1.ス厚労省 医師処方薬、配送可能に
11月5日 毎日新聞 |
患者がスマートフォンやタブレット端末で薬剤師の説明を受けて処方薬を自宅に配送してもらえるよう、厚生労働省が医薬品医療機器法(薬機法)を改正する方針を固めた。来年の通常国会に法案提出し、早ければ2020年春の実施を目指す。医師によるオンライン診療は既に一部始まっており、今回の法改正により薬剤師の「オンライン服薬指導」も認めることで、患者は診察から服薬までを在宅で一貫して受けられるようになる。
薬は市販薬(一般用医薬品)であれば今でも通信販売で買えるが、医師が処方する医療用医薬品は、薬機法で薬剤師による対面の服薬指導が義務付けられている。情報通信端末を使って離れた患者の問診をする医師のオンライン診療は、初診は原則禁止などの条件付きながら、今年度の診療報酬改定で導入しやすくなったが、院外処方された薬は調剤薬局まで出向かないと買えないという難点があった。
このため、国は今年5月から、国家戦略特区を利用して、福岡市、愛知県、兵庫県養父市の3地域で薬剤師のオンライン服薬指導を解禁。患者が離島やへき地に居住し医師のオンライン診療を受けていて、薬剤師とは対面が難しい場合に限って、郵送などで薬を受け取れるようになった。厚労省は法改正でこれを全国に広げつつ、特区と同様に地域を山間部などに限定したり、薬剤師に一定の対面指導を義務付けたりといった条件は課す方針だ。
これまでの特区では、要件が厳しすぎて利用が広がっていないとの指摘がある一方、日本薬剤師会などは「患者の安全性が担保できない」と拡大に慎重な姿勢を見せている。法案提出まで、要件を巡って関係者間の詰めの作業が続くとみられる。
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2.ED薬など不適切なオンライン診療、厚労相が指導を徹底
10月30日 朝日新聞 デジタル |
対面での医師の診察を一度も行わずにオンライン診療による勃起不全(ED)治療薬などの処方が横行していることを受け、根本匠厚生労働相は30日、閣議後の会見で「医師法違反の疑いもある事案については保健所が指導する」と述べ、不適切なオンライン診療をしている医療機関を指導する考えを示した。
根本厚労相は、3月に定めたオンライン診療のガイドラインで、医療上の安全性、必要性、有効性の観点から初診での対面診療は「最低限順守する事項である」との認識を示した。例外として初診からオンライン診療が認められるのは、禁煙外来とすぐに適切な治療が受けられない離島など「極めて限定的なケースに限られる」とした。
一方、ガイドラインについては、今後のオンライン診療の普及状況や情報通信技術の進展などを踏まえて定期的に見直す考えも合わせて示した。
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3.大日本印刷、オンライン診療向けアプリを開発
10月25日 日本経済新聞 電子版 |
大日本印刷は25日、スマートフォン(スマホ)を通じてオンライン診療を受けられるアプリを開発したと発表した。スマホのチャットやテレビ電話機能を活用し、医師や管理栄養士が診療をしたり、特定保健指導をしたりする。アプリを通じて手軽にオンライン診療を受けられるようにし、患者の通院負担の軽減につなげる。
アプリ名は「DNP遠隔診療支援サービス ホスピタルリンク」。テレビ電話機能を活用した診療や生活指導に加え、アプリを通じて予約して、医師の特定保健指導を受けることができる。
オンライン診療は高齢などで容易に通院できない患者が増えていることに加え、4月に保険適用が始まったこともあり市場拡大が見込まれている。大日本印刷はアプリを通じて手軽にオンライン診療ができるサービスを、企業や健康保険組合向けに売り込む。2020年度に年15億円の売上高を目指す。
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4.超高額薬 医療費抑制に懸念材料
10月24日 毎日新聞 |
今年のノーベル医学生理学賞に決まった本庶佑(ほんじょたすく)・京都大特別教授の発見を基に開発された新しいタイプのがん治療薬「オプジーボ」は発売当初、超高額な薬の値段(薬価)でも注目されました。医療費抑制の議論が進む中で、高額薬の登場は懸念材料となっています。薬価はなぜ上がっているのでしょうか。
オプジーボの登場 年間3500万円にも
従来の薬に比べ、薬価が極めて高い「超高額薬」は、免疫の仕組みを使ったがん治療薬オプジーボの登場によって初めて注目を集めた。
オプジーボは、小野薬品工業(大阪市)が2014年9月に発売した、皮層がんの一種「悪性黒色腫(メラノーマ)」の治療薬。ほとんど打つ手がなかった進行がんの患者のうち、2〜3割にがんを小さくする効果がみられ、期待を集めた。薬価は100ミリグラムで約73万円。発売当初、メラノーマの予想患者数は年470人とまだ少なく、医療財政に与える影響もそれほど大きくなかった。
しかし、15年12月に肺がんの85%を占める「非小細胞肺がん」にも使えるようになると、薬価はそのままで、患者数が1万人規模にまで一気に膨らんだ。標準的な体格の成人男性に投与した場合、薬剤費は年約3500万円にも達するため、医療財政が逼迫(ひっぱく)して「国民皆保険を破壊するのではないか」との懸念が広がった。
超高額薬はオプジーボだけにとどまらない。スイスの製薬大手ノバルテイスは、患者の血液から免疫細胞を取り出し、遺伝子組み換え技術を使ってがん細胞を攻撃する力を高めて患者に戻す「CAR-T細胞療法」を開発。小児急性リンパ芽球性白血病患者などを対象にした新しいがん治療薬「キムリア」が米国で先行発売されたが、治療1回で47万5000ドル(約5300万円)と極めて高い。日本でも4月に承認申請していて、現在審査中だ。
バイオ医薬品 開発に巨額投資
オプジーボなど超高額薬が誕生した理由は、薬の作り方にある。風邪薬や胃腸薬、高血圧治療薬など、錠剤やカプセルにして売られている一般的な薬と異なり、現在は微生物や動物の細胞由来の「バイオ医薬品」が開発の主流になっている。オプジーボもその一つだ。薬の力沮を握る抗体やホルモンなどのたんぱく質を、遺伝子組み換え技術などバイオテクノロジー(生物工学)を使って作製する。バイオ医薬品は急速な発展をみせていて、市場規模も10年間で2倍に拡大した。扱うのが生物や動物の細胞だけに環境の変化に敏感だ。製造工程が複雑になり、品質管理も難しい。ある製薬会社によると、開発には20年程度の期間と、開発費として数百億〜1000億円規模の巨額投資が必要になる。
日本ではオプジーボのように、他に似た仕組みのない新薬を開発すると、薬価は「研究開発費」や「製造原価」などを考慮して決められる。製薬会社が一定の営業利益を得られるよう、患者数が多ければ薬価は安く、逆に患者数が少なければ薬価は高くなる傾向がある。一方、患者数が少ない病気で画期的な新薬を生み出すと、製薬会社は利益を独占できる可能性がある。まずは患者数の少ない病気で国の承認を得た後、使える病気を広げて患者数を増やしていくという流れは今後も続きそうだ。
国民皆保険への影響 「費用対効果」試行
医療費に対する薬剤費の比率は1998年以降、約2割で推移しているが、超高額薬の登場で今後、医療費全体を押し上げることが懸念されている。そこで、厚生労働省は薬などの費用がその効果に見合うか分析する「費用対効果」の手法を16年度に試行的に導入。オプジーボやC型肝炎治療薬など計17品目が検討対象となっている。オプジーボは、17年2月に特例で薬価が半額に引き下げられたのに続き、18年度の診療報酬改定で、費用対効果に基づき価格を引き下げられた。費用対効果は、欧州で導入されている。英国や豪州では価格を下げるだけでなく、薬を公的医療保険の対象にするかの判断にも使っている。
公的保険が適用されなければ、事実上その薬は使えないことになり、患者らへの影響は大きい。日本でも、来年度からの本格導入に向け、厚労省が費用対効果の活用法や、対象となる薬の選び方などについて検討を進めている。
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5.女性職員3000万円横領か 道歯科医師会 自殺後判明、告訴へ
10月23日 北海道新聞 |
北海道歯科医師会(藤田一雄会長)の事務職員だった50代女性が、複数回にわたって会員の共済保険料計3千万円以上を着服し、他人名義の銀行口座に入金した疑いがあることが22日、同会などへの取材で分かった。同会は業務上横領容疑で札幌豊平署に告訴する手続きを進めている。
同会によると、女性は事務職員として30年以上勤務し、約15年前から今年春まで共済保険の事務に携わっていた。この間、会員の歯科医師らが病気やけがで入院した際に支払われる「入院補償共済保険金」を複数回着服し、女性や同会名義ではない第三者の銀行口座に入金していた疑いがあるという。
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