1.医療・介護保険 高齢者の負担上限額アップ 8月から
7月24日 毎日新聞 |
8月1日から医療・介護保険制度の見直しで、一定の所得がある高齢者は月ごとの自己負担額の上限が引き上げられる。世代間の公平を図り、社会保障費を抑制するのが目的。受診やサービス利用の頻度が高い場合は家計に影響が出そうだ。
医療では、長期入院や高額治療で患者負担が重くなりすぎないよう一定額を超えた分を払い戻す「高額療養費」の仕組みで、70歳以上を対象に限度額を引き上げる。年収370万円未満で住民税を課税されている人の場合、外来の上限額が月1万2000円から1万4000円に上がる。ただ、年間の上限額は1万2000円の12カ月分に当たる14万4000円とし、持病などで長期の通院をする人は負担が増えないようにする。入院を含めた世帯全体の上限額は月4万4400円から5万7600円に上がる。年収370万円以上の高所得者も、外来の上限額が月4万4400円から5万7600円にアップ。住民税非課税の低所得者は8000円で据え置く。
介護保険でも、同様の制度である「高額介護サービス費」の上限額が一部引き上げられる。対象は住民税を支払っている年収383万円未満の単身世帯(2人以上の世帯は年収520万円未満)で、月の上限が3万7200円から4万4400円に増える。ただし、65歳以上が2人以上で全員の自己負担割合が1割の世帯は、激変緩和のため年間上限額を3万7200円の12カ月分(44万6400円)のまま3年間据え置く。
現役並みの所得がある世帯は、来年8月からサービス利用時の自己負担割合が3割に引き上げられることに配慮し、上限引き上げは見送られた。生活保護などの低所得世帯も変化はない。
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2.脳梗塞、歯の細胞から薬開発へ 後日投与でも後遺症抑制
7月19日 朝日新聞デジタル |
製薬会社JCRファーマと帝人は18日、他人の歯から取り出した細胞を使った、急性期 脳梗塞(こうそく)の治療薬を共同で開発すると発表した。従来の治療法は発症から数時間以内に始めなければならないが、この薬の開発が成功すれば、数日後の投与でも後遺症を抑える効果が期待できるという。
脳梗塞では、血管が詰まることで脳細胞の一部が壊れるだけでなく、周辺の正常な細胞にも炎症が広がることで、言語障害など深刻な後遺症が残ることが多い。既存の治療法は、対応できる医療機関に、短時間で患者を搬送することが課題となっている。
JCRによると、開発中の薬は、一定時間血流が滞っても、静脈内に入った歯髄(しずい)幹細胞が炎症を抑える役目を果たすことで、後遺症を防ぐ。すでに脳梗塞状態のマウスを使った実験では、想定した結果が出たという。両社は2018年度中に臨床試験(治験)を開始する計画だ。
歯髄は、歯の中央にある神経組織。乳歯や親知らずなどの不要な歯から取り出せるため、骨髄などよりも幹細胞が入手しやすいという。両社は15年から共同研究を進めてきた。国内での製造販売が承認されれば、JCRが製造を、帝人が販売を担う。同様の効果を狙った薬は、ヘリオス(東京)も骨髄の幹細胞を使って開発中だ。現在、治験の最終段階で36時間以内の投与で効果が期待できるとしている。
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3.楽天、薬ネット販売「規制見直しに働きかけ継続」
7月18日 日本経済新聞 |
楽天は18日、一部医薬品のインターネット販売に対する規制取り消し請求が退けられたことに関して「早急に要指導医薬品のインターネット販売を再開できるよう、規制の見直しに向けた働きかけを継続する」とのコメントを発表した。「判決は承服しがたいもので、内容を慎重に検討した上で今後の方針を決定する」としている。
子会社の楽天ダイレクトが発表した。規制取り消しは傘下のケンコーコム(当時)が国に求めていた。楽天ダイレクトは7月1日付で、ケンコーコムと爽快ドラッグの2社が合併して誕生。ネット通販事業を手掛けている。2014年6月施行の改正薬事法(現医薬品医療機器法)は、処方薬から処方箋なしで購入できる大衆薬に変わって原則3年以内の薬を「要指導医薬品」に分類。副作用リスクなどを理由に薬剤師による対面販売を義務付け、ネット販売を禁じている。
ネット通販各社では自社で体制を整え、医薬品の販売を強化する動きが出ている。アマゾンジャパン(東京・目黒)は今春、通販サイトで第1類医薬品の販売を始めた。鎮痛剤「ロキソニンS」や胃腸薬「ガスター10」などを取り扱う。購入前に利用者がサイトで症状などを入力し、アマゾンの薬剤師が適正な使用だと判断した場合のみ購入できる。
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4.厚労省研究班 小児科の患者数、10年で4分の3に
7月16日 毎日新聞 |
全国の病院の小児科にかかる患者が、最近10年間で4分の3に減ったとの調査結果を、厚生労働省研究班(代表者=市川光太郎・北九州市立八幡病院長)がまとめた。ぜんそく治療の進歩や予防接種の普及に加え、子どもの数の減少も理由とみられる。特に地方での減り方が大きく、調査を担当した医師は「小児科の診療を続けるのが難しくなっている地域もある」と警鐘を鳴らす。
調査は、日本小児科学会に登録されている大学病院や小児専門病院、一般病院など924施設を対象に郵送で実施。2005〜14年の外来・入院患者数を尋ね、658施設(71.2%)から回答を得た。その結果、外来は10年間で23.6%、入院は15.9%それぞれ減少していた。この間の小児人口(0〜14歳)は7.4%減で、これを上回る減り方だった。地域別にみると、外来患者の減少率は、県庁所在地の病院が16.8%だったのに対し、県庁所在地以外は27%だった。特に、大学病院など規模の大きい病院から車で1時間以上かかるような地域の病院(63施設)では41.8%も減っていた。
近年の小児医療は、ぜんそくではステロイド吸入治療が広まり、発作が少なくなった。またヒブワクチンや肺炎球菌ワクチンの予防接種が普及。感染すると死亡する恐れのある細菌性髄膜炎や、肺炎になりにくくなっている。
調査にあたった藤沢市民病院(神奈川県)の船曳哲典・こども診療センター長は「医療の進歩で子どもが病気になりにくくなったのはよいこと」とした上で「地域によっては患者が減り、そうした地域の勤務を希望する医師は少なく、小児科の診療を維持するのが難しくなっている。いくつかの地域の小児科を一つにまとめることや、都会への医師の集中を防ぐなどの対策が必要になるだろう」と指摘している。
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