1.新潟1位、山口最下位 医療保険財政健全化の取り組み
1月19日 朝日新聞デジタル |
厚生労働省は18日、都道府県による医療保険財政の健全化に向けた取り組みを初めて点数化し、公表した。2018年度から国民健康保険(国保)の運営主体を市町村から都道府県に移し、点数に応じて交付金の配分を決める。
点数は、管内市町村の特定健診実施率や医療費の水準、また市町村への指導・助言の取り組み状況などを210点満点で評価。1位は新潟県の183点、最下位は山口県の80点だった。点数に応じて交付金を配る方式は、国保財政の改善のため市町村を対象に16年度から実施している「保険者努力支援制度」の一環。18年度からは都道府県も対象にし、約500億円の交付金を振り分ける。点数が高いほど、1人当たりの交付額は多くなる。
自営業者らが加入する国保は高齢者や非正規社員の割合が増し、保険料収入が増えず、赤字に悩むところも少なくない。運営主体を都道府県に移すのは、財政基盤を安定させる狙いがある。
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2.生活習慣病予防 広島大がシステム開発へ データでリスク予測、指導
1月18日 毎日新聞 |
人工知能(AI)を活用して生活習慣病の予防などにつなげるシステムの開発を広島大が始めた。治療内容の記録にあたる診療報酬明細書(レセプト)や健康診断などのデータをAIに学習させ、糖尿病や心筋梗塞(こうそく)、脳卒中などの重症化リスクを個別に予測し、保健指導に生かす。社会の高齢化に伴って生活習慣病は増え続けており、システムを生かした患者の健康増進や医療費抑制などが期待される。
国の医療研究を統括する日本医療研究開発機構の事業で、2019年度に試作的なシステムの完成を目指す。生活習慣病の重症化予防では広島県呉市が全国でも先進的に取り組んでいる。市の国民健康保険(国保)のレセプトデータを分析し、糖尿病患者の中から年間約500万円と高額な人工透析が必要となりそうな人などを特定。看護師が患者と面談して生活を指導する。透析を始める人が減り、医療費抑制にもつながっている。
今回の研究は、この仕組み作りに関わった広島大の森山美知子教授(成人看護開発学)も参加し、同様の指導ができるシステムを目指す。同県の市町が持つレセプトや健診のデータをAIに学習させ、患者を重症度リスクごとに4段階に分けて指導対象者を洗い出せるようにする。ベテラン看護師らの面談・指導法もAIに学習させ、食事や運動、ストレス対策などを組み合わせた適切な指導法を示せるシステムを作る。
システムは、医療費を病院に支払っている企業の健康保険組合や自治体で使うことを想定している。研究代表者の木原康樹・副学長(循環器内科)は「高齢化で増える患者に対応しようとしても、医療現場の人手には限界があり、AIに補ってもらう。多くの人の健康寿命を延ばして元気で暮らしてもらえるようなシステムを作りたい」と話す。
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3.iPS細胞の臨床研究で再手術「拒絶反応の可能性低い」
1月16日 朝日新聞デジタル |
他人のiPS細胞を使って網膜の病気を治療する臨床研究で、手術を受けた70代男性の網膜の上に膜ができ、取り除く再手術をしたと理化学研究所などのチームが16日、発表した。iPS細胞を変化させた細胞を移植する際に漏れて膜ができた可能性があるという。一方、iPS細胞から作った細胞による拒絶反応の可能性は低いと説明した。
記者会見した理研などの説明によると、チームは昨年、京大iPS細胞研究所が備蓄する「iPS細胞ストック」の細胞を網膜の細胞に変化させ、目の病気「加齢黄斑変性」の患者5人に移植した。うち6月に手術した男性の網膜に、手術後、腫れと網膜表面の膜が確認された。失明のリスクは比較的低いものの今月15日に再手術、膜を取り除いた。膜が出来た原因について、iPS細胞からつくって注射で移植した細胞が漏れ出たり逆流したりして膜ができた可能性を挙げた。ほかに最初の手術の際の合併症や、加齢黄斑変性が悪化した可能性も考えられるとした。一般的に加齢や手術の合併症として網膜の上に膜が出来ることがあるという。
iPS細胞ストックは、多くの日本人に拒絶反応が起きにくい特殊な免疫の型を持つ人の細胞から作ったiPS細胞を備蓄。男性はこの免疫の型に合う人で、拒絶反応は血液検査で確認されていないという。手術を執刀した神戸市立医療センター中央市民病院の栗本康夫眼科部長は「拒絶はゼロではないが、メインの原因ではないだろう」と語った。また、理研の高橋政代・プロジェクトリーダーは「他のiPS細胞を使った臨床研究に影響するものではない。今後、手術の方法を工夫していく余地がある」と話した。臨床研究は拒絶反応がないかや、移植細胞ががん化しないかなどを調べるのが目的で、中止しないという。
チームは厚生労働省に報告しており、厚労省の担当者は「法に基づいて報告を受けている。再生医療等評価部会の委員とも共有しており、部会での意見を踏まえて対応を検討したい」と話している。
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4.診療報酬改定に係るこれまでの議論の整理
1月12日 厚生労働省 |
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000189201.html
1月12日に中医協総会が開催され、平成30年度診療報酬改定に係るこれまでの議論の整理について取りまとめを行った。なお、項目立てについては昨年の12月11日に社会保障審議会医療保険部会・医療部会によりとりまとめられた「平成30年度診療報酬改定の基本方針」に即して行われ、(1)地域包括ケアシステムの構築と医療機能の分化・強化、連帯の推進(2)新しいニーズにも対応でき、安心・安全で納得できる質の高い医療の実現・充実(3)医療従事者の負担軽減、働き方改革の推進(4)効率化・適正化を通じた制度の安定化・持続可能性の強化 の各項目に歯科医療に関わる見直し等の方向性を記載した。
具体的には、院内感染予防対策推進に伴う初診・再診料の見直し、さらに訪問歯科衛生指導、か強診、歯援診などの見直しや口腔機能低下等への対応や多職種連携による診療情報の共有の評価等が盛り込まれた。
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