1.未就学児の医療費、窓口減免が広がる 43都道府県に
8月20日 朝日新聞 デジタル |
小学校入学前の子どもの医療費助成で、医療機関の窓口負担を減らしたり免除したりする取り組みが、新たに9道県で全市町村に広がる。窓口で減免した市区町村に対する国の「罰則」が今年度から廃止されたため。これで、2019年度までに計43都道府県の全市区町村で、患者が窓口で支払う医療費は減免される。
未就学児の医療費の自己負担割合は原則2割だが、子育て支援のため独自に助成する市町村は多い。患者の窓口負担を減免すれば利便性が増し、医療機関で受診しやすくなる。そのため医療費が増えるとして、国は窓口減免をする市町村に対し、国民健康保険(国保)の財源のうち公費負担分を減らす罰則を設定。減額幅は最大約14%で、総額は年75億円規模になる。だが、安倍政権が重視する少子化対策に逆行するため、4月からこの罰則を廃止した。小学生以上の医療費を窓口減免した場合は罰則を維持する。
朝日新聞の調べでは、未就学児が対象の罰則廃止に伴って18〜19年度に、福井、長野、三重、奈良、鹿児島、沖縄の6県で全市町村がほぼ一斉に窓口減免を導入。これまでは患者が窓口で2割負担分を支払い、後で銀行口座などに戻す「償還払い」で助成していた。北海道と富山、長崎両県では一部の市町村が償還払いだが、全て窓口減免になる。償還払いの場合、国の罰則の対象外だった。窓口減免の対象を低所得世帯に限る自治体もある。青森、石川、熊本の3県は償還払いの市町村が残り、神奈川県は「償還払いの市町村があるかどうか把握していない」と回答した。残る34都府県では、すでに全市区町村が窓口減免を実施している。
前田正子・甲南大学教授は「子どもの医療費の助成は子育ての応援になるが、親に受診するかどうかの見極め方を教える機会を増やすことも大事だ。医療にはコストがかかっており、減免した分は税金や保険料で賄っていると自覚してもらう必要もある」と指摘する。
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2.手足口病、北海道で流行の兆し 大人も手洗い念入りに
8月17日 朝日新聞 デジタル |
手足や口に発疹ができる手足口病が、北海道で流行しつつある。医療機関から報告された患者数は全国平均の約3倍。特に札幌や倶知安など、道央地方の保健所管内で増えている。有効なワクチンはなく、道は入念な手洗いなどで予防するよう呼びかけている。
国立感染症研究所によると、手足口病はエンテロウイルスが原因の感染症。3〜5日の潜伏期の後、手足や口に2〜3ミリの発疹が現れる。免疫がない4歳くらいまでの幼児を中心に、夏に流行が見られる。まれに脳炎などを併発する可能性があり、国内でも死亡に至った例があるという。
道感染症情報センターが集計した1定点医療機関あたりの感染報告者数(7月30日〜今月5日)は道内平均で5.13人。全国平均(1.71人)の約3倍だ。異例の高さだった昨年のピーク時の14.54人より少ないが、国の警報レベルの基準(5.00人)を上回る。札幌(10.73人)、倶知安(10.33人)、千歳(6.80人)など道央の保健所管内で増えている。
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3.「ペンギン・ハイウェイ」石田祐康が長編アニメ初監督
8月15日 朝日新聞 デジタル |
森見登美彦の小説をアニメ化した「ペンギン・ハイウェイ」が17日から公開される。大人びた少年の夏をみずみずしい映像にした石田祐康監督は、これが初の長編。京都精華大在学中の2009年に発表した短編「フミコの告白」が文化庁メディア芸術祭優秀賞などを受賞し、DVD化もされた新鋭だ。「子どもの時、映画から受け取ったワクワク感を思い出し、作品に詰め込んだ」と話す。
小学4年のアオヤマ君(声・北香那)は勉強家で自信家。歯科医院で働く「お姉さん」(声・蒼井優)を結婚相手と決めている。ある日、町に大量のペンギンが出現。アオヤマ君の前でお姉さんが缶コーラを投げると、ペンギンに変身した。なぜかはお姉さんも分からない。「この謎を解いてごらん」。アオヤマ君の冒険が始まった。4,5年前に原作を読み、ユニークな主人公と、思いもよらぬ方向へ展開する世界観が気に入っていたが、今回の企画に選んだ決め手は「周りの人たちが僕に向いていると言うので、そうなのかなと」。
13年の短編「陽なたのアオシグレ」は、男の子の恋心を鳥の大群の飛翻(ひしよう)で表現した。本作のクライマックスでも、ペンギンの大群が世界を救うべくアオヤマ君らと飛んでいく。「そういうのが好きなんですかね? 筆のノリで、原作のイメージ以上に大量に飛ばせてしまった」おかしな生き物が潜む森、透明な球体が浮かぶ草原、いじめっ子との対決、夏祭り、台風…心躍る冒険の先に、お姉さんを巡るミステリーが待つ。くだけた調子の蒼井の低い声が、アオヤマ君との年の差や、彼女の“正体”とのギャップを際立たせる。「周りから『声が低すぎるんじゃない?』と言われても『この生っぽさがいいんだ!』と押し通した。クセになる魅力でしたね」
短編を小規模公開した実績しかない監督が、東宝映像事業部の配給により全国約200スクリーンで長編デビューを飾る。自主制作から注目された点でも、「君の名は。」の新海誠監督を想起させる。30歳になったばかりの石田監督は「作っているうちに作品の規模がどんどん大きくなっていって戸惑ったが、多くの人に見てもらえるのは喜び。純粋に作ることを楽しむ思い、初期衝動のようなものを忘れず、作り続けていきたい」。
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4.「そうごう薬局」で口の健康チェック ロッテと共同啓発
8月9日 日本経済新聞 電子版 |
総合メディカルはロッテと共同で口の健康に関する啓発活動を始めた。総合メディカルが展開する「そうごう薬局」などを会場に、主に高齢者を対象に口の健康についてのセミナーやロッテの製品を利用したかむ力の判定などを行う。啓発活動を通じて薬局の集客にもつなげる。
口の機能の衰えが食欲低下や低栄養をもたらし、体の衰えにつながる「オーラルフレイル」の危険性が近年注目されている。同社の薬剤師らを講師として、オーラルフレイルの説明やロッテの「XYLITOL咀嚼チェックガム」を活用したかむ力の判定などを行う。
口の健康に不安のある人には助言もし、歯科医院などへの受診につなげる。料金は無料。当分は九州の薬局37店舗で実施し、年度内に全国の薬局に広げる考え。総合メディカルがロッテと協力するのは初めて。今後も啓発活動などで協力していくという。
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5.医学部入試の男女格差、文科省が全国調査へ 81大学
8月10日 朝日新聞 デジタル |
東京医科大の不正入試問題を受け、文科省は10日、全国の医学部医学科に対する緊急調査を始めた。対象は国公私立の計81大学で、男女の合格率の違いや、受験生によって合否判定で扱いに差があるかなどについて、24日までの回答を求めている。男女別の合格率はこれまで、公表していない大学が多い。
調査は過去6年分の入試が対象で、男女別の年齢別の受験者数、合格者数、合格率、募集要項にない特別な加点や性別や年齢による扱いの差異がないかを問う。「ない」と答えた場合は、正当な手続きだと示せる資料があるかも尋ねる。東京医科大では一部の受験生の点数を加算していたことや、女子や3浪以上の男子が一律に不利となる得点操作をしていたことが明らかになった。林芳正文科相は10日の会見で、医学分野では志願者に占める入学者の割合で男子が女子を上回っていると指摘し、「他の医学部でも同様の事態がある可能性が指摘されている」と述べた。
大学ジャーナリストの石渡嶺司さんが昨年の医学科の入学者数を調べたところ、計44大学で男女比に30ポイント以上の差があった。ただ、多くの大学は男女別の志願者数などを公表しておらず、詳細な検証はできないという。石渡さんは「女性差別がないのであれば、各大学は男女別データを全て公表すべきだ。文科省は徹底的に調査して欲しいと語る。
男女別のデータを公開している大学もある。東海地方のある私立医大の今年度の一般入試の合格率は男子が12.3%、女子が10.3%で2ポイントの差があった。入試担当者は「得点操作はあってはならないし、一切やっていない」と話す。関東地方の私立医大では、一般入試の受験者の男女比は56対44だったが、合格者は77対23で、男子の合格率は女子の倍以上だった。この大学は朝日新聞に「入試担当者が不在のため、対応できない」とコメントした。
東京医科大が入試で女子の得点を一律に減点していた問題で、「東京医大等入試差別当事者と支援者の会」は10日、被害者救済についての具体策の説明と迅速な対応を求める要望書を、文部科学省に提出した。林芳正文科相あてで、17日までの回答を求めている。同会は9日に発足し、3人の女子受験生と約50人の弁護士らが参加している。要望書ではさらに、他大学の医学部入試についても、過去の不正の有無と同省の対応の例示などを求めている。
10日は、超党派の議員らが東京・永田町で緊急院内集会を開催。東京医科大を受験し、他大学に通う女子学生が「受験生はものじゃありません。すべての点数を開示してほしい」と訴えるメッセージが読み上げられた。出席した文科省の担当者は、医学部調査の結果について、大学名も公表することを明らかにした。 |