1.肺炎の予防に、入れ歯のそうじを 東北大が効果を発表
1月15日 朝日新聞 デジタル |
入れ歯のそうじをしっかりしていない人は肺炎にかかる確率が高いとする研究結果を、東北大などのチームが発表した。入れ歯の表面につく細菌がそうじをしないことで残り、肺に入り込んで肺炎を起こしている可能性があるという。
高齢者の健康対策づくりなどに取り組む「日本老年学的評価研究」に参加する65歳以上の約7万人に、毎日入れ歯の手入れをしているか、過去1年以内に肺炎を起こしたかを尋ねた。すると、全体の2.3%が肺炎を経験していた。入れ歯の手入れを毎日していない人は、している人に比べ、肺炎を起こす確率が1.3倍高く、75歳以上では1.58倍だった。年齢を重ねることで免疫力が下がり、より肺炎にかかりやすくなっているらしい。
ものをのみ込む力の落ちた人で確認される誤嚥性肺炎のリスクは、入れ歯の手入れを含む口腔ケアによって減らせることが、介護施設に入所している人を対象にした研究で示されてきた。チームの相田潤・東北大准教授(歯科公衆衛生学)は「介護を必要としない人でも、入れ歯を毎日そうじすることは大切。歯科医師による定期的な入れ歯のチェックも受けてほしい」と話す。
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2.歯の骨隆起、治療必要?
1月15日 毎日新聞 医療プレミア |
Q 歯科に通院するたび骨隆起を指摘されます。硬い食べ物が当たって傷になったり、奥歯の歯磨きがしづらかったりしますが、放置してもいいのですか。(埼玉県、女性、73歳)
A 骨隆起は粘膜が薄くなるので、歯ブラシが軽く当たっただけで傷ができるという問題や、骨隆起を取らないと義歯がうまく入らないことがあるため、患者さんの希望を聞いた上で切除します。
骨には表面近くの硬い皮質骨と、内部にあるスポンジ状の海綿骨があります。骨隆起は外骨症とも呼ばれ、皮質骨が局所的に増殖してできた良性の腫瘤で、通常は治療の必要がありません。よくできる場所は、下あごの臼歯から前歯にかけての舌側、上あごの真ん中にあたる正中部です。下あごの犬歯から臼歯にかけての頬側、上あごの臼歯の舌側、頬側にできることもあります。症状もなく増殖し、骨が大きく隆起する中高年になってから見つかるケースが多いです。良性の腫瘍とがんとの鑑別が要りますが、骨隆起は触ると硬いのですぐに分かります。骨が巨大化した場合は、言語の発音に影響が出ることもあります。
硬い食べ物が当たって傷になるのは、粘膜が非常に薄くなっているからで、その場合は取った方がいいでしょう。高齢者は治療のため1日入院してもらうことが多く、手術費用は一般に3割の自己負担で約6万円です。手術にはコツがあって、骨の線維に沿ってノミを当てれば比較的簡単に取れます。慣れている歯科医なら1時間弱程度で終わります。手術後の痛みは、薬を飲めば抑えられます。専門医のいる大学病院の口腔外科や、総合病院の歯科口腔外科を紹介してもらってください。
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3.「若手の待遇悪化」の見方も 全世代型社会保障の中身は
1月14日 朝日新聞 |
安倍晋三首相は今年の内閣の「最大のチャレンジ」に、すべての世代が安心できる全世代型社会保障の実現を掲げた。20日召集の通常国会に労働・年金・介護の改革法案を、早ければ秋の臨時国会に医療の改革法案を出す方針だ。だが、実際に見込まれるメニューは、加速する少子高齢化に十分対応できる抜本改革とは言い難い内容となっている。
政府の全世代型社会保障検討会議が先月まとめた中間報告は、高齢者の就労促進などによって社会保障の「支え手」を増やすことと、負担能力がある人には年齢を問わずより多く負担してもらう「応能負担」を2本柱として打ち出した。就労促進策では、希望する人が70歳まで働ける機会の確保を企業の努力義務にする。来年4月の施行を目指しており、首相は今月6日の年頭記者会見で「意欲ある皆さんが働き続けられる生涯現役の社会をつくり上げる」と意気込んだ。
ただ、年配の働き手を雇い続けたり待遇を保ったりするため、若手世代の待遇を下げる企業が相次ぐとの見方もある。また、非正規雇用は過去最高水準で働き手の約4割に上り、低賃金で生活が苦しい「ワーキングプア」など働き続けざるを得ない人も少なくない。正社員との賃金格差を是正する「同一労働同一賃金」が4月から大企業に適用されるが、どこまで待遇改善につながるかは不透明だ。「応能負担」の柱は、75歳以上の医療費の窓口負担割合の引き上げだ。いまは「原則1割」だが、一定の所得があれば2割にする。具体的な所得の線引きは今後検討するが、全体の半数は下回る方向で、財政改善の効果は限られそうだ。
年金改革でも、将来の年金水準の改善効果は限定的だ。厚生労働省の試算では、モデル世帯が約30年後に受け取る年金額が現役世代の平均収入に占める割合は51.0%で、改革をしない場合と比べて0.2ポイント増にとどまる。無年金・低年金対策でもある厚生年金のパートらへの適用拡大では、適用要件の一つである勤め先の企業規模を、いまの「従業員501人以上」から「51人以上」に引き下げる。新たに対象になるのは約65万人と、企業規模の要件を撤廃した場合の半分ほどだ。首相は年頭会見で、同一労働同一賃金を意識して「年金の世界でも『非正規』という言葉をなくしていく」と語ったが、同じ働き方でも勤め先によって厚生年金に入れるかどうかが異なる状況は残ることになる。
介護保険制度の改革は、政府や自民党はほとんど議論していない。現場は人材不足が深刻で、必要な介護を受けられない人が増えるとの危機感も高まっている。介護人材は2025年度に約34万人不足するとの厚労省推計もあるが、検討会議の中間報告は明確な対応策などは示さなかった。政府は、団塊の世代が75歳以上になり始める22年から社会保障給付の増加が加速し、40年度には18年度の1.6倍の約190兆円に上ると見込む。
制度維持には「消費税率10%超」が必要との見方もあるが、首相が「今後10年間ぐらいは上げる必要はない」と発言したことなどから、消費増税を含む財源論に踏み込まない前提で今回の改革議論は進んだ。政権内には次の衆院選をにらみ、給付と負担の見直しは避けたいとの思惑もある。ある自民党のベテラン議員は「維持可能な社会保障につながる抜本的な改革では、全然ない」と指摘する。
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4.個別指導1.332件 前年度比18件増 ―平成30年度指導・監査の実施状況―
12月19日 厚生労働省 |
平成30年度における保険医療機関等の指導・監査の実施状況が昨年12月19日、厚労省より公表され、歯科における個別指導は保険医療機関等が前年度より18件増の1,332件、保険医等が1,190人増の2,993人であった。
新規個別指導は保険医療機関等が25件減の1,533件、保険医等が122人減の1,853人で、集団的個別指導は266件減の4,705件。適時調査は、前年度の10件から11件に増加した。監査は、保険医療機関等が前年度から5件減の28件、保険医等が11人減の48人に実施した。
保険医療機関等の指定取消等は7件減の12件(指定取消7件、指定取消相当5件)、保険医等の登録取消は1人減の12人(登録取消12人)だった。主な取消理由としては、架空請求、付増請求、振替請求、二重請求といった不正請求が大半を占めた。
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