1.医師の働き方改革、骨子案まとまる 業務分担を推進
1月16日 朝日新聞デジタル |
医師の働き方を議論する厚生労働省の有識者会議は15日、看護師らとの業務分担や勤務時間の的確な把握、当直明けの負担軽減を医療機関に求める緊急対策の骨子案を示した。
政府の「働き方改革実行計画」は医師について、罰則付きの残業規制導入から5年間の猶予期間を設けている。だが有識者会議は「自主的な取り組みを進めることが重要」として、労働基準法などの改正を待たずにできる対策として案をまとめた。骨子案は、検査や入院の説明、静脈からの採血や注射、診断書の代行入力といった業務は原則、看護師ら医師以外の職種が分担することを推進する。現状は、大学病院で分担が進んでいないと指摘した。このほか、タイムカードがない医療機関でも出退勤時間を的確に把握することや、時間外労働を定める36協定の点検、短時間勤務の推進など女性医師の支援、当直明けの負担を減らす退勤時刻の設定を盛り込んだ。
この日の会議では、勤務時間外に緊急でない患者の病状説明をしないことや、主治医を複数にする取り組みも紹介された。医師の労働時間の短縮には「患者や家族の理解が欠かせない」として、国民への周知方法も併せて検討する。今後は、医師法で1948年に定められ、医師は診療を求められたら拒めない「応召義務」の考え方の整理や当直基準の見直し、時間外労働の上限といった法改正が必要な課題について議論。2018年度末までに具体案をまとめる。
総務省の調査によると、勤務医の41.8%は労働時間が週60時間を超えており、割合は職種別で最も高い。
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2.社会保障費 抑制に新目標、政府検討 負担増の可能性も
1月15日 毎日新聞 |
政府は、高齢化に伴う社会保障費の自然増に対する新たな抑制目標を設ける検討に入った。財務、厚生労働省などと与党で調整し、6月の骨太方針に盛り込む方針だ。
抑制幅によっては負担増に踏み込まざるを得ず、調整は難航しそうだ。政府は2015年6月に、16〜18年度の自然増を計1兆5000億円、各年度で5000億円以内に抑える目標を「目安」として閣議決定した。自然増は各年度で6300億〜6700億円と見積もられ、それぞれ1300億〜1700億円を削減し、目標を達成した。
16,18年度は医療サービスの値段を決める診療報酬改定で大幅に削減した。医療費には10兆円規模の国費が使われており、削減の余地が大きい。一方、17年度は医療や介護の自己負担などの制度改正で削った。
新たな抑制目標について、政府は経済財政諮問会議を舞台に今月から議論を始める方針だ。焦点は目標の水準だ。自然増を「4500億円以内」とした場合、過去3年より500億円多く削らなければならず、負担増など国民の痛みを伴う可能性がある。財務省は、先送りされた基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化達成の時期をできるだけ早くするために、より厳しい抑制目標を求める方針。一方、厚労省幹部は「さまざまな改革で自然増の伸びは徐々に抑えられてきている」と指摘し、これまで通り5000億円までにとどめたい考えだ。
来年夏には参院選を控えており、与党からの歳出圧力が強まることが予想される。自民党では厚労族を中心に「抑制目標を設けること自体に反対だ」との反発の動きもみられる。
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3.厚労省 かかりつけ医の報酬加算へ 初診対象に
1月11日 毎日新聞 |
厚生労働省は10日、かかりつけ医として患者を診療する開業医への報酬を加算する方針を固めた。初診料が発生するケースが主な対象で、高度な医療を担う大病院との役割分担を進める狙い。中央社会保険医療協議会に同日提案し、了承された。4月からの診療報酬改定に反映する。
大病院が初診や軽症の患者で混雑すると、入院や手術が必要な重症者の対応に支障が出る恐れがある。このため厚労省は、身近なかかりつけ医が日常的な診療や健康相談に応じ、必要な場合に専門医のいる大病院を紹介する体制づくりを目指している。ただ、かかりつけ医は24時間対応や医薬品の管理などが求められ、業務の負担が重いとの声が現場から上がっている。厚労省はかかりつけ医をさらに増やすため、相談や紹介など初診患者の受け入れ体制が整った医療機関の診療報酬を手厚くする方針。
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4.むせる・かむ力弱い… 口の衰え、死亡リスク高める恐れ
1月9日 朝日新聞デジタル |
むせることが増える、かたいものが食べづらくなるなどの「口まわり」のトラブルが、将来の死亡リスクを高める可能性がある。そんな調査結果を東京大などの研究チームがまとめた。こうした口の働きの衰えは自覚しにくいが、歯科医の定期的な受診などで対処していくことが大切という。
千葉県柏市に2012年に住み、介護を必要としない状態にある65歳以上の約2千人を対象に調べた。 本人への聞き取りや測定から①残っている歯が20本未満②かむ力が弱い③口を巧みに動かせない④舌の力が弱い⑤かたい食品が食べづらい⑥むせやすい―の6項目を調査。該当するのが「3項目以上」「1〜2項目」「ゼロ」と三つのグループに分け、約4年後の健康状態を検証した。その結果、年齢などの影響を取り除いても、3項目以上該当したグループは、ゼロのグループに比べて死亡率が2.09倍に。介護が必要になった割合は2.35倍だった。また、筋力が衰える「サルコペニア」と呼ばれる状態に2年以内になった割合は2.13倍、筋力に加えて意欲の低下など心身の活力が落ちた「フレイル」と呼ばれる状態になった割合は2.41倍だった。
口の働きが衰えている人は食事量が少なく、肉類の摂取量が減る傾向があった。食べられるものが減って栄養状態が偏り、体力の低下や健康状態の悪化につながったとみられる。軽く見られがちな口の衰えを「オーラルフレイル」(口の虚弱)と呼び、早めに対処することで要介護になる高齢者を減らそうとする考え方が、医療現場で注目されている。オーラルフレイルの提唱者で、調査をした東大高齢社会総合研究機構の飯島勝矢教授(老年医学)は「歯の本数を注目しがちだがそれだけでなく、かむ力や滑舌の悪化などささいな口の衰えの積み重ねが、体に大きな影響を及ぼすことがわかってきた。早いうちに気づき、かかりつけの歯科医で口まわりのケアをしてほしい」と話す。研究成果は、老年学の国際誌「ジャーナル・オブ・ジェロントロジー」で発表された。
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