1.日医大6.6億円申告漏れ、国税指摘 謝礼計上せず
2月10日 朝日新聞 |
学校法人・日本医科大学(東京都文京区)が、2017年3月期までの7年間で計約6億6千万円の申告漏れを東京国税局から指摘されたことがわかった。このうち約2千万円は、付属病院の医師の派遣先からの謝礼などを計上していなかったとして所得隠しと認定されたという。同大は「ほとんどは解釈の違いによるものだが、指摘に従い修正申告した」としている。
関係者によると、申告漏れの大半は学校法人などの非課税制度をめぐるもの。公益目的事業に関係するとして申告した管理費の一部を、課税対象の収益事業に関係すると認定された。さらに、同大は各地の医療機関からの求めで付属病院の医師を派遣しているが、派遣先が支払った謝礼や紹介料などの一部を、学校法人の口座ではなく、派遣された医師が所属する医局の口座で受け取っていた。民間企業からの委託研究費などの一部もこうした口座に入っていたという。
国税局は、これらの入金は収益事業で法人所得として申告すべきだったと認定した模様だ。国税局から所得隠しと認定された医師派遣の謝礼や企業からの委託研究費。日本医科大の医師らは「実態が見えにくい。もっと透明にすべきだ」と指摘する。「派遣先が田舎の小さな病院ほど、主任教授への『お礼』は大きいようだ」。同大付属病院の40代の男性医師はそう話す。「派遣」の形は様々で、付属病院を退職して再就職先で1年ほど常勤をすることもあれば、在籍したまま週1回だけ診療を請け負うような例もあるという。「都心の病院でのアルバイトならいいが、引っ越して地方の病院で働くとなると多くの医師は尻込みする。そういう場合、病院側が主任教授にけっこうな額を払ったと聞いたことがある」
同大の元主任教授の男性は在職中、盆暮れに企業や医療機関から大量の付け届けがあったと明かす。家族が現金入りの封筒を受け取ってしまったこともあったといい、あわてて送り返した。「自分は断ったが、受け取る人間がいても驚かない」と話す。同大の広報担当者は「外部との資金のやりとりは学校法人が窓口だが、一部の医局で徹底されていなかった」としている。
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2.30年度診療報酬改定 個別改定項目について 歯科関係
2月7日 厚労省 中医協 |
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000193003.html
2月7日に中医協総会が厚労省で開催され、平成30年度診療報酬改定案を加藤勝信厚労大臣に答申した。歯科関係の改定内容を抜粋して記載するが、詳細は厚労省の発表を参照のこと。
Ⅰ 地域包括ケアシステムの構築と医療機能の分化・強化、連帯の推進
・地域包括ケアシステム構築のための取組の強化
A 歯科医療機関連帯加算の対象拡大
歯科訪問診療に関する情報提供を行う場合の情報提供先及び対象患者を拡大する。
B 診療情報の共有に対する評価の新設
診療情報連携共有料 120点
慢性疾患等を有する患者であって、歯科治療を行う上で特に検査値や処方内容等の診療情報を確認する必要がある患者を対象とする。
C 関係機関の連帯強化に向けた退院時共同指導料の見直し
入院中の患者が退院後に安心して療養生活を送ることができるよう、関係機関間の連携を推進するため、退院時経堂指導料について、医師及び看護職員以外の医療従事者が共同指導する場合も評価対象となるように見直す。
D 周術期口腔機能管理の推進
地域包括ケアシステムの構築に向けて医科歯科連携を推進する観点から、周術期口腔機能管理に係る一連の項目について、対象患者の拡大や明確化などの見直しを行った他、地域歯科診療支援病院歯科初診料の施設基準について、周術期口腔機能管理の実績を選択可能な要件の一つにした。
・かかりつけ歯科医の機能の評価
かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所の施設基準の見直し。
・在宅歯科医療の推進等
効率的で質の高い在宅歯科医療の提供体制を確保するため、歯科訪問診療料や訪問歯科衛生指導料の評価のあり方を見直すとともに、入院患者や介護保険施設入所者等や通院困難な小児に対する口腔機能管理を充実させた。
歯科訪問診療移行加算
イ かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所の場合 150点 ロ イ以外の場合 100点
外来を受診していた患者が通院困難になり、歯科訪問診療に移行した場合に、外来受診時のかかりつけ歯科医が継続的に歯科訪問診療を行った場合の評価を新設。
在宅等療養患者専門的口腔衛生処置 120点
在宅等で療養する患者に歯科衛生士が専門的な口腔衛生処置を行った場合の評価を新設。
栄養サポートチーム等連携加算1・2 80点
栄養サポートチーム等と連携して口腔機能管理を実施した場合の評価を新設。
小児在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料 450点
通院困難な小児に対する歯科訪問診療を充実させる観点から、口腔衛生・管理や口腔機能管理等を包括した評価を新設。
Ⅱ 新しいニーズにも対応でき、安心・安全で納得できる質の高い医療の実現・充実
・口腔疾患の重症化予防、口腔機能低下への対応、生活の質に配慮した歯科医療の推進
a 歯科外来診療における院内感染防止対策の推進
歯科初診料 237点 歯科再診料 48点
基本診療料(歯科初診料、歯科再診料)及び歯科訪問診療料の注13に規定する点数の引き上げを行うとともに、歯科初診料及び歯科再診料に対して院内感染防止対策に関する施設基準を新設する。また、地域歯科診療支援病院歯科初診料の施設基準に院内感染防止対策に関する内容を追加する。
歯科初診料 226点 歯科再診料 41点
新たに設ける院内感染防止対策に関する施設基準の届出がない医療機関については、初診料及び再診料を減算する。
b 歯科外来診療環境体制加算の見直し
歯科外来診療環境体制加算1 23点 再診時歯科外来診療環境体制加算1 3点
地域歯科診療支援病院初診料の施設基準を届けていない歯科医療機関
歯科外来診療環境体制加算2 25点 再診時歯科外来診療環境体制加算2 5点
地域歯科診療支援病院歯科初診料の施設基準を届け出ている歯科医療機関
c ライフステージに応じた口腔機能管理の推進
歯科疾患管理料 小児口腔機能管理加算 100点
口腔機能の発達不全が認められる小児のうち、特に機能不全が著しく継続的な管理が必要な患者に対する評価の加算を新設。
歯科疾患管理料 口腔機能管理加算 100点
老化等に伴い口腔機能の低下が認められる高齢者のうち、特に機能低下が著しく継続的な管理が必要な患者に対する評価の加算を新設。
d 全身的な疾患を有する患者に対する歯科医療の充実
全身的な医療管理が必要となる特定疾患を有する患者に対する歯科特定疾患療養管理料の対象に、医科との連携が重要な骨吸収抑制薬関連顎骨壊死及び放射線性顎骨壊死を追加する。
歯科疾患管理料 総合医療管理加算 50点
歯科疾患在宅療養管理料 総合医療管理加算 50点
歯科治療総合医療管理料(Ⅰ)及び在宅患者歯科治療総合医療管理料(Ⅰ)の廃止に伴い、歯科治療を行うに当たり総合的医療管理が継続的に必要であるとして医師からの診療情報の提供を受けた患者に対する医療管理(モニタリングは含まない。)の評価について、歯科疾患管理料及び歯科疾患在宅療養管理料の加算を新設。
e 脳血管疾患等リハビリテーション料の対象患者の見直し
対象患者について、舌悪性腫瘍による舌切除等による構音障害を有する患者を追加する。
f 歯科固有の技術の評価の見直し等
歯周病患者画像活用指導料 10点
口腔内写真検査について、歯周疾患の管理にあたって口腔内写真を活用して指導を行った場合の評価として位置づけを見直す。
機械的歯面清掃処置
2月に1回に限り算定する。ただし、初診料、再診料又は歯科訪問診療料に規定する歯科診療特別対応加算を算定する患者及び妊婦については月1回に限り算定する。
有床義歯内面適合法 歯科技工加算1 50点 有床義歯内面適合法 歯科技工加算2 30点
有床義歯内面適合法の「2 軟質材料を用いる場合」について、義歯を預かった当日又は翌日に床裏装を行い、装着した場合の評価を新設。
有床義歯咀嚼機能検査 舌圧検査
検査の新設と適応拡大
咀嚼能力検査 140点 咬合圧検査 130点
適合した施設基準を届けた保険医療機関において、当該検査を行った場合に6月に1回を限度として算定する。
精密触覚機能検査 460点
適合した施設基準を届けた保険医療機関において、当該検査を行った場合に月に1回を限度として算定する。
床副子に関する技術の見直し
口腔粘膜処置(1口腔につき) 30点
適合した施設基準を届けた保険医療機関において、レーザー照射により当該処置を行った場合に月に1回を限度として算定する。
埋伏歯開窓術 2.820点
口腔粘膜血管腫凝固術(一連につき) 2.000点
レーザー機器加算1 50点 レーザー機器加算2 100点 レーザー機器加算3 200点
適合した施設基準を届けた保険医療機関において、当該手術を実施した場合に算定する。
口腔機能の回復等に関する技術
歯科矯正に関する技術
高強度硬質レジンブリッジ(1装置につき) 2.500点
高強度硬質レジン及びグラスファイバーを用いてブリッジを作製した場合に算定する。
g 特定薬剤等の算定見直し
薬価から15円を控除した額を10円で除した点数につき1点未満の端数を切り上げて得た点数に1点を加算して得た点数とする。注1 薬価が15円以下である場合は、算定できない。
・明細書発行の推進
公的負担医療に係る給付により自己負担がない患者についても、電子レセプト請求を行っている保険医療機関及び保険薬局については、関連規則等を改正し、自己負担がある患者と同様に、無料発行を原則義務とする。
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3.2025年へ医療の効率化急務 診療報酬改定
2月7日 日本経済新聞 電子版 |
医療サービスの公定価格である診療報酬について、2018年度からの詳細な改定方針が7日、決まった。地域のかかりつけ医への報酬を手厚くするほか、大病院との役割分担も進めて効率的な医療の提供体制をつくる。ただ、団塊の世代が全員75歳以上になり社会保障費用が急増する25年に向けた対策は踏み込み不足で、課題は多い。
中央社会保険医療協議会(中医協、厚生労働相の諮問機関)で了承された。今回の改定の柱の一つがかかりつけ医への報酬の増額だ。800円(自己負担は最大3割)を初診時に上乗せする。身近な健康相談や大病院との仲介役も担うかかりつけ医を広め、軽症の患者はかかりつけ医が、重症なら大病院が診る。医療機関による役割分担を明確にする。ただ、中医協では上乗せする800円の金額の妥当性については議論が無かった。どの診療所がかかりつけ医の要件を備えているのか、患者側からはわかりにくい問題もある。
今回の改定は医療費の抑制という点からは踏み込み不足も目立った。医師の人件などに充てる診療報酬本体の改定率は0.55%増と6回連続のプラス改定でマイナスにはできなかった。薬の公定価格である薬価を下げる帳尻合わせが続く。医療機関の役割分担の明確化も道半ばだ。大病院には、本来の高度医療を必要とする患者に集中させる。そのためかかりつけ医の紹介状がない場合に初診で5千円以上の患者の定額負担額をさらに引き上げたり、現在は500床以上となっている対象病院を拡充したりすることが必要だ。拡充については中医協では200床以上の病院とすべきだという意見もでたが、結局は400床以上となった。
国民の高齢化が進み、コストの高い高度医療が広まるなか、健康保険組合連合会の推計では、国民医療費は25年度に57兆8千億円に膨れあがる。足元と比べると4割増、75歳以上に限るなら7割増しとなる。大企業の会社員の健康保険料率は平均して10年連続で上昇しており、今後は高齢者を中心とした負担の見直しが必要になる。原則、1割である75歳以上の医療費窓口負担を段階的に2割にすることなどが検討課題だ。高齢者は所得が少なくても資産は比較的多いケースが多い。金融資産額を考慮した負担のあり方が焦点になる。2つめは薬剤費の自己負担のあり方だ。市販品と同一成分の医薬品なら、医療機関で処方されても負担割合を3割から引き上げるといった見直しが今後必要になる。
今回の改定は介護サービスの公定価格である介護報酬の見直しと同時だ。自立支援や重度化防止の後押しなどを盛り込んだものの踏み込み不足だった。「社会保障費の抑制目標を設けた上で、出来高払いから定額払いへの転換を進めていくべきだ」(日本総合研究所の西沢和彦主席研究員)との指摘も根強い。
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4.診療報酬改定 かかりつけ医機能強化 24時間往診に加算
2月7日 毎日新聞 |
4月から適用される医療サービスの公定価格、診療報酬の改定内容が7日決まった。厚生労働相の諮問機関、中央社会保険医療協議会(中医協)が答申した。身近な「かかりつけ」の役割を強化するため、複数の診療所と連携し、患者に24時間対応できる態勢を整えた場合に報酬を手厚くする。一方で重症者向けの急性期病床は要件を厳しく見直し、長期間の入院より、自宅や施設で受ける医療をより一層進める。
超高齢社会の到来で‘慢性期の患者が増大するのを見据え、地域の中で患者を継続的に診る開業医のかかりつけ機能を強化する。医師が複数の医療機関と協力し24時間の往診と随時連絡が取れる態勢を取った場合の「継続診療加算」を新設する。夜間休日に対応するなど、かかりつけ医として患者を診た場合、初診料に800円を加算する「機能強化加算」も設ける。特別養護老人ホームなどへの訪問診療・看護で患者をみとる場合も報酬を手厚くする。一方、患者7人に看護師1人という手厚い配置で入院基本料の高い急性期病床は、引き続き減らす方向だ。改定後は看護師の配置基準だけでなく、重症患者の入院割合なども加味した入院基本料に変更する。紹介状なしに大病院を受診した患者に5000円以上の追加負担を求める対象も、現在の500床以上の病院から400床以上に広げ、かかりつけ医と大病院との役割分担をさらに進める。
タブレット端末やテレビ電話など情報通信技術(ICT)を使い、医師から離れた場所でも診察を受けられる「遠隔診療」の利用を促す仕組みも整えた。同じ医師が初診から半年以上にわたり診療した患者に対し、モニター画面を通じ診察した場合などに「オンライン診療料」(1カ月当たり700円)を新たに認める。月に40万枚を超える処方箋を扱う「門前薬局」のグループに属し、特定の病院による処方菱の割合が85%超の薬局は報酬を引き下げる。
診療報酬は、2年に1度改定される。政府は昨年末、前回より薬価を1.74%引き下げ、診察料などは0.55%引き上げることを決めた。中医協はこの財源内で個別の値段を設定した。患者が実際に支払う診察料や薬代は、自己負担割合(1〜3割)によって異なる。
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5.「C2」で3製品承認
1月31日 厚労省 中医協総会 |
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000192796.html
1月31日に厚労省の中医協総会で医療機器の保険適用について、C2区分で歯科3製品の4月からの保険収載が了承された。
「エピシル口腔用液」ソレイジア・ファーマ(株)は化学療法や放射線療法に伴う口内炎に対し、物理的バリアを形成することにより口腔内疼痛の管理及び緩和を行うことを目的としている。口腔内病変の被覆及び保護をする非吸収性の液状機器であり、口腔粘膜に適量を適用すると数分内に口腔粘膜の水分を吸収しゲル状になり、物理的バリアを形成することにより、口内炎で生じる口腔内疼痛を管理及び緩和する。適応患者は周術期口腔機能管理計画に基づき、口腔機能の管理を行っている者。
「フィジオ ソフトリベース」(株)ニッシンは義歯の内面に加熱重合(間接法)で裏装するアクリル系の軟質裏装材であり、義歯の適合を改善することを目的とする。アクリル系軟質裏装材は従来のシリコーン系より局所的な圧力の緩和効果が高く、加熱重合であるので半年から1年程度の耐久性を有する。適用範囲は顎堤の吸収が著しい又は顎堤粘膜が菲薄であるなど、硬質材料による床裏装では症状の改善が困難である下顎総義歯患者。
「ジーシー エクスペリア」は、コンポジットレジンとグラスファイバー(ファイバーC&B及びファイバーネット)により構成され、メタルフリーの臼歯3歯ブリッジを作製するシステムである。模型上で、クラウン部分のフレーム(ファイバーネット)の圧接及びポンティック部分のフレーム(ファイバーC&B)を作製後、ボディ部分にコンポジットレジンを築盛し、光重合及び加熱重合することにより、ブリッジを作製する。適応範囲は上下顎両側の第二大臼歯が全て残存し、左右の咬合支持がある患者に対し、過度な咬合圧が加わらない場合等の第二小臼歯の欠損に対するブリッジ(金属アレルギーを有する患者はこの限りではない)である。
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