の学生55人(女性38人、男性17人)に歯科検診をした。入学時の検診結果と比較して、虫歯が増えたグループと増えなかったグループの二つに分けた。さらに唾液を採取し、その中に含まれる細菌を遺伝子レベルで詳しく調べた。すると、2グループの間で確認された細菌の種類は変わらなかったが、虫歯が増えたグループの唾液中には、特に3種類の細菌の遺伝子が多く含まれることがわかった。
これらの細菌は、一般的に虫歯の原因菌として知られる「ミュータンス菌」とは別のもので、研究チームは「治療の新たなターゲットになる可能性がある」と期待を寄せている。この結果について、研究チームの福原瑶子助教(予防歯科学)は「今回多く見つかった3種類の細菌は、ミュータンス菌などとも関わり合いながら歯を溶かす酸を出し、虫歯を作っていくのではないか」とみる。唾液は採取しやすく、口内にこうした細菌が多く虫歯リスクの高い学生があらかじめわかれば、早めの予防にもつながる。
虫歯が増えた学生は、なぜ3種類の細菌が多くなるのかは明らかになっていないが、福原さんは生活習慣の変化が大きな要因とみる。「大学に入ると親元を離れて一人暮らしをするなど、生活習慣が大きく変わる人が多い。学生時代の楽しいことも大切だが、いま歯をきれいにしておけば原因菌は減り、社会に出てからも歯をきれいに保つことにつながる」
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3.創薬ビッグデータで歯磨き粉 ワールドフュージョン、成分探索
日経産業新聞 9月17日 |
システム開発のワールドフュージョン(東京・中央)は、ビッグデータを活用して有効成分を短期間で割り出すことに成功した。同社は関連ソフトを外販しており、微生物やウイルスに作用する化合物を探し出せる機能を加えて受注拡大につなげたい考えだ。今後1年で約10社、1億円の売り上げ増を目指す。
ソフトは2019年から販売している「LSKB」。創薬候補となる化合物を効率良く探せるのが特長だ。今回は、歯周病に関連する微生物を減らす作用などを持つ候補物質の精油を使い、歯磨き粉として販売する。通常、有効な候補成分の探索には論文と実験データをもとに半年から1年かかるという。「創薬データベースを使うことで実験することなく候補成分を予測し、2週間ほどで候補物質を探し当てた」と川原弘三社長は説明する。
歯磨き粉は、医薬部外品などを扱う日本ゼトック(東京・新宿)が製品化。9月からワールドフュージョンが歯科卸を通じて販売する。1本3000円前後を見込む。当面は「化粧品」として販売し、今秋には「医薬部外品」の承認を目指している。歯磨きのほか、3万5000円ほどの口内細菌を検査するキットも売り込む予定。
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