1.診療報酬 綱引き激化 病院側、人件費プラス望む
11月23日 朝日新聞 |
医療サービスの公定価格である診療報酬の改定率が年末に決まるのを前に、関係団体のアピール合戦が激しくなっている。政府は全体の改定率をマイナスにする方針を固めているが、医療団体は22日の総決起大会で引き上げを要求。一方、医療費を払う側の健康保険組合連合会(健保連)などはこの日、引き下げを厚生労働省に求めた。
医療関係の40団体でつくる「国民医療推進協議会」(会長・横倉義武日本医師会長)は都内で「国民医療を守るための総決起大会」を開いた。医療関係者や厚労族議員ら800人が参加し、報酬引き上げに向け財源確保を求める決議を行った。厚労省の昨年度の調査では、病院全体の利益率(収入に対する利益の割合)はマイナス4.2%と赤字だった。横倉会長は大会後の会見で、「全就業者の約1割を占める医療従事者にも手当を」と、医療従事者の人件費などにあたる診療報酬の「本体」部分のプラス改定を求める姿勢をにじませた。
一方、大企業の会社員らが加入する健保連など医療保険者ら6団体は厚労省にマイナス改定を求める要請書を提出。健保連の幸野庄司理事は会見で「現役世代の負担が限界に来ている」と指摘。マイナス改定で浮く財源を「負担軽減に充ててほしい」と訴えた。
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2.ジーシー社製のCAD/CAM冠用コンポジット製ブロック、12月より保険収載
11月22日 厚生労働省 |
11月22日開催の中医協総会(第372回)において、「セラスマート300」がC2区分(新機能)により大臼歯部への保険適用(保険償還価格5,230円)が決まった。適応範囲は、上下顎両側の第二大臼歯がすべて残存し、左右の咬合支持があり、過度な咬合圧が加わらない場合の下顎第一大臼歯で、金属アレルギーの患者でなくとも適用となる。
関連技術料は1,200点(CAD/CAM冠)で償還価格は平成30年4月の診療報酬改定で微調整される予定。
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3.先発薬、6年で価格引き下げ 厚労省が薬価改革案
11月17日 日本経済新聞 |
厚生労働省は年内にまとめる薬価制度の抜本改革案を固めた。後発品が普及する先発薬の薬価は、6年間かけて段階的に後発薬の水準まで下げる。画期的な新薬については、一定期間価格を維持する加算制度の対象を絞り込む。2021年度からは2年に1回だった価格改定を毎年実施し、高止まり批判が強い薬価の価格を適正化する。薬剤費の膨張に歯止めをかける狙いだ。
薬価制度の抜本改革は、抗がん剤オプジーポなど超高額薬の相次ぐ登場を受け、適正な仕組みに切り替える取り組みだ。42兆円超の医療費の2割強は薬剤費とみられ、高齢化の進展で急速に膨らんでいる。厚労省案をもとに中央社会保険医療協議会(中医協、厚労相の諮問機関)で議論し、与党との調整も踏まえて年内に正式決定する。
[先発薬]
柱の1つが先発薬の大幅な価格引き下げだ。特許切れ後に後発品が登場し、さらに10年経過すると引き下げの対象とする。日本の制度では先発医薬品の価格が十分下がらず、薬価高止まりの一因になっているとの指摘がある。下げ方は2通り。後発品への置き換え率が80%を超える場合、10年経過した時点で後発薬価格の2.5倍まで下げる。その2年後に2倍、さらに4年後に1.5倍とし、6年後に後発品と同等の水準にする。置き換え率が80%未満の薬は、10年かけて後発薬の1.5倍まで価格を下げる。
[画期的な新薬]
画期的な新薬の開発には多額の経費がかかることから、一定期間薬価の維持を認める「新薬創出加算」という仕組みがある。製薬会社が開発費を確保しやすくする。厚労省は今回の見直しにあわせ、対象とする製薬会社や医薬品を大幅に絞り込む。
具体的には製薬会社を開発実績によって3つに分類し、加算額に差を付ける。画期的な新薬を開発しているかどうかや、海外より薬の承認が遅れる「ドラッグ・ラグ」が起きていないかなど、複数の項目で評価する。医薬品については、革新性がないと判断すれば、支援対象から除く。公的保険の適用後に別の治療にも使えるようになった薬は、年間販売額が350億円を超えた場合は価格を最大25%下げられるようにする。年4回の新薬の承認時期のタイミングで実施する。
[改定時期]
薬価を巡っては、市場の実勢価格を反映してより素早く見直すべきだとの声が多い。
改革の柱の1つである改定時期の見直しは、21年度から毎年改定とする案を打ち出す。
薬価は現状、2年に1度見直すが、市場での実際の流通価格に合わせて毎年薬価を直せるようにし、薬価の高止まりを防ぐ。20年中に対象品目を決める。通常の薬価改定は全品目が対象だが、新たに改定を行う年では価格改定の対象となる薬はある程度限定する。高額薬を中心に、公定価格である薬価と市場での流通価格の差が大きい薬を主な対象とする。
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4.「紹介状ない患者」負担増 対象の大病院5割増に
11月16日 日本経済新聞 電子版 |
厚生労働省は2018年度にも、病院の紹介状なしで受診した際に、患者から追加料金を徴収する大病院を増やす。現在は500床以上の大病院に限っているが、「400床以上」を軸に中規模病院にも対象を拡大。病院数を260程度から約400まで5割増やす。深刻な患者集中や医療スタッフ不足で大病院が高度な専門性を発揮できなくなっており、緊急度の低い患者を地域のかかりつけ医などに誘導する狙い。重い症状の患者が優先的に治療を受けられるような効率的な医療提供体制を整える。
紹介状を持たずに大病院に行く患者からは、年齢に関係なく16年4月から初診で5千円以上、再診で2500円以上の追加料金(選定療養費)の徴収を病院に義務付けている。手厚い人員をそろえ、設備投資もかさむ大病院の経営は診療所に比べると苦しく、こうした追加料金で収入を補っている側面もある。日本は先進国としては珍しく、患者が診療所や大病院を自由に選べる医療のフリーアクセスが保証されている。この結果「大病院だから安心」などの理由で軽度な病気やけがで多くの人が大病院に通い、高度な治療を必要とする患者の妨げになっているとの懸念が関係者の間で強まっている。財政面の問題も大きい。画像診断などの検査機能や医療機器が格段に充実している大病院では同じ病気でも医療費が高くなる傾向が強く、外来医療でみると1日当たりの医療費に2倍の開きがある。診療所で治療を済ませる人が増えれば、膨張が続く医療費の抑制にもつながる。
現在、紹介状を持たない患者から追加料金を徴収するよう義務づけられているのは高度な医療を提供する「特定機能病院」と呼ばれる大病院と、地域医療の拠点となる「地域医療支援病院」だ。特定機能病院には東京大学医学部付属病院などの大学病院が含まれる。地域医療支援病院は現在500床以上が義務化の対象。今回の措置で「400床以上」に下げれば地方の中核都市にある中規模な病院も対象に含まれる。ただ医療費高騰を懸念する健康保険組合連合会は200床以上まで義務付けの範囲を広げるように主張しており、調整を続ける。
英国はあらかじめ登録された家庭医の紹介が無ければ原則病院での受診ができない。フランスもかかりつけ医の紹介なしに病院を受診すると負担が高額になるなど、機能別の役割分担がはっきりしている。日本の医療費は15年度に42兆円とこの10年で約9兆円も増え、効率化が急務となっている。
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5.体内から信号「デジタル錠剤」大塚製薬、世界初の承認
11月15日 朝日新聞デジタル |
米食品医薬品局(FDA)は13日、錠剤にごく小さなセンサーを埋め込んだ「デジタル錠剤」を承認した。医師の処方通りに患者が薬を飲んだかどうかを第三者が確認できる。効果的な治療ができ、医療費の削減にもつながると期待される一方、患者のプライバシー保護という課題もある。
承認されたのは、大塚製薬が製造・販売する統合失調症などの抗精神病薬エビリファイ(一般名・アソピプラゾール)に米プロテウス・デジタル・ヘルス社が開発した約3ミリのセンサーを組み込んだ錠剤と、貼り付け型の検出器。大塚製薬によると、このような医薬品と医療機器を一体化した製品の承認は世界初という。患者が飲んだ薬が胃に入ると、胃液に反応してセンサーが信号を出す。患者の脇腹につけた小型装置が信号を検出。薬をいつ飲んだかという情報をスマートフォンやタブレット端末に転送する。患者の同意のもと、医師や介護者、家族らがその情報を共有できる。センサーは一定の時間がたてば、体内で消化・吸収されずに排泄(はいせつ)されるという。
米国内の試算では、処方通りに薬を飲まなかったことで病気が悪化したり、別の治療が必要になったりして年間に計1千億ドル(約11兆円)のコストがかかっているという。この錠剤がうまくいけば、薬を飲み忘れやすいほかの病気のお年寄りらにも応用できると関係者は期待を寄せる。一方、患者のデータ管理や利用には、より慎重さを求める声が上がる。患者の様子を遠くから監視することにもつながりかねないとの懸念がある。
プロテウス社の社長は「このシステムにより、それぞれの患者の治療計画に役立つ情報を新しい方法で収集できる」とコメント。大塚製薬などはまず、米国の少数の患者を対象に、製品の価値を確認するという。日本での販売は現在予定していない。
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6. 秋の叙勲・褒章受章者 発表される
11月2・3日 内閣府 |
平成29年秋の叙勲・褒章の受章者が11月2・3日発表された。歯科関係者では叙勲受章者が52名、褒章受章者が2名であった。校友会会員は次のとおり。
前号で掲載しましたが、一部追加がありましたので再掲載します。
[厚生労働省] |
旭日双光章 |
石田 益雄(54)
須田 豊美(55)
坂井 浩(55)
袴田 良彦(56) |
秋田県
群馬県
岐阜県
静岡県 |
[文部科学省] |
瑞宝中綬章 |
片桐 正隆(51)
川崎 孝一(51)
小口 春久(特) |
本部取扱
本部取扱
本部取扱 |
瑞宝双光章 |
安藤 弘道(50)
服部 英治(51)
大﨑 良忠(53)
安達 昭(59) |
宮城県
福井県
埼玉県
富山県 |
[高齢者叙勲] |
瑞宝双光章 |
高橋 勝治(49) |
青森県 |
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