1.医療費の誇大広告に課徴金、売り上げの4.5% 厚労省方針
3月12日 朝日新聞 |
虚偽・誇大広告など不当な方法で医薬品を販売した製薬企業に、売上額の4.5%を課徴金として納付させる方針を厚生労働省が決めた。今国会に提出予定の医薬品医療機器法(薬機法)改正案に盛り込む。
製薬大手ノバルティスの高血圧治療薬ディオバンの論文不正事件を受け、虚偽・誇大広告によって得た不当な利益を徴収する必要性が議論されてきた。欧米の制度を参考に、厚労省の検討会で昨年、課徴金制度の導入方針が決まった。現在の法に違反した場合には、刑事罰が科されても罰金の最高額は200万円。医薬品の中には年間の売上額が1兆円を超えるものもあり、課徴金が導入されると、数百億円規模の課徴金の納付が命じられる可能性もある。
課徴金の納付命令は厚労省が企業などに出す。金額は対象製品の売り上げの4.5%。期間は、虚偽・誇大広告を行っていた期間に半年を加えたもの。広告をやめても半年間は影響があるとみているためという。
虚偽・誇大広告の抑止が目的なので、医薬品の製造や販売の許可の取り消し処分を受け十分な抑止効果があると判断した場合や、保健衛生上の影響が軽い場合は納付命令を出さないこともある。売上額が5千万円に満たない場合は対象外とし、自ら違反を報告した場合は課徴金を半額にする。
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2.九州歯科大と北九州市八幡病院が医歯連携
3月7日 毎日新聞 |
北九州市の市立八幡病院(八幡東区)と九州歯科大(小倉北区)が7日、歯科医育成の連携協定を結んだ。八幡病院が小児科を中心に歯科大の学生を受け入れ、教育や研究で連携。口腔内の衛生状態から児童虐待を察知するなど小児医療体制の充実も目指す。小児疾患にかかる医科と歯科の連携は全国でも珍しく、歯科大によると九州では初めて。
調印式は八幡病院であり、伊藤重彦院長と歯科大の西原達次学長が協定書を交わした。5,6年生を対象に、今秋ごろから病院での研修を予定。学生は救急対応も含め臨床現場で小児のさまざまな症例を学び、入院から手術、回復期までの口腔機能管理の知識や技術を向上させる。成人についても、消化器系疾患と口の状態を照らし合わせ、食欲減退抑止などの研究を進めたい考えだ。
歯科大の牧憲司教授(小児歯科)は「総合病院で経験を積ませてもらい、全身がわかる歯科医を育てたい」と話した。
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3.福岡の歯科医師を書類送検へ 麻酔で2歳女児死亡事故
3月7日 毎日新聞 |
福岡県春日市の歯科医院で2017年7月、むし歯の治療後に女児(当時2歳)が死亡した医療事故があり、福岡県警は7日、当時院長だった50代の男性歯科医を業務上過失致死容疑で福岡地検に書類送検する方針を固めた。捜査関係者への取材で判明した。県警は、男性歯科医が容体の変化を見逃さずに救急車を呼ぶなどの適切な対応を取っていたら命を救えた可能性が高いと判断した。
死亡したのは春日市の山口叶愛(のあ)ちゃん。家族によると、17年7月1日にむし歯治療のため医院を訪れ、女性担当医が歯肉に麻酔薬を注射し、約50分間にわたり治療した。治療直後に叶愛ちゃんが目の焦点が合わないなどぐったりしたため、両親は女性担当医から引き継ぎを受けた院長だった男性歯科医に処置を求めたが、男性歯科医は「よくあること」などと説明し、救急などの処置を取らなかったという。
叶愛ちゃんは院内で休んでいたが、約1時間後にけいれんを起こすなどしたため、両親が車で近くの救急病院に連れて行った。意識不明の状態が続き、2日後の3日昼過ぎに死亡した。司法解剖の結果、死因は麻酔薬のリドカインの急性中毒による低酸素脳症だった。男性歯科医は代理人弁護士を通じ「対応は適切だった」としている。歯科医院は事故後に閉院した。
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4.中医協 専門委員に日歯大の田村教授
3月6日 厚生労働省 |
中医協の総会が6日に東京・半蔵門のホテルグランドアーク半蔵門で開かれ、2020年度診療報酬改定に向けた検討の進め方、18年度診療報酬改定での経過措置を設けた施設基準等の取扱いについて了承した。被災地での特例措置や選定療養に導入すべき事例等の提案・意見募集も報告され、日本歯科大学教授の田村文誉氏が1日付で専門委員に就任し、同総会に出席した。
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5.ナカニシ、歯科医療器具ハンドピース 中価格帯を刷新
2月28日 日本経済新聞 電子版 |
歯科治療器具のナカニシは歯科医師が歯を削るのに使うハンドピースのうち、中価格帯品にあたるステンレス製を刷新する。部品点数を削減してコストを抑えつつ、使い勝手を高めたという。ハンドピースは欧米メーカーとの競合が激しくなっており、価格を引き下げた新製品の投入でシェア拡大を図る。
同社はチタン、ステンレス、アルミの3素材でハンドピースを生産している。そのうち、海外でユーザー数の多いステンレス製を刷新する。部品1つ1つの設計を見直し部品点数を削減、1台当たりの価格は10万円以下に引き下げる。空気を送り込んで先端を回転させるタイプは削り心地も滑らかにした。ナカニシはハンドピースで世界シェア25%と首位に立つ。しかし、最近は新製品投入を見越した買い控えや、ライバルメーカーの追い上げが目立ち始めていた。
新製品は世界的な戦略商品と位置づけ、発売から5年で世界シェアを30%に引き上げることを目指す。ドイツのケルンで3月中旬に開催される国際展示会「IDS」でお披露目したのち、連結売上高の3割を占める欧州で売り出す。薬事承認手続きを各国で進めており、日本や米国でも順次発売する。同社は2017年、3カ所に分かれていた研究開発機能を1カ所に集約した。電気回路やモーターなど各部門の開発担当者が密にコミュニケーションできるようにしたほか、最先端の解析シミュレーションソフトも導入。「試作設計のサイクルが早まった」といい、新製品開発にも効果を上げたようだ。
18年には新工場も完成し、研究開発と生産それぞれの機能強化にはメドをつけた。総仕上げとして基幹システムの刷新にも着手する。基幹システムは製品の開発から生産管理、人事労務まであらゆる業務にかかわるが、「現行のシステムはムダが多く、もっとシンプルにできる」と中西社長は話す。このため、社内に専任チームを立ち上げ、改善点の調査に着手しており、20年以降の導入を目指す。システム構築には数十億円を投じる。
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