1.日歯連 迂回献金 元会計担当控訴
2月2日 毎日新聞 |
政治団体「日本歯科医師連盟」(日歯連)の迂回献金事件で、政治資金規正法違反に問われた会計担当の元副理事長、村田憙信被告(73)の弁護側は1日、禁錮2年、執行猶予3年とした東京地裁判決を不服として、東京高裁に控訴した。
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2.協会けんぽ 都道府県別の保険料率決定
1月30日 毎日新聞 |
中小企業の従業員ら約3900万人が加入する協会けんぽは29日、2018年度の都道府県ごとの保険料率を決めた。最高は佐賀の10.61%、最低は新潟の9.63%。全国平均は10.0%で4月納付分から適用する。
保険料率は、都道府県ごとにかかった医療費や年齢別の加入者数などを反映させて決める。2位は徳島(10.28%)、3位は大分(10.26%)だった。新潟に次いで低いのは、長野(9.71%)、静岡(9.77%)だった。料率を引き上げるのは18道府県で、佐賀は上げ幅も0.14ポイントと全国で最大だった。一方、24都県は料率を引き下げた。青森、千葉、神奈川、岡山、宮崎の5県は据え置く。
保険料は労使で折半するため、全国平均の10.0%の保険料率の場合、月給28万円の平均的な加入者の本人負担は月1万4000円となる。加入者のうち、40〜64歳の人が協会けんぽを通じて納める18年度の介護保険料率(全都道府県で一律)は、前年度比0.08ポイント減の1.57%に引き下げる。
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3.在宅医療、2025年に100万人 診療・介護態勢整備へ 厚労省推計
1月26日 朝日新聞 |
団塊の世代がすべて75歳以上となる2025年に在宅医療を受ける人が100万人を超えることが、厚生労働省の推計で分かった。現在の1.5倍以上の規模になる。各都道府県は国の算定方法に基づく詳細な推計を実施。これを踏まえて年度内にまとめる医療計画で、在宅医療の態勢作りを加速させる方針だ。
自宅や介護施設で訪問診療を受けた人は16年6月時点で約67万人いる。厚労省は今後の高齢者の増え方を考慮し、25年の利用者数を約100万人と推計。現在の入院患者のうち、軽症で本来は入院の必要がない高齢者らが25年時点で約30万人いるとして、その一部も在宅医療の対象に加えた。医療費の抑制も狙い、政府は入院患者を在宅医療に移す流れを進めている。25年の入院患者用のベッドは現在より10万床以上減らして約119万床とする計画だ。その分、在宅医療の受け皿を増やすため、24時間態勢で診療したりケアをしたりする医療機関や介護事業者への報酬を手厚くして後押しする。
また、死亡者数は16年の約130万人が25年には約150万人に増えると推計されている。医療機関だけでは対応できなくなる「みとり」を在宅医療が担うことも促していく。国民の多くが自宅で亡くなることを望んでいるという調査結果もあるが、16年の死亡者のうち自宅で亡くなった人は13%にとどまるためだ。ただ、自宅で在宅医療を受ける場合、公的な在宅介護サービスを使っても患者を支える家族の負担は大きくなりがちだ。また、在宅医療の有効性やコストについては、不明な部分も多い。
国立長寿医療研究センターなどが国内外の関連論文を精査しており、年度内にも「在宅医療・介護ガイドライン」としてまとめる予定だ
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4.紹介状なしの受診、定額負担求める病院が増加 4月から
1月25日 朝日新聞デジタル |
紹介状なしで受診した場合、初診時に5千円以上、再診時に2500円以上の定額負担を求められる病院が4月から増えることになった。厚生労働省が定額負担を義務づける病院を今の500床以上から400床以上に拡大する方針を決めたためで、対象は約260カ所から約410カ所へと1.6倍ほどになる。
中央社会保険医療協議会(厚労相の諮問機関)で24日、了承された。大病院は患者が集まりすぎ、待ち時間が長いなどの問題が指摘されてきた。大病院が重症患者の治療に専念できるように診療所との役割分担を図ろうと、2016年度から診療所などが作成する紹介状なしで大病院を受診した場合、患者は1∼3割の窓口負担に加えて定額を負担することになった。今の対象は、高度な医療を提供する大学病院などの「特定機能病院」と、地域医療の拠点となる「地域医療支援病院」のうち500床以上の病院。厚労省によると、制度導入後に紹介状なしの初診患者が3%ほど減ったという。
厚労省は一定の効果があると判断し、対象を400床以上500床未満の地域医療支援病院約150カ所にも広げる。今も200床以上の病院は紹介状がない患者から特別料金を取ることができる。初診時には多くが2千〜3千円を徴収していて、実質の負担増は2千〜3千円ほどになる。近くに診療所がなくて大病院に直接行くしかない地域の患者や、救急患者らは負担しなくていい。自治体による条例制定が必要な公立病院には、10月までの導入を求める。
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5.再生医療、延べ3万6千人治療
1月25日 朝日新聞 |
全国の医療機関が2017年3月末までに1年5カ月間で、再生医療を実施したと国に報告した人数が延べ約3万6千人に上ることがわかった。再生医療安全性確保法に基づき、厚生労働省が24日、有識者会議で初めて公表した。
医療機関が厚労省に治療の実績を提出したのは、15年11月から17年3月末までで2141件、治療を受けた患者は延べ3万6349人だった。このうち、多くは歯科や美容、がん免疫療法などの自由診療で、治療法を開発する臨床研究によるものは延べ約3千人だった。種別にみると、患者自身の体から採取した細胞や成分を培養せずに投与する比較的リスクの小さい治療法が2092件で全体の98%を占めた。
各医療機関は治療計画が適切かどうか、第三者の専門家による委員会が審査を受けることが定められている。だが、治療の有効性については不確かなものが多いと指摘する声もある。
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6.不適切な画像検査 撮影増は病院利益 被ばくリスク考慮を
1月7日 毎日新聞 |
インターネットの普及で医療情報が入手しやすくなったが、患者は何を信じていいか分かりづらくなっている。海外では、医学的根拠を基に価値が低いとみられる検査や治療をリストに挙げて、過剰な医療行為を見直す動きがある。「不適切な検査や薬は何か」。コンピューター断層撮影(CT)装置を使った検査について報告する。
「数年前、経営サイドから『もっとCT検査をするように』と催促の紙が回ってきたことがある」。関東地方の民間病院で働く医師はこう打ち明けた。CTは、放射線の一種のX線を使って体の断面を撮影する方法。この病院にはCT装置が2台あった。医師は「CT装置の稼働率を上げたかったのだろう」と推測した。
日本は「CT大国」と呼ばれる。経済協力開発機構(OECD)のヘルス統計2017によると、人口100万人当たりのCT装置の数は日本が107台で、加盟35カ国の中で最も多い。1000人当たりの撮影回数も231回と2番目に多い。日本でCT検査が多い理由の一つに医療システムの問題を指摘する声がある。日本の外来は、診察や検査をすればするだけ病院やクリニックの収入になる出来高払い。だが、検査料は1回約1万円と海外に比べ安く、「病院やクリニックはCTの検査の数を増やそうとしがちだ」(大学病院放射線科教授)という。医療政策に詳しい米カリフォルニア大ロサンゼルス校の津川友介助教は「外来の担当患者1人ごとに診療報酬が決まる『人頭支払い方式』を導入すれば、過剰検査を抑制できる可能性がある」と指摘する。CTは、適切に使えば病気の発見や治療に役立つが、放射線による被ばくの問題もあり、なるべく控えたい。慎重になるべきCT検査とは何か。参考になるのは、米国で始まった過剰な医療行為を直す「CHOOSING WISELY」(賢い選択)キャペーンだ。
藤沢市民病院(神奈川県)が、小児のCT検査に厳格な基準を持つ英国の指針を使って頭部外傷の患者の親に説明するよう変えたところ、検査数は約3分の1に減ったが、脳に損傷が見つかる重篤なケース数は変わらなかったという。放射線診断科の藤井佳美医師は「指針通りでも現時点で見逃しは起きておらず、過剰な撮影は控えるべきだ」と話す。専門家である放射線科医が、不適切な検査を止められない事情もある。患者の情報を一番多く持っているのは主治医で、不安感なども考慮した上での判断に反論するのは現実的には厳しい。ある大学病院の放射線科医は「『検査が必要かどうか決めるのは主治医だ』と罵倒されたこともある」と力なく語った。近年、診断すべき画像検査が増え、放射線科医が忙しくなったことも、主治医に助言しづらくさせているとみられる。日本医学放射線学会の調査によると、「主治医に助言する時間がない」という病院では、常勤の放射線科医1人が3〜4時間のうちに診断する画像検査は24件もあり、「時間がある」病院より3割も多かった。
過剰な検査を抑制しようとする動きもある。神奈川県鎌倉市の大船中央病院では、原則として過去30日以内にCTなどの検査をした患者に対し、主治医が同じ部位に同種の検査を依頼した場合、電子カルテに理由を入力しないと検査に進めないシステムを昨年5月に導入した。10月までの半年間で「重複」を通知された検査のうち、約7%を主治医が取り消したという。青木陽介・診療放射線技師は「不要な検査を減らす効果があることを確認できた。患者の被ばく低減にも役立つので他の病院にも広がってほしい」と語る。さらに、日本医学放射線学会主導の研究でも、医師が画像検査を依頼する時は、指針や患者の過去の検査情報を示し、検査が必要かを判断できる支援システムの開発を目指している。今年3月までに試作品の効果を検証する予定だ。CTなどの検査の適応問題に詳しい順天堂大の隈丸加奈子准教授(放射線医学)は「不要な追加検査や治療につながり、患者に不利益が大きいことを医師と患者が一緒になって理解し、過剰検査の抑制に取り組むことが必要だ」と指摘する。 |