1.社会保障給付「190兆円に」高齢者数ピークの40年度
5月22日 朝日新聞 デジタル |
65歳以上の高齢者数がほぼピークを迎える2040年度に、社会保障給付費は188兆2千億〜190兆円となるとの推計を、政府が21日の経済財政諮問会議で公表した。高齢者の医療や介護、年金にかかる費用が増えるため、18年度の約1.6倍になる。社会保障を誰がどう支えるのか。推計を踏まえ、負担増や給付カットに向き合う議論が求められる。
社会保障給付費は医療や介護、年金、保育などの制度に基づき支払われた費用。財源は主に税と社会保険料で、自己負担分は含まれない。40年度の推計を出したのは、今回が初めて。年金は18年度の1.3倍、医療費は1.7倍、介護費は2.4倍と介護費が大きく伸びる。また、税負担は79兆5千億〜80兆3千億円と18年度の1.7倍、保険料負担は106兆1千億〜107兆円と1.5倍に膨らむ見通し。国内総生産(GDP)に対する給付費の比率は18年度の21.5%から23.8〜24.0%になるとした。推計にあたっては、経済成長率を年2%前後に置き、過剰な病床の削減や在宅ケアの重視、後発医薬品の普及など、医療や介護の計画が予定通り25年までに進むとした。
前回の推計は12年。民主党政権(当時)が「税と社会保障の一体改革」の中で、団塊世代(1947〜49年生まれ)が全員75歳以上となる25年までを推計し、目指す社会保障の姿とかかる費用を示した上で、消費税を10%に引き上げることも決めた。40年には高齢化率が35.3%と、今より7ポイント上がる見通しだ。高齢者入りする団塊ジュニア世代(1971〜74年生まれ)と団塊世代の人数の多さを反映し、高齢者数は3920万人とほぼピークを迎える。関係者の間では「2040年問題」として以前から認識されていた。今回の推計は、3月29日の諮問会議で民間議員から「40年ごろに高齢者数がピークを迎える。給付と負担の構造について情報共有が必要」との要請があったことを受けて公表された。
今後は給付費をどうまかなうか、その前提として制度をどうするかが問われる。ただ、これまで安倍政権は10%への消費税引き上げを2度延期しており、負担増をめぐる議論は政府内で本格化していない。医療や介護の担い手不足も深刻だ。18年度の従事者数は全就業者数の13%にあたる823万人だが、推計では40年度には全就業者の19%、1065万人が必要だとしてしいる。厚生労働省の担当者は「健康寿命を延ばし、高齢者にも医療や介護の支え手になってもらう必要がある」と話す。
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2.沖縄 南部歯科医師会で着服 女性職員4822万円「生活費に」
5月17日 沖縄新報 |
公益社団法人の南部地区歯科医師会(平良浩会長)に勤務していた50代の女性職員が18年間にわたって、会員が積み立てた共済会費4822万円を着服していたことが16日、同会への取材で分かった。通帳や口座の残高証明書を偽造して発覚を免れていた。2月に退職した女性は、着服金の使途について「生活費に充てた」などと話している。
女性側が既に4200万円を弁済し、将来的に完済する意思を示したことを受け、同会理事会は刑事告訴を見送る方針を固めた。24日の総会で賛否を諮る。同会によると、女性は約25年間勤務し、うち18年間、1人で経理を担っていた。共済会費は会員への融資や病気などの際の見舞金に充てられる。着服されたのは融資の返済金で公的資金などは含まれていない。女性の仕事が頻繁に遅滞することを不審に思った幹部が昨年7月に外部監査を実施したことで発覚。同月から出勤停止となっていた。会員から振り込まれた返済金を毎月20万円程度引き出し、着服していた。監査の際には改ざんした通帳や口座の残高証明を提出した。
同会は浦添市以南の5市4町5村の歯科医師ら計255人でつくる。小中学校への歯科健診など、公益性の高い事業を実施する公益法人で、税制の優遇措置を受けている。
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3.財務省 社保費目安、厳格化を断念 歳出抑制緩む恐れも
5月18日 毎日新聞 |
政府の新たな財政健全化計画の焦点である社会保障費の伸びの「目安」について、財務省は数値目標の見送りを容認する。費用の伸びを「高齢化による増加分の水準におさめる」とした従来計画の文言が踏襲されれば、2019〜21年度は高齢化の伸びが鈍るため、歳出を抑制できると判断したためだ。だが、明確な数値目標がなければ毎年度の予算編成で歳出抑制のタガが緩む恐れもある。
「(75歳以上の)後期高齢者の増加ペースが鈍るのに、従来計画と同じ『3年で1.5兆円』と明記するくらいなら、何も書かない方がマシだ」。財務省幹部は、数値目標の見送りを認める理由をこう説明した。16〜18年度は、社会保障費の伸びを3年間で1.5兆円に抑える数値目標を設定。財務省は、16〜18年度より後期高齢者の人口が少なくなる19〜21年度は、1.5兆円よりも厳しい数値目標を明記したい意向だった。しかし、来年の参院選などを控え、高齢者や医療界の負担増を嫌う与党の一部は猛反発。認められるぎりぎりのラインは従来計画と同じ1.5兆円だったが、財務省は「それでは歳出抑制にならない」と拒んだ。
財務省が数値目標に代わって目を付けたのが、従来計画に盛り込まれている社会保障費の伸びの抑制に関する記述だ。従来計画は、20年度に向けて社会保障費の伸びを「高齢化による増加分に相当する水準におさめることを目指す」と明記して閣議決定されている。財務省は21年度も同じ考えが適用されるよう新たな計画に盛り込むことを調整しており、数値目標に匹敵する歳出抑制規律にしたい考えだけだ。だが、明確な数値目標がなければ、毎年の予算編成で費用の伸びをどこまで抑えるべきか議論が紛糾するのは必至。財政健全化を軽視しがちな首相官邸や与党が圧力を強めれば、財務省の思惑通り社会保障費の伸びを抑制できない可能性がある。
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4.音波併用の電動歯ブラシ、デンタルクス 歯の負担軽減
5月17日 日本経済新聞 電子版 |
歯の健康維持製品を手掛けるデンタルクス(東京・港)は音波を利用して汚れを落とす電動歯ブラシを開発、6月から販売を始める。ブラシを振動させる方式に比べ、歯や歯ぐきへの刺激を少なくできる。価格は1台6980円(税別)。東京都内の雑貨店や歯科医院などで販売、初年度に1000万円の売り上げを目指す。 音波式電動歯ブラシ「Preology cosmetic tooth brush」は、歯の表面の汚れを毛先を当てるだけでなく、音波の振動による水流も利用し毛先が触れていない部分も落とす仕組み。音波振動を併用することで、ブラシの振れ幅を0.5ミリメートルと既存の製品に比べて小さくできる。サイズは長さ155ミリメートル、直径が最大22ミリメートルで単4電池1本で動く。
村瀬玲奈社長は歯科医師。治療で電動歯ブラシを使い、歯が摩耗したり歯ぐきが下がり知覚過敏になる患者もいたため、健康器具メーカーと歯への刺激を少なくする電動歯ブラシを共同で開発した。製造はメーカーが行う。同社は2017年設立。研磨剤や発泡剤、フッ素を使わない歯磨き剤を販売している。
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