1.歯科点数等を告示
9月3日 厚生労働省 |
消費税増税に伴う歯科診療報酬の改定(令和元年10月1日実施)内容が告示された。初診料が237点から251点に14点増、再診料が48点から51点に3点増となり、他には歯科訪問診療等が増点となった。
なお、同日に薬価基準と材料価格基準の一部改正があり、歯科用貴金属では金パラFMCの小臼歯が821点から876点に55点増、大臼歯が967点から1044点に77点増となった。
詳しくは校友会ホームページの点数早見表をご覧ください。
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2.社会保障改革へ会議新設、安倍政権が検討 負担増が焦点
9月3日 朝日新聞 デジタル |
安倍政権が社会保障改革に関する会議の新設を検討している。政権は参院選への影響を考慮し、国民負担を伴う社会保障改革の議論を先送りしてきた。しかし、2025年以降は人口の多い「団塊の世代」が全員、75歳以上の後期高齢者になる。年金や介護、医療の費用が急増する見通しで、国民の負担増が会議の焦点になる。
安倍晋三首相は2日の政府与党連絡会議で来週、内閣改造を行う方針を表明した。今回の改造では社会保障改革の担当閣僚を改めて任命し、改造後の今月中下旬にも会議を設けるとみられる。会議をめぐっては、公明党の石田祝稔政調会長も8月29日、菅義偉官房長官と面会した際、「社会保障について全体的な会議を作るべきだ」と提言していた。
官邸関係者によると、会議は有識者や関係閣僚で構成するという。議長は首相が務めるとみられる。事務局は内閣官房か内閣府に置く方向で検討が進んでいる。官邸幹部は「1億総活躍、働き方改革、人生100年とやってきたが、すべては全世代型社会保障につながっている」と指摘。今回の社会保障改革について「首相にとっては長期政権の中で、総仕上げ的なものになるだろう」と語った。
社会保障改革の議論を本格化させる背景には膨らみ続ける社会保障給付費がある。政府見通しによると、18年度に約121兆円だった社会保障給付費は、団塊の世代が全員75歳以上となる25年度には約140兆円、65歳以上人口がピークとなる40年度には約190兆円に膨らむ。それだけに財政圧迫の最大の要因となる社会保障給付費の抑制は喫緊の課題になる。
新たに設けられる会議の議論は当面は年金制度と介護保険制度の改革が焦点になる。政府は来年の通常国会に改革関連法案を提出する予定で、会議ではそれに向けた改革の方向性を示すとみられる。
公的年金制度は先月発表された財政検証の結果を踏まえ、高齢者らの就労を促し「支え手」を増やす改革に重点が置かれる見通しだ。想定される主な改革項目には、厚生年金のパートらへの適用拡大や、働いていて比較的収入が多い高齢者の厚生年金をカットする「在職老齢年金制度」の縮小 ・廃止などが挙がる。老後に向けた資産形成を促すため、私的年金「確定拠出年金」の加入拡大を図る見直しも行う。
介護保険制度の議論では、介護サービス利用者の負担増に踏み切るのかが大きな課題だ。介護サービス利用時の自己負担(原則1割)について2,3割負担の対象者の拡大、在宅サービスの利用計画「ケアプラン」の作成費用への自己負担導入などを検討する。一方、医療保険制度は来年夏の「骨太の方針2020」への改革案の明記に向け、議論が進む見通しだ。75歳以上の窓口負担(原則1割)の引き上げや、公的医療保険を適用する薬剤の範囲の見直しなどがテーマになる。ただ、新たな財源が確保されない中では、利用者の負担増につながる改革となるため、意見集約の難航は必至だ。
【負担増、実現に課題】
団塊の世代が75歳以上になり始める2022年以降を見据えた社会保障制度改革の議論が動き始めた。検討項目には、サービス利用者に負担増を求めるメニューが並ぶが、実現には課題が横たわる。政権が設置を検討する新会議が主導する形で議論が進むとの見方もある。
2日は厚生労働省の有識者懇談会で、年金制度改革の柱の一つ、厚生年金のパートらへの適用拡大について、年金財政検証の結果を踏まえた議論が始まった。いまの加入要件は、「従業員501人以上の企業で週20時間以上働き、賃金が月8万8千円以上」など。財政検証の試算では、企業規模や賃金の要件を緩めれば対象者が増え、将来の年金水準が高まることが確認された。
今後は、企業規模の引き下げを中心に検討が進む見通しだが、保険料は労使折半で支払うため、賛否は割れる。2日の懇談会でも連合の代表者が「多くの人が厚生年金を適用されれば、一定の安心を得られる」と適用拡大に賛成したのに対し、日本商工会議所の代表は「適用拡大は企業活動を阻害する。慎重な議論をしてほしい」と注文を付けた。
【厚労省、 官邸主導に懸念も】
懇談会は月内に意見を取りまとめ、議論の場は社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の部会に移る。部会では、働く高齢者の厚生年金をカットする「在職老齢年金制度」の見直しも検討する。「高齢者の就労意欲を阻害する」との批判がある制度を縮小 ・廃止し、社会保障や経済の「支え手」を確保する狙いがある。ただ、年金給付額が最大で年1兆円増える可能性がある。年金財政にはマイナスで、将来の年金水準の引き下げにつながるため、反発が起きるのは必至だ。
介護保険制度改革は8月下旬、同審議会の別の部会で本格的な議論が始まった。原則1割の介護サービス利用時の自己負担の引き上げや、在宅サービスの利用計画(ケアプラン)作成費への自己負担導入などが検討項目に挙がる。いずれも、過去に検討されては見送られた経緯があり、今回も意見集約は難航しそうだ。保険料が上がり、一部で自己負担が2,3割となる中で、当事者からは「生活が立ちゆかなくなるなどの影響がすでに出ている」との声も上がる。
最近は、幼児教育 ・保育の無償化や働き方改革など、社会保障政策で首相官邸主導の色合いが濃くなっている。今回の社会保障制度改革も、新たな会議の位置付けによっては、厚労省の想定とは異なる改革を迫られかねないとの懸念が同省内にはある。
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3.力入れるべき政策1位は「医療 ・年金」内閣府世論調査
8月30日 朝日新聞 |
内閣府は30日、国民生活に関する世論調査の結果を公表した。「今後、政府はどのようなことに力を入れるべきか」(複数回答)では、「医療 ・年金等の社会保障の整備が7年連続1位の66.7%。前年より2.1ポイント増えており、老後の年金への関心の高まりがうかがえる結果となった。
調査は6月13〜30日、18歳以上の1万人を対象に面接で実施し、5492人から回答を得た。63.2%の人が「日頃の生活の中で悩みや不安を感じている」と回答し、その悩みや不安の対象(複数回答)を尋ねたところ、「老後の生活設計について」が前年比1.3ポイント増の56.7%で1位となった。
調査は老後の生活費が2千万円不足するとして資産形成を呼びかけた金融庁審議会の報告書が問題となった直後で、内閣府の担当者は「報告書の影響も否定できない」と話した。「今後、政府はどのようなことに力を入れるべきか」では、「交通安全対策」が前年比7.4ポイント増の22.3%だった。高齢運転者の事故や保育園児が犠牲となる事故が相次いだことが背景にあるとみられる。現在の生活に「満足」と答えたのは73.8%(前年比0.9ポイント減)だった。
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4.歯周病の予兆、歯ブラシが検知 糖尿病診断にも
8月29日 日本経済新聞 電子版 |
歯科スタートアップのノーブナイン(大阪市)は2020年夏、歯周病の予兆を早く検知する歯ブラシを発売する。実用化に向け、創業初期では異例のベンチャーキャピタル1社による1億円を超す出資も受けた。産学と組み、歯ブラシで集めた口内情報を使う糖尿病などの診断や保険といったサービスも検討。増加傾向にある歯周病の新たな対策となりそうだ。
スマートフォンと連携する電動歯ブラシ「SMASH」は3ミリ角の臭気センサーを載せる。歯周病菌は「メチルメルカプタン」というガスを出すことが確認されている。利用者の息から一定の濃度でガスを検知すると、歯ブラシのランプが赤く点灯。19年7月期(決算期変更で7カ月間)の売上高は数百万円で、23年7月期に65億円に引き上げる計画を持つ。技術系企業に投資するビヨンドネクストベンチャーズ(東京 ・中央)を引受先とする第三者割当増資を実施し、1億2500万円を調達した。資金は電動歯ブラシの開発や金型製作、アプリ開発者の確保などに充てる。
「事業モデルによるが、創業間もないシード期に1億円以上をVCI社から調達することは珍しい」(大手監査法人のスタートアップ担当者や銀行系VC)。通常は投資リスクの高さから同規模の調達でも複数社から2千万〜3千万円ずつの出資を受けることが多い。同社がシード期に調達や提携を順調に進める理由はいくつかある。まず「歯科分野のスタートアップ自体が少ない」(関東の独立系VC)。さらに日常的な口内のデータは乏しい。ユニークな製品とそれを基にした情報を使ったサービスの可能性がマネーや企業をひき付ける。
大阪には歯ブラシ関連の企業が多くある。ヤマトエスロン(八尾市)は歯間ブラシの製造技術を生かし、歯科医院向けの小型の歯周病診断装置を開発した。一方、ノーブナインはBtoC製品としての販売を目指しており、歯ブラシ関連産業の裾野の広がりにつながりそうだ。
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5.消費税分969億円、国立大病院が負担 経営を圧迫
8月19日 朝日新聞 |
全国の国立大病院42カ所で、高度な医療機器やベッドなどの購入時に支払った消費税を診療費に十分転嫁できず、2014〜18年の5年間に計969億円を病院側が負担していることがわかった。診療報酬制度の仕組みによるもので、病院の経営を圧迫しているという。
診察に使う機器やベッド、ガーゼなどの消耗品は、病院が購入時に消費税も支払う。一方、公的保険の医療は非課税のため、患者が支払う初診料や再診料などの診療報酬点数に消費税の相当分も含めることで、病院側に補填する仕組みになっていたが初診料や再診料はすべての医療機関でほぼ同額で、高額化が進む手術ロボットなどの先進機器を購入することが多い大学病院などでは消費税分の「持ち出し」が大きいという。全国の国立大病院でつくる「国立大学病院長会議」の試算によると、1病院あたりの補填不足は平均で年約1.3億円(17年度)。税率が8%になった14〜18年の5年間で計969億円に上った。私大の付属病院などでも同様の傾向と見られるという。
医療の進歩にともない、高精度な放射線装置、全身のがんなどを一度に調べることができるCT、内視鏡手術支援ロボットなど、1台数億円する医療機器が登場した側面もある。ある大学病院の医師は「医療機器の更新ができなくなると、患者さんにしわ寄せがいく」と嘆く。
厚生労働省は「おおむね補填されている」としてきたが、16年度のデータを調べたところ、補填率は病院全体で85%にとどまり、国立大病院を含む68カ所の特定機能病院では平均62%だった。同省は、税率が10%になる際は、病院の規模を考慮して、入院基本料などの点数を上げることで対応することにしている。
同会議の山本修一 ・常置委員長は「厚労省に検証を要請するとともに、補填が十分にされるか注視していきたい」と話している。
【増税分は節約で対応】
病院側はコスト削減の工夫を重ねている。米国製の手術支援ロボット「ダヴィンチ」は、難しい手術にも対応できるが、価格は約3億円。がん治療用の高精度な放射線装置は1台3億〜5億円など、このような機器を導入すると、消費税分だけで数千万円かかる。国立大学病院長会議の小西竹生 ・事務局長は「こうした高度な医療を提供する大学病院ほど赤字幅が大きくなる」と話す。
コスト削減の一環として東大病院など39カ所が取り組んでいるのが、入院用べッドのリサイクルだ。病院の地下の一室には、予備のベッドや乳幼児用のベッドなど、数多くのベッドが保管されている。その片隅にはリモコンや手すりなど、一部が故障したものもある。ベッドは1台数十万円するため、更新が滞っている。同会議が大学病院にある2万8千床を調べたところ、耐用年数の8年を超えて使われていたベッドは約7割にのぼった。15年以上使われていたものも3割弱あった。
大学病院は平均700床以上あり、消費税の補填 不足などで経営は苦しく、手術や検査に使う医療機器と比べて更新は後回しにされがちだ。ただ、病院関係者は「整備が不十分だと転倒事故などにつながるおそれもある」と話す。従来は一部が壊れると廃棄していたが、部品を修理したり、まだ使える部品を専門業者がメンテナンスしたりした後、別の病院に融通する仕組みだ。新品は1台数十万円だが、部品なら数万円で済む。
病院で使うガーゼや手袋などを複数の病院で共同調達する試みも始めた。カテーテルやアルコール綿など多くの製品について、現場の看護師がサンプルを比べて品質を確認。品目を絞ったり大量購入したりすることで、価格を下げてもらっている。2016年度に始め、導入前と比べて数億円の削減につながったという。東大病院の塩崎英司 ・事務部長は「消費税の補填不足で経営が苦しい中、今後も知恵を絞って取り組みたい」と話す。 |