1.シャープ、マスク販売でアクセス集中 接続困難に
日本経済新聞 電子版 4月21日 |
シャープが21日10時に開設したマスク販売の専用サイトにアクセスが集中し、同11時現在でも接続しにくい状況が続いている。マスクはドラッグストアなどで品薄状態が続いており、購入者が殺到したとみられる。会社側は「状況を確認している最中だ」としている。
シャープは20日、自社で生産するマスクを専用サイトの個人向けに販売開始すると発表していた。1箱50枚入りで、1日当たり3000箱を販売する。
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、シャープは3月から三重県多気町の液晶ディスプレーエ場でマスクを生産している。当初は日本政府向けに一括販売していた。専用サイトの立ち上げなどを経て、個人向けにも販売する。
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2.新型コロナ・同時進行ドキュメント 台東の診療所 患者と距離感、ため息
毎日新聞 4月21日 |
4月20日午後3時半、東京都台東区の蔵前協立診療所にはせきなどの症状を訴える70代の女性患者が訪れた。既に平熱に戻っていたが、2日前に38度の熱が出たという。原田文植医師(48)は「新型コロナウイルスかもしれない」と考え、念のためレントゲン撮影もしたが、コロナでないと診断した。
診療所ではPCR検査はできず、感染の疑いがあれば、保健所へ連絡し、大規模な病院へ送る必要がある。結局この日は、感染が疑われる患者の来所はなく、ほっと胸をなでおろした。都内の感染者は19日で3000人を超え、コロナの影は診療所にも忍び寄る。17日には、院内感染があった都内の病院に別の病気で入院していたという80代男性から電話があった。退院前のPCR検査は陰性だが、「退院後にせきが止まらず息苦しい」と話す。診療所でレントゲンを撮ると両肺に影が写っており、すぐに病院に連絡。原田医師は「新型コロナに違いない」と振り返る。
診療所でも往診の際でも、患者のコロナ感染が疑われる場合は、特別な準備が必要だ。マスクに加え、フェースガードにゴ-グル、防護服、手袋、キャップを診察前に着用。フェースガードは100円ショップで買ったカチューシヤとビニールシートを使って自作した。手間がかかるため、「1日10人が限界だ」と話す。原田医師は大阪市出身。高校時代は野球とバンド活動に明け暮れて受験に失敗して2年間浪人。そんな折、4歳下の妹が骨髄性白血病になった。「妹を治したい」との一心で勉強を続け、医学部に合格したが、その直前に妹は亡くなった。
国立感染症研究所などでの勤務を経て12年前に診療所所長になった。地域の患者の大半は高齢者だ。患者に寄り添う診察を心がけ、世間話を交ぜ、話しぶりから体調変化を読み取る。大半の患者の趣味や好きな食べ物は頭に入っている。毎年2月には所内でつどいを開き、原田医師が患者の前でピアノを演奏する。高齢患者の診察は天職だと思うようになった。そんな姿勢で医師を続けてきただけに原田医師は悩む。防護服での診察が「患者に不安や寂しさを感じさせないだろうか」と心配だからだ。「でも、しばらくこうせざるを得ないよなあ」とため息をつく。新型コロナは町医者と患者との距離感も変えてしまった。
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3.保健所介さぬPCR検査、広がるか 医師会連帯で迅速化
朝日新聞 デジタル 4月21日 |
新型コロナウイルスに感染しているか調べるPCR検査が追いついていない現状を改善しようと、検査数を増やす取り組みが始まろうとしている。保健所を介さず、迅速に検査を受けられる態勢が今後、全国に広がっていく可能性がある。感染の拡大を防ぐため、地域をあげての対応が急がれている。
1日平均2千人以上の外来患者が訪れる東京医科歯科大付属病院(東京都文京区)の正面玄関わきに、トンネルのような形の白いテントが複数並んでいる。3月末に設置され、4月上旬から稼働する「検体採取テント」。机やイス、パソコンが置かれ、総合診療科の医師や看護師らのチームが主にPCR検査に対応する。体温や血中酸素濃度などを測り、せきがあるかどうかといった症状についても確認。のどから検体を採取する際は、感染のリスクがあるため、陰圧装置がついた別のテントに移る。スタッフはN95マスクにフェースシールド、ガウンなど「フル装備」でのぞむ。
竹村洋典・総合診療科長は「医療従事者の感染や院内感染が起きれば、高度な医療ができなくなる恐れがあると始めた背景を語る。4月中旬現在、1日約10人が検査を受ける。ただし対象となるのは、かぜ症状もある受診患者らで、同院で必要と判断された人。中には、「ここに来れば検査が受けられる」と誤解して訪れる人もいるという。
検査の需要が高まる中、新宿区は、区内の医療機関や区医師会と連携し、検査の拡充と患者の療養先の振り分けをセットにした独自の取り組みを始める。区内の感染者数は3月末は約20人だったが、4月18日時点で227人。国立国際医療研究センター病院に多くの検査が集中し、重症者への治療との両立が困難になっていた。新システムでは、区内の診療所の医師が対面や電話で診察し、必要な患者に紹介状を渡す。患者はそれを持参して病院に設置される検査スポットへ行き、検査を受ける。区医師会や各病院がスタッフを派遣する。
また、感染者の増加とともに全員が入院できず、軽症者を中心に約120人が自宅療養をしている。だが自宅療養中に症状が悪化した患者の受け入れ先が見つかりにくい課題もあった。そこで、同センターと三つの大学病院を重症者むけ、別の4病院を中等症者を中心に、軽症者はホテルや自宅で療養とし、症状に応じてわける。症状が悪くなれば入院や転院に協力し合う。区の担当者は「地域の医療機関や保健所がしっかり役割分担することで、専門的な病院が重症者の治療に集中できるようにし、医療崩壊を防ぎたい」と話す。
高まる陽性率
検査を受けた人に占める陽性者の割合(陽性率)は、全国で高まっている。厚生労働省によると、3月23日時点の全国平均は約5%だったが、2週間後の4月6日には約8%、11日に10%を超した。感染者が最も多い東京都では、4月に入り20%、その後30%を超した。首都圏以外でも、石川県は3月下旬に約4%だったが、4月に入って徐々に上がり、20%程度になった日もある。
陽性率の高まりは、検査を受けていない人の中に感染者がいる可能性が高まっていることを示す。検査数を増やす必要性が強まってきたが、「帰国者・接触者相談センターの電話がつながらない」「帰国者・接触者外来を紹介されても検査がなかなか受けられない」などの苦情があった。そこで東京都医師会は保健所に設置されている相談センターを通さず、開業医らの判断で検査を受けることができる「PCRセンター(仮称)」を設置すると発表した。医師会が区市町村と連携して今月中にまず10カ所つくり、その後も増やしていく。医師会所属の医師や看護師、事務職員らが対応する構想。検査結果はかかりつけ医が本人に電話で伝え、陽性者は入院や、宿泊施設・自宅で療養するという。
厚労省も地域の医師会などが運営して検査を実施するこうした仕組みを後押しする。15日付で事務連絡を都道府県などに出した。日本医師会は地域の医師会に協力を呼びかけている。開業医らが交代でPCR検査業務をする「地域外来・検査センター」を新たに設けることで、負担の分散と検査数の増加が期待できるという。受け入れに余力があるとされる民間検査会社への委託も想定している。
高山義浩・沖縄県立中部病院感染症内科副部長は「検査数を増やすこうしたセンターを、誰もがしたほうがいいと思っている。だが医師らをどう確保するかが課題だ。医師数が少なく高齢の医師の割合が高い地方で、東京と同様に実施するのは難しいだろう。検査をすれば、重症者も出てくる。入院先を探し、患者を運ぶスキームも必要になる」と話した。
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4.ロシュの新型コロナ抗体検査薬、日本で5月めど申請へ
日本経済新聞 電子版 4月20日 |
スイスの製薬大手ロシュの診断薬事業部門の日本法人であるロシュ・ダイアグノステイックス(東京・港)は20日、ロシュが開発中の新型コロナウイルスの抗体検査薬を日本でも5月中をめどに承認申請する方針を明らかにした。抗体の有無を調べることで、新型コロナウイルスに対する免疫を獲得している人を見つけることができる。
開発中の抗体検査薬は新型コロナにかかった患者の体内に産生された「抗体」の有無を採血で検査する。測定にかかる時間は18分ほどだという。抗体検査は新型コロナ感染者のうち、特に無症状の人を判別するのに役立つと考えられている。ロシュは5月初旬までに抗体検査薬のCEマークを取得するほか、米食品医薬品局(FDA)による緊急使用許可(EUA)の取得を目指す。これらを取得した後に、日本でも承認販売を申請する方針だ。
現在、国内で新型コロナウイルスの抗体の有無を調べる検査薬で承認されたものはないとされる。今回の検査薬は、ロシュが販売する抗体量などを測定する「免疫分析装置」で測定できる。全国に約1500台が存在し、1時間に最大で300人分を測定できる。
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5.後期高齢者、保険料月439円増
毎日新聞 4月18日 |
厚生労働省は17日、75歳以上が加入する後期高齢者医療制度について、4月からの2年間の保険料見込み額を公表した。全国平均で月6397円となり、2018~19年度に比べ439円(7.4%)増える。年額では7万6764円で、5272円増。全都道府県でアップする。保険料の増加は、比較的所得の低い人などを対象とした特例的な軽減措置の縮小が大きな要因。
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