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日本歯科大学メールマガジン

第444号 2019年12月9日

日本歯科大学メールマガジン

令和元年    
12月12日(木)   ・5年特別講義 13時 6年校友会入会オリエンテーション 14:45 
学生との懇話会 16時半 112講堂 新潟校
・6年第1回卒業試験(〜/13)東京校
16日(月)   ・歯学体結団式・園遊会 東京校
19日(木)   ・5年後期授業中断 東京校
21日(土)   歯学会ウインターミーティング 生命歯学部
24日(火)   ・1〜4 6年冬期休業開始(〜1/5)東京校
・5年一斉技能試験 1〜4 6年冬期休業開始(〜1/7)新潟校
25日(水)   ・5年冬期休業開始(〜1/7)新潟校
28日(土)   ・5年冬期休業開始(〜1/5)東京校
令和2年    
1月6日(月)   ・1〜4年後期授業開始(〜/27)5年臨床実習再開 6年第2回卒業試験(〜/7)東京校
・新年賀詞交歓会 17時 生命歯学部 メモリアルホール
・6年学士試験(〜/7)新潟校
8日(水)   ・5年後期授業再開(〜/22)6年特別授業期②開始(〜/27) 東京校
・1〜5年後期授業再開 1〜4年後期本試験時間表発表 新潟校
17日(金)   ・センター試験準備のため学内立入禁止 東京校
18日(土)   ・センター試験準備のため学内立入禁止 新潟校
25日(土)   東京都校友会新年賀詞交歓会 18時 ホテルメトロポリタンエドモント
・4年OSCE 新潟校
26日(日)   群馬県校友会新年会 18時 高崎市 ホワイトイン高崎
埼玉県校友会新年会 14時 さいたま市 ホテルブリランテ武蔵野
28日(火)   ・1〜5年後期定期試験開始(〜2/6)東京校
 

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1.役員会からの掲示板を更新しました。(12/3・4)
2.学術フォーラム2020の申込サイトを開設しました。(12/2)
3.メールマガジン443号を掲載しました。(11/25)


*趣味の世界で異能を発揮している校友の情報をお寄せ下さい 自薦・他薦可
ホームページ「Hobbyな人々」に掲載します

 
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1.学術フォーラム2020申込を開始

 学術フォーラム2020(令和2年3月15日9:30から開催)の申込が12月2日から開始されました。
 講演は次の7題です。
1)「臨床が楽しくなるぺリオの教養」
関野 愉 歯周病学准教授
2)「周術期って何?はじめよう周術期口腔管理」
池田哲也 杏林大学病院顎口腔外科講師
3)「限局矯正は簡単なのか?それとも難しいのか?」
宮下 渉 附属病院矯正歯科准教授
4)「エンドの審査・診断〜その治療に迷いはありませんか?〜」
田中浩祐 東京都開業医勤務
5)「日常臨床における口腔癌の見分け方〜診断と最新の治療」
里見貴史 口腔外科学講座教授
6)「顎位は舌骨の位置で左右されている」
丸茂義二 日本歯科大学名誉教授
7)「その抗菌薬の処方、間違っています!〜今、術後感染予防で何をどう使うか〜」
松野智宣 口腔外科学講座教授
ランチョンセミナー(LS)は1題です。
「周術期口腔ケア用口腔粘膜保護材 エピシルについて」
井川淳一 東京都開業
テーブルクリニック(TC)は3題です。
1)「知っておきたい!ノンクラスプデンチャーのトラブルシューティング」
竹井 潤 歯科技工士
2)「100歳時代にも大切な総義歯補綴臨床の基本」
上濱 正 茨城県開業
3)「ビギナーのための歯科用CBCT講座〜正しい三次元画像の操作と画像観察手順の収得〜」
河合泰輔 歯科放射線学講座教授
 他にポスターセッション4題とデンタルショーが開催されます。LSとTCは事前申込が必要です。TCは定員がありますので急いで申込をお願いいたします。申込状況は校友会ホームページに掲載中ですので、参考にして下さい。

2.飯田橋駅ホーム移設と駅舎改築工事

 来年の8月に完成予定の飯田橋駅西口ですが、完成図が見えてきました。駅舎は2階建てで、ホームから階段・エスカレーターとエレベーターで1階の改札口に上ります。駅ビルの1・2階には店舗が入り、私の希望では市ヶ谷方面の外堀を眺めながら、食事等ができる施設等ができればと思います。改札口の前に駅前広場が作られ、牛込橋と附属病院前への通路ができます。そのために附属病院に通院する患者さんは便利になります。
 校友会HP「役員会からの掲示板」には詳細が記載されています。

飯田橋駅ホーム移設と駅舎改築工事

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1.75歳以上の医療費、窓口負担増めぐり政府・与党で賛否
 12月3日 朝日新聞 デジタル  

 政府の全世代型社会保障検討会議が今月中旬に取りまとめる中間報告で、医療制度改革の具体案を示すかどうか、政府・与党でせめぎ合いが続いている。75歳以上の受診時の窓口負担を「原則1割」から「原則2割」に引き上げることなどに道筋をつけるべきだとの主張と、来年夏の最終報告まで慎重に検討するよう求める意見がぶつかる。
 公明党は2日、全世代型社会保障推進本部の会合を開いた。石田祝稔政調会長は終了後、窓口負担の原則2割への引き上げや受診時の定額負担の導入に賛成する出席者はいなかったと記者団に説明。一方で、「これが党としての結論ではない」と念を押した。自民党の議論も足踏みが続く。両党は当初、11月中に提言をまとめる予定だった。しかし、政府側から社会保障改革の日程や、原則2割にした場合などの試算が示されないため、ずれ込んでいる。今後、安倍晋三首相の判断が示された場合に、齟齬が生じてはいけないとの思惑もある。
 政府内では、いずれも首相に近い麻生太郎財務相と加藤勝信厚生労働相が、相反する主張を展開している。麻生氏は、全世代型社保会議では有識者の意見が「大きな方向性で一致している」として、「機は熟した。中間報告でまとめてほしい」と強調。窓口負担の引き上げなどに前向きだ。財務省は、団塊の世代が75歳以上になり始める2022年が迫る中、医療費を抑える仕組みを早く整えるべきだとの考えで、来年の通常国会に働き方・年金・医療・介護の改革法案をセットで出すよう求めている。
 加藤氏も、国民の負担増などを議論する必要性は認める。ただ、議論の積み重ねが重要との立場で、6月に閣議決定した骨太の方針に基づき「来年夏に向けて具体的な検討をしていく」と主張する。実際、社会保障審議会(厚労相の諮問機関)では本格的な議論はしていない。自民党内には、来年の通常国会や次の衆院選を見据え、「『桜を見る会』問題への追及が強まる今の政治状況で、負担増を打ち出して政権はもつのか」(閣僚経験者)との懸念もある。

2.医療費 75歳以上、2割負担検討 政府、実施時期調整
 11月28日 毎日新聞

 政府は、75歳以上の後期高齢者の医療費の自己負担を原則1割から2割へ引き上げる検討に入る。財務省や政府の「全世代型社会保障検討会議」(議長・安倍晋三首相)を中心に導入を求める意見が強まっていた。政府は早ければ2022年度からの導入も視野に入れるが、高齢者の負担増となるため、与党と実施時期を含めた調整に入る。
 公的医療保険制度では現役世代の自己負担割合は3割。08年に後期高齢者医療制度が導入されたのに伴い、70〜74歳は原則2割、75歳以上は原則1割(現役並み所得者は3割)を窓口で払う仕組みとなっている。22年以降、人口の多い団塊の世代(1947〜49年生まれ)が75歳になり始め、社会保障費の急増が見込まれる。このため、財務相の諮問機関「財政制度等審議会」は2割への引き上げを提言。26日の検討会議でも、経済界が中心の民間委員の大半や麻生太郎財務相らが低所得者に配慮した上での引き上げに賛同した。
 これを受け、厚生労働省を中心に制度改正の検討に入る。すでに75歳以上の人の1割負担は従来通り据え置く一方、制度の改正以降、75歳に到達する人の2割負担を維持する案を軸に検討が進むとみられる。また低所得者は1割に据え置くといった措置も議論する。厚労省は年明け以降、厚労相の諮問機関「社会保障審議会」で議論する構えだ。しかし、政府の検討会議は12月にまとめる中間報告に方向性を盛り込むよう求めており、調整は難航しそうだ。

3.ストランザ、歯科医院向けキャッシュレスサービス
 11月28日 日本経済新聞 電子版

 歯科医院の予約管理システムを手掛けるスタートアップのストランザ(東京・港)は12月1日から歯科医院向けにキャッシュレス決済のサービスを始める。患者は同社のスマートフォンアプリを使い、現金を使わずに治療代を払えるようになる。患者の待ち時間を減らすほか、医院側の業務負担の軽減にもつなげる。
 キャッシュレス決済サービスの名前は「ささっとPay」。同社は1400の歯科医院向けに予約管理クラウドサービスとPOSレジ、診察券アプリを提供している。これらのサービスをバージョンアップする形で、12月1日からささっとPayを使えるようにする。医院側はささっとPayを導入するかどうか選べる。ストランザによれば国内の歯科医院数は6万8000軒。1軒当たりのスタッフの数は平均5人弱で、小規模な医院が大半を占める。そのため「会計時の現金の取り扱いなど、事務作業の負担が大きな課題だった」という。キャッシュレス会計で負担を減らし、患者へのサービス向上につなげられると同社は説明している。
 患者は現金を持たずに来院し、治療後は会計を待たずに帰ってアプリ上で治療費を決済することも可能になる。子供などが来院する際も家族が付き添わず、アプリで決済することができる。歯科医院では治療後に保険機関に提出する診療報酬明細をコンピューターで入力する必要がある。このため治療が終わってから料金を精算するまでの待ち時間が発生することが多かったという。
 ストランザはサービス利用で予約から会計まで一括管理できる利点を訴え、サービスを導入する歯科医院を広げる。すでに同社のサービスを使っている医院を中心に、2024年までに1000医院への導入を目指す。歯科医院では保険診療や自費診療によって必要な会計手続きが異なるほか、歯列矯正などで多額の現金を前払いする患者もいる。会計が複雑なため「専用サービスの需要がある」と同社はみている。

4.くらしナビ・医療・健康 唾液とむし歯、研究重ね新常識
 11月21日 毎日新聞

 ユニークな研究成果に与えられる「イグ・ノーベル賞」に今年、ある日本人小児歯科医が輝いた。5歳児の唾液が1日に500ミリリットル入りペットボトル1本分にもなることを実験で明らかにしたことが評価された。なにも奇をてらったものではない。受賞の裏には、子どもの虫歯をなくすための長年にわたる地道な研究があった。そこから見えてきた唾液と虫歯の「新常識」を探ってみた。
 イグ・ノーベル賞を受賞したのは、小児歯科医で明海大保健医療学部の渡部茂教授(68)。唾液を研究するきっかけは、今から30年以上前にさかのぼる。定期的にてんかん薬を投与されている知的障害児に対し、採血で薬の血中濃度を調べることがあるが、「唾液から分かれば痛くなくていい」と思いついた。その研究論文が評価されてカナダに留学し、唾液の研究に突き進むことになった。
 当時は「虫歯の洪水」と呼ばれるほど、子どもの虫歯が多かった。予防対策がなかなか進まず、歯科医は虫歯の治療に追われていた。唾液には消化を助ける働き以外に、食べかすからできる酸を中和して虫歯を防ぐ働きがある。ほっぺたの裏や、舌の下から分泌され、口の中の酸や細菌を「掃除」した後、無意識に飲み込んでいるのだ。一方、未解明な点も多く、唾液の働きを明らかにする一端として、渡部教授は食事中の分泌量の分析に当たった。
 まず、物事が理解できるようになる5歳児を30人集めた。リンゴや大根の漬物、ソーセージなど6種類について「かむ」「のみ込まずに吐き出す」を繰り返させた。途中で飽きてしまう子がいるなどの苦労もあったが、かむ前後の食べ物の重さを比べ、唾液の量を確かめた。その結果、1日の唾液量は平均500ミリリットルと推定し1995年に研究成果を発表した。その後も唾液の研究は続いた。中和速度を調べるためオレンジジュースを飲むと、口の中の水素イオン濃度を示す指数であるpHはぐっと酸性の方に振れる。だが、すぐさま唾液が口の中の穴から噴き出し、下の前歯の裏側だとわずか数秒で元のpHに戻ることが判明した。
 10年近く前、「酸で柔らかくなった歯を傷つけないよう、歯磨きは食後30分たってから」という新説が広まったことがあった。だが、渡部教授は自らの実験結果を踏まえ、「瞬間的に唾液が分泌され、歯は酸から守られている。早めに歯磨きをして、酸を生み出す汚れを取り除いた方がいい」と反論する。日本小児歯科学会も同じ内容の提言を発表している。虫歯を防ぐ以外にも、唾液には食べ物を軟らかくし、のみ込みやすくする働きもある。唾液の分泌を減らす薬を飲んだ実験では、かむ時間が1.5倍にも延びた。病気や加齢で唾液が少なくなると、食べるのに時間がかかってしまうというわけだ。
 歯と体を健康に保つのに大事な唾液は、インプラントなどと比べて歯科の中でも決っして「花形」とは言いにくかった。渡部教授は「あまり見向きされなかった分野に賞が光を当ててくれた」と喜んでいる。

5.歯科医師1人を行政処分
 10月31日 厚生労働省

 医道審議会医道分科会の答申を受け、厚生労働省は10月31日に医師4人と歯科医師1人に対する行政処分を決定した。歯科医師(54,大阪府)は飲酒運転と無免許運転による道路交通法違反で業務停止8月の処分となった。

 
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歯科界における諸問題のポイント

消費増税10%と歯科医療費

2019年10月31日 校友会常務理事 田中良彦

【はじめに】
 10月1日より消費税率が10%に引き上げられた。2014年4月に8%になってから5年半振りの増税であるが、前半ではこの増税が予定より4年も遅れたことと増税の必要性について論じ、後半では控除対象外消費税の非課税扱いになっている歯科保険医療費が、2%増税に伴う診療報酬改定によって適正に補填されるのかについて論じる。なお、校友会HP「歯科界における諸問題のポイント」では2016年9月に「消費税と医療を考える」栗山聡著1)を発表掲載した。今年の2月28日に「消費増税10%について」を私2)が掲載したが、今回はこれを1つにまとめて発表する。

【増税の歴史】
1989年4月 3%で施行
1997年4月 5%に増税
2014年4月 8%に増税
2015年10月 増税延期
2017年4月  増税延期
2019年10月 10%に増税
 2012年6月に野田内閣は民主・自民・公明の3党合意3)の「社会保障と税の一体改革」で消費税率を2014年4月に8%、2015年10月に10%に引き上げることを決めた。しかし2014年11月に安倍首相は「来年の消費税10%への引き上げを延期し、2017年4月に確実に引き上げる」と表明し、衆議院を解散した。さらに2016年6月にはこの確実と言った2017年4月の引き上げも再延期した。これらは世界経済の先行き不透明感を理由にし、まさに選挙対策4)として延期した。

【景気腰折れ】
 今までの2回の消費増税では不況をもたらしたと言われている。1回目の1997年はアジア通貨危機と日本の金融危機が主な原因であったし、2回目の2014年は景気の停滞で不況突入とまでは言えない。しかし国民は重税感が増したわりには福祉などが充実したという実感はなかった。今回の引き上げが不況をもたらすとは思われない。駆け込み需要とその反動があるだろうが、2%と低率の引き上げであり、食品などの軽減税率の導入、幼児教育の無料化と住宅・自動車購入の税制優遇策などで景気の落ち込みを防ぐであろう。さらに低所得者や子育て世帯を対象としたプレミアム商品券、キャッシュレス決算へのポイント還元は効果が薄いと疑問視されているが、夏の参院選の対策であるのは間違えない。

【消費税の問題点5)
益税:免税業者(課税売上高1000万円以下)が販売する際に、消費者から消費税として徴収し、納税しない。簡易課税業者がみなし仕入率で計算して実際の仕入率の差が益税になる。
非課税:土地の譲渡及び貸付け 有価証券の譲渡 支払手段の譲渡仮想通貨の譲渡 預貯金の利子及び保険料を対価とする役務の提供等 郵便切手類、印紙、証紙の譲渡 行政手数料等 外国為替業務に係る役務の提供 社会保険医療の給付等 介護保険サービスの提供 社会福祉事業等によるサービスの提供 助産 火葬料や埋葬料 一定の身体障害者用物品の譲渡や貸付け 授業料、入学検定料、入学金、施設設備費、在学証明手数料など 教科用図書の譲渡 住宅の貸付け 
不課税:寄付金 祝金 試供品の提供 保険金・共済金 資産の廃棄・盗難・滅失 心身又は資産について加えられた損害の発生に伴い受ける損害賠償金 国外での取引
 初めて消費税が導入されたときは、非課税取引は8項目であったが、現在は18項目に増えている。そして非課税・不課税取引の範囲、分類が困難である。
仕入税額免除:欧米ではインボイス(仕入税額が仕送状の記載)方式だが、日本では記帳(帳簿に記載)方式である。これは業者の反発を抑えるために認められた。
逆進性:消費者の消費税負担の割合は、高所得者より低所得者のほうが相対的に高い。そして食料品を軽減税率としても逆進性はほとんど変わらない。

【解決方法】
 益税対策は免税業者をなくし、簡易課税制度を廃止する。
 非課税・不課税取引の範囲を可能な限り狭くする。
 仕入税額免除は2023年10月からインボイス方式に変わることが予定されている。
 逆進性は増税によりさらに悪化するので、低所得者は増税分を所得税から控除し、所得のない者は還付申告で戻せるようにする。

【考察:消費税】
 今後、増加していく高齢者の社会保険費をまかなう財源が消費税だとすると、ヨーロッパ諸国の税率20%、北欧諸国の25%に日本の税率も数年後になると思われる。今まで日本の財政を支えてきた団塊世代がリタイヤし、年金生活者となったために彼等から所得税を徴収できなくなったために消費税を増税することが必要になった。そこで明るい老後を暮らしたいので、消費税率を下げても税収を増やす方法があるのかを考察する。
 現在の消費税は課税売上に税率を適用して、そこから課税仕入に際して負担した税額分を控除するので、その企業の付加価値に税率をかけた分を納税する方法である。これは累積課税を排除する方法として優れている。これを仕入に負担した税額分を排除せずに納税する方法に変更する。例えば税率を2%だとして品物を買った場合にすべての流通業者が必ず2%の消費税を支払った場合、生産者から卸業者が、それを二次卸が、それを小売業者が、最後に消費者がそれぞれ2%の消費税を納入する。そうすれば中間流通業者の数が多いほうが、価格にそれぞれの消費税が転嫁されるために小売値が高くなる。消費税は最終消費者が払うものとされているが、流通業者で分けて払えば増税されても負担が楽になる。
 さらに厳格に徴収するためにはマイナンバーを用いたスマホ(デジタル)決済で同時に納税すれば徴収もれはなくなる。ただし、いつどこで誰が何を購入したかが税務署に筒抜けになる。

【歯科医療費と消費増税10%】
 私ども歯科医師は日々の診療において3点増点で51点となった再診料と14点増点で251点となった初診料を算定している。この増点で2%の消費増税に対応できるのかを考えてみたい。
 保険医療費は控除対象外消費税の非課税であるので、医療機関が材料・医薬品・設備等を仕入れに際して支払う消費税を仕入税額控除ができず、医療機関のコストになっている。しかし消費税は事業者が負担するべきものではないことから、診療報酬・薬価・材料価格の改定によりそれを補填している。今回の改定では初・再診料以外では訪問診療料が、薬価と材料価格の一部が消費増税の対応分として増点となり、歯科の改定率は+0.57%、薬価は-0.51%、材料価格は+0.03%となった6)
 2014年に8%に増税された際の対応に補填不足7)が明らか(歯科診療所の補填率は92.3%)になったため、直近の通年実績のNDBデータ等を用いることにより、今回は5%から10%の分について見合う補填点数となるような配点が行われた。
 消費税導入時の使用目的は財政再建と社会保障の安定であったが、今回は子育て(幼児・高等教育の無料化等)にも範囲を広げたのは今後、日本が抱える最大の問題は「人口減少」であることを政府が認識しているからである。そして2%の増税だけでは財政再建や社会保障の安定にはならないのは明らかである。9月に「全世代型社会保障検討会議」がスタートした8)が、検討項目としては高齢者の就労を促しや年金の繰り下げ受給の拡大等と医療分野では高齢者の窓口負担の引き上げや高額薬の保険適用の見直しであり、国民に負担増を求めるものだ。このような社会保障改革は従来の「現役世代が高齢者を支える」という考え方から「年齢によらず負担能力などに応じて支え合う」という方向性を一段と鮮明にした。

【考察:医療費】
・今回の増点は適正な改定か?
 一定期間後に日本歯科医師会が検証するので、その結果を待ちたい。
・保険医療費は消費税を非課税でよいのか?
 今まで30年間非課税であったのを課税に変更するのは技術的に困難である。診療報酬の改定で補填してきたのを、10%の消費税で適正になる診療費を算定するのは無理ではないか。窓口での患者の一部負担金が高くなるのは受診抑制となるのは明らかである。
・安倍首相は今後10年増税しないとコメントしたが、今後北欧並みの20%を超える消費税率となるのか?
 「高福祉・高負担」「低福祉・低負担」など、どのような社会を目指すのかにより異なる。現在の日本は諸外国と比較して「高福祉・低負担」であり、それを支えているのは赤字国債である。

【まとめ】
 消費税の致命的な欠陥はその逆進性である。しかし今後の高齢化、さらに人口減少を考えると消費税のように浅く広く徴収する税金は必要であるので、低所得者対策を万全にして実行すべきである。 
 7月の参議院選挙で消費増税を公約した与党は野党に対して負けなかった。今までは増税を公約した与党は惨敗していたが、今回は国民が増税を支持したのか?投票率が48.8%だったことから、増税に批判的な有権者は受け皿の野党がないために棄権し、選挙前に「年金では平均2.000万円不足」に話題をとられ、消費増税が論点とならなかったためと思われる。
 2040年には高齢者の人口比率が最高に達し、「人口減少」により労働力の低下、税収の減少により国力が低下して財政は破綻している可能性が高い。今、緊喫の課題は「人口減少」への対応で、現在行っている、子供手当てや教育費の無償化では対応できない。子供の数により年金を増額するなどの思い切った対策が必要である。

〈参考文献〉
1)消費税と医療を考える 栗山聡 2016 校友会ホームページ 歯科界における諸問題のポイント
2)消費増税10%について 田中良彦 2019 校友会ホームページ 歯科界における諸問題のポイント
3)3党合意 社会保障・税一体改革に関する確認書 平成24年6月15日
4)朝日新聞 2018.10.31
5)日本の税金 第3版 三木義一 岩波新書 2018
6)消費税と診療報酬について 厚生労働省HP
7)2019年度消費税対応改定について答申 Gem Med データが拓く新時代医療
8)全世代型社会保障検討会議 内閣官房内閣広報室

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