1.マニー、独2子会社テコ入れ 不振事業絞り新製品投入
5月1日 日経新聞 電子版 |
医療器具製造のマニーは歯科治療器具の製造販売を手がけるドイツの子会社グループ「SDG」をテコ入れする。マニーの開発部長を送り込み、新製品の開発を急ぐとともに、利幅の薄い代理店事業を縮小する。不振のSDGが連結業績の足を引っ張っており、経営を早期に建て直す。
SDGは削った歯を埋めるのに使う詰め物に強く、グループは製造会社と販売会社の2社からなる。マニーは2015年、自社の歯科治療器具と相乗効果が見込めるとして、両社の全株式を投資ファンドから取得した。製造会社はファンド傘下時に「研究開発費を絞り込まれていた」(マニーの高橋一夫執行役常務)。開発部長の派遣に加え、研究資金も支援し、新製品の投入を急ぐ。販売会社では入れ歯を成形する機械の販売を縮小する。他社製品で利益率が低いためで、今後はSDGの自社製品やマニーの治療器具の取り扱いを拡大する。ドイツ国内の歯科医への営業を強化し、販路も広げる。
SDGの17年8月期の営業利益率は2.4%と、マニー全体(24.8%)に比べ大きく見劣りする。連結売上高で2割弱のSDGが足を引っ張っている形だ。マニーは一連のテコ入れ策でグループ全体の営業利益率を20年8月期までに30%に引き上げを目指す。
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2.医療機関、ウェブにも広告規制 患者の体験談も禁止
5月1日 朝日新聞 デジタル |
医療機関のウェブサイト上の表現が「広告」として規制される。「絶対安全な手術」といった虚偽の内容は罰則つきで禁止され、患者の体験談や未承認薬を使う治療の紹介も原則禁じられる。厚生労働省は近く、具体的な禁止内容を示す指針を公表し、6月に改正医療法を施行、規制を始める。
医療に関する広告は、患者を守る観点から医療法などで限られた内容しか認められていない。ただしインターネット上の情報は、主に患者本人が調べて得るもののため、テレビCMや看板と区別され、法令で規制されていなかった。しかし、保険がきかない自由診療の美容医療などで掲載内容を巡るトラブルが後を絶たず、内閣府の消費者委員会は2015年に厚労省に見直しを要請。規制を強化する改正医療法が6月1日に施行され、SNSなどを含めたネット上の情報でも、特定の医療機関に患者を誘う内容は広告とみなされる。改正法では、内容が虚偽なら6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金を科す。「日本一」「最高」など他施設よりも優秀だと思わせたり事実を誇張したりした表現は、自治体が中止を命令でき、従わなければ罰することができる。
治療に関する患者の体験談は、誤認を与える恐れがあるとして禁止する。個人運営のサイトやSNSの投稿も、医療機関が広告料などの便宜を図って掲載依頼していれば、広告扱いになる。また、割引キャンペーンの案内や末承認の薬を使う治療内容も広告できなくなる。厚労省は医療広告の指針を全面改定し、自治体向けに具体例を示す。一方、今の制度では、医師らの名前や略歴、平均的な入院日数といった厚労省が決めた事項しか広告できない。医療機関のサイトにそのまま適用されると、患者の得られる情報が過度に制限される恐れがあるため、一定の条件を満たせば、これら以外の内容でも広告を認める。
厚労省は昨夏から日本消費者協会に委託し、医療機関などのサイトの監視を強化してきた。不適切な記載がある医療機関に見直しを求め、改善されなければ自治体に情報提供する。今年度もサイトのチェックを続けていく方針という。
規制されるサイト上の医療広告の例
絶対安全な手術 ○○%の満足度(根拠の提示なく)日本有数の実績 著名人も当院で治療 患者による治療の体験談 治療前と後の写真(治療内容、主なリスク、副作用、費用などの説明があればOK) ○○治療し放題プラン ※厚生労働省の資料から
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3.春の叙勲・褒章の受章者 発表される
4月28・29日 内閣府 |
4月28・29日に春の褒章・叙勲の受章者が発表された。歯科関係者では厚労省関係で旭日小綬章が4名と旭日双光章が15名で、文部省関係では瑞宝中綬章が5名と瑞宝 双光章が28名であった。経産省関係では旭日小綬章が1名と旭日中綬章が1名選ばれた。
校友会会員の受章者を下記に掲載する。
厚労省関係 |
旭日双光章 |
奥山 俊 (59回)山形県 |
文部省関係 |
瑞宝双光章 |
堀 悟 (47回)岐阜県
大塚陽生 (48回)北海道
諸岡迪夫 (48回)千葉県
大場敬一郎(49回)愛知県
片田芳朗 (49回)愛知県
渡邉秀甫 (50回)長野県
伏見 勝 (58回)新潟県
吉田紀雄 (60回)高知県 |
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瑞宝中綬章 |
吉田隆一 (54回)本部取扱
柴崎浩一 (特別)本部取扱 |
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4.自民党 75歳医療費、引き上げ先送り検討
4月27日 毎日新聞 |
75歳以上の高齢者が医療機関の窓口で支払う医療費の自己負担を2割に引き上げる財務省案について、自民党の財政再建に関する特命委員会(委員長・岸田文雄政調会長)は、骨太方針に向けて5月にもまとめる報告書に、引き上げ導入の先送りを盛り込む方向で検討に入った。報告書の素案では「団塊世代が後期高齢者入りする(2022年)までに結論を得る」と記述が後退しており、財務省が求める早期の実現は困難な見通しだ。
高齢者の医療費の自己負担は現在、69歳までは現役世代と同じ3割、70~74歳は2割で、75歳以上は1割となっている。財務省は75歳以上について自己負担を2割に引き上げる提案をしており、特命委員会の下部組織に当たる党財政構造のあり方検討小委員会(小委員長・小渕優子元経済産業相)も同様の中間報告案をまとめていた。しかし、この提案に対し、党厚生労働族議員らが反発。来年には参院選があることから政府・与党内にも慎重な意見があった。このため、特命委員会がまとめる報告書は、財務省などの案から大幅に後退する見込みだ。
また、財務省が求めている賃金の伸びや人口減に応じて医療費の自己負担を自動的に調整する新たな医療保険制度についても、小委の中間報告案では「導入する」と記されていたが、素案では「導入を検討する」に後退した。27日の党厚労幹部会でも反論が相次いだため、今後、さらに調整する。
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5.介護と医療 複合施設、首都圏で展開加速 岡山のはれコーポ
4月26日 日経新聞 |
有料老人ホーム運営を手掛けるはれコーポレーション(岡山市)は老人ホームと医療機関、調剤薬局などを組み合わせた複合施設の展開を首都圏で加速する。人口が集中している東京都や神奈川県、千葉県、埼玉県で今後5年間に10カ所の開設を計画。周辺の医療機関とも連携し、安心感や利便性をメリットとして利用者をつかむ考えだ。同社は2012年から複合施設の展開を開始。鹿児島市と川崎市幸区、さいたま市中央区で老人ホームにクリニック、調剤薬局、訪問看護ステーションなどを併設した敷地面積3000~5000平方メートル規模のモール型施設を開設してきた。
新たに5月に、さいたま市見沼区で敷地面積約6900平方メートルのモール型施設を開業する。住宅型老人ホーム(全80戸)に隣接して地元の内科・外科、耳鼻咽喉科、歯科のクリニックと調剤薬局が立地する。土地と建物は地主からの30年一括借り上げで、初期投資を抑制。建物の総建築費は約13億円で、半分強をはれ社が負担して残りをクリニックなどが負担する。3つのクリニックは老人ホームヘの訪問診療に対応しており、緊急時の態勢も整えた。周辺の数カ所の医療機関とも連携し、モール内にあるクリニックの診療科目以外の症状でも迅速に診察を受けられるようにした。今後は街の中心部から車で15~20分程度の郊外では敷地面積5000平方メートル程度の「平面型」を、駅周辺の1800平方メートル前後の土地では5階建て程度の建物に施設を集める「立体型」を展開。20年夏には千葉県内に立体型施設の新設を予定するなど、今後5年で10カ所程度に開設する計画だ。投資額はいずれも十数億円程度を予定する。
同社は福島県から鹿児島県までの17都府県で39の有料老人ホームを運営している。これらの運営で培った地域の提携網を生かして医療機関や調剤薬局の誘致を進める。開発については大和ハウス工業と業務提携しており、各地の大地主に提案。今後は他の住宅メーカーと組むことも検討し、地域のニーズに応じて保育園やリハビリテーション施設を加えるなど構成を変更する。上川敏文社長は「老人ホーム単体では周辺施設との競争が厳しい」と話しており、今後も老人ホームの新設に併せて複合施設を整備していく方針だ。厚生労働省が提唱している、地域で医療・介護や生活支援などを一体的に提供する「地域包括ケアシステム」にも適合するとしている。
はれコーポレーションの年6月期の売上高は4億6000万円。有料老人ホームの運営に加えて、18年2月には保育事業にも参入した。
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4.「1人で虫歯が7〜8本」「要受診」でも半数放置 千葉県内の小中学生 保護者環境が左右か 医師団体初調査
4月25日 千葉日報 |
年度当初の学校歯科健診で虫歯など口の健康に問題が見つかり、詳しい診察や治療が必要(要受診)と判断された千葉県内公立校の小中学生のうち、約半数が年度内に受診していないとの調査結果がまとまった。開業医らでつくる県保険医協会が2016年度分を対象に初めて調査した。各校からは、未受診は保護者の環境に左右されるとの指摘が目立ち、共働きや一人親で時間的余裕がない実態や意識の差がうかがえる。
同協会によると、調査は公立の全小中学校と特別支援学校に昨年10〜12月、郵送方式で実施。37.2%に当たる454校(約15万5千人分)の回答を得た。16年度(一部校は17年度分で代替回答)の歯科健診で「要受診」とされたのは児童生徒全体の約3割。このうち、保護者を通じ同年度末までに受診を確認したのは47.5%で、半数超の52.5%が未受診だった。各校の養護教諭からの補足回答では「1人で虫歯が7〜8本」「根しか残っていない未処置歯が複数」と実例を挙げた上で「保護者の仕事が忙しくて(一人親や病気などの場合も)時間的余裕がなく、受診できないようだ」「何度か受診を要請しているが、保護者の関心の薄さを感じる」との報告が目立ったという。
県によると、県内で拡大が進んだ子ども医療費助成は歯科も対象で、小中学生の1回の窓口負担(保険診療)は最大でも500円。しかし、今回の調査では「経済的困難」を未受診の要因に挙げた回答も寄せられた。同協会によると、生活上の余裕のなさが保護者の多忙や助成制度の未把握、少額でも治療を先延ばす事態につながるという。学校歯科健診を長年担当している野崎泰夫副会長は「虫歯の子は以前より減ったが、虫歯がある場合は本数が多い二極化も感じる。治療に行けない子が生じないよう学校や地域と連携し、例えば近所の高齢者が付き添うような仕組みも整えられれば」とした。
未受診率は小学生で46.5%とやや下がり、中学生では70.1%、特別支援校の児童生徒は60.1%。中学生で増える理由は部活動で忙しくなったり、保護者との意思疎通が薄くなることも考えられるという。県教委によると、学校安全保健法で歯科健診を含む健康診断は年1回、6月30日までの実施が義務。一方、検診後の追跡確認方法は市町村や各校に任される。 |