1.診察料・入院費0.55%引き上げへ 政府・与党が決定
12月13日 朝日新聞デジタル |
来年度予算編成の焦点の一つとなっている診療報酬改定について、政府・与党は12日、診察料や入院料などの「本体」部分を0.55%引き上げることを決めた。前回2016年度改定時の0.49%を超えることになる。薬代の「薬価」を大きく引き下げて全体の改定率はマイナスとし、捻出した財源を本体部分に回す。
診療報酬は医療サービスの公定価格で、2年に1度見直される。診療報酬の本体は、医師や看護師らの人件費や設備投資などに回る。全体の改定率は2回連続でマイナスになる一方、本体は08年度から6回連続でプラス改定が続くことになる。国費で約600億円の負担増となり、原則1〜3割の患者の窓口負担も増えるが、安倍政権を支持する日本医師会に配慮する狙いもありそうだ。厚生労働省の直近の調査で病院全体の利益率がマイナス4.2%の赤字だったことなどから、医療団体や与党の厚生労働族議員が前回を超すプラスを求めていた。日本医師会は、政権が財界に3%の賃上げを求めていることを引き合いに「全就業者の約1割を占める医療従事者にも手当てを」とも訴えていた。
一方、財務省は当初デフレでほかの産業の賃金水準が上がっていない時期も、本体部分は増え続けているとして引き下げを求めていた。攻防が続いたが、最終的に財務省もプラス改定を容認した。首相官邸は、前回を超える改定が必要と判断した。薬価を市場価格に引き下げる分で出る1千数百億円のほか、医療・介護の制度改正で数百億円の財源を確保する。来年度予算で社会保障費の自然増を1300億円削る政府目標のために使った上で、残った財源などを診療報酬本体の引き上げに回す。さらにこれらの財源で、政府・与党は介護報酬に加え、障害者支援サービスの公定価格となる「障害福祉サービス等報酬」も引き上げる方針だ。プラス幅については、診療報酬本体より低くする。
介護報酬と障害福祉サービス等報酬は3年に1度見直され、来年度は診療報酬とともに三つの報酬が同時に改定となる。政府・与党は週内にもそれぞれの改定率の大枠を固め、22日に予定される政府予算案の決定で正式に決める。
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2.HPKIカード」、医師採用時の資格証明に
12月12日 厚生労働省 |
厚生労働省医政局は、日本医師会電子認証センターが発行する「医師資格証(HPKIカード)を、医療機関の医師採用時の資格確認として利用可能とすることを認める運用通知を年内にも発出する。医師採用では従来、紙の医師免許証の提出が求められてきたが、HPKlカードで代用可能であることを明確化する。医療分野でのICT化が進む中、ICチップを内蔵し、高度なセキュリティーを備えたHPKIカードの活用場面が将来的に広がりそうだ。
HPKlカードは自動車運転免許証などと同じサイズで、本人の氏名や生年月日、顔写真とともに日医IDや医籍登録番号などが記載されている。カード自体にICチップが内蔵され、診療情報提供書などへのHPKI電子署名に対応しており、医師であることを電子的に証明する。取得申請のためには、医師免許証コピーや住民票の写しなどの身分証明書類を同センターに郵送し、必ず対面でカードを受け取る。
カードはデジタル上での汎用性に優れ、リーダー(読み取り機)にかざすことで▽地域医療ネットワークへのログイン▽診断書への電子署名一などに活用できるのもメリット。国が整備する方針を掲げている「全国保健医療情報ネットワーク」や遠隔診療など、非対面のオンラインで情報をやりとりする際の資格確認方法として役立つ可能性もある。
2017年10月13日時点でHPKIカードの申請数は約1万件。HPKIカードは日医の非会員でも取得はできるが、初回発行手数料や更新費用で差がある。
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3.500億円程度の改定財源必要 定例記者会見
11月30日 日本歯科医師会 |
http://www.jda.or.jp/jda/release/171201.html
日歯は11月30日に定例記者会見を歯科医師会館で開催し、堀憲郎会長は「30年度診療報酬改定財源」「大臼歯CAD/CAM冠の保険収載」「神田前医政局長の日歯関係会議への参画」について発言した。
医療経済実態調査の結果をみても、地域歯科医療を担う個人立歯科診療所の医院経営状況は大変厳しい。加えて医療技術、医療機器の進歩、安全対策や感染対策のニーズの高まりに対応するため、研修や設備投資の負担が大きくなる。歯科診療所の経営努力は限界であり、大胆かつ速やかな財政的対応が必要である。
30年度診療報酬改定財源はネットプラス改定が必要であり、24、22年度改定の時と同規模(500億円程度)の財源がないと、歯科医療によって国民の健康寿命延伸を図るという責任を果たせない。
また、中医協等の審議会で長時間かけて診療報酬のあるべき形や内容を議論していることが繁栄されないなど、先に改定財源ありきの現在の仕組みには、根本的な問題があり、今後日医等とも議論、検討していきたい。
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4.診療報酬改定 基本方針を議論
11月24日 厚生労働省 |
11月24日、厚生労働省 社会保障審議会の医療保険部会で「次回の診療報酬改定に向けた検討」について議論が行われた。改定に当たっての基本認識は▶人生100年時代を見据えた社会の実現▶どこに住んでいても適切な医療・介護を安心して受けられる社会の実現▶制度の安定性・持続可能性の確保と医療・介護現場の新たな働き方の推進―である。
提示された平成30年度診療報酬改定の基本方針(骨子案)では、「改定の基本的視点と具体的方向性」の柱として、①地域包括ケアシステムの構築と医療機能の文化・強化、連帯の推進②新しいニーズにも対応でき、安心・安全で納得できる質の高い医療の実現・充実③医療従事者の負担軽減、働き方改革の推進④効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上―の4つを示した。
重要課題の①については、「地域包括ケアシステムの構築のための取組の強化」「かかりつけ医、かかりつけ歯科医、かかりつけ薬剤師・薬局の評価」「質の高い在宅医療・訪問看護の確保」などを盛り込んだ。質疑では「かかりつけ歯科医の評価」について厚生労働省に対応を求めた。
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