1.歯科健診で30人の乳歯抜歯、文科省「不適切」姫路
7月15日 朝日新聞デジタル |
兵庫県 姫路市立安室東(やすむろひがし)小学校(849人)で6月中旬にあった全児童対象の歯の健康診断で、学校歯科医が保護者の同意なく児童30人の乳歯を抜いていた。市教育委員会が13日に発表した。同校教師らも同じ保健室におり、事実関係を把握していた。文部科学省は健診マニュアルを策定しているが、抜歯などの医療行為は想定しておらず「不適切だった」としている。
市教委によると、歯科医は姫路市内で開業する40代男性。2007年から同校で学校保健安全法に基づく学校歯科医を務めていた。健診は6月14,15日にあり、歯科医は2〜6年の児童30人の乳歯計36本を医療用の探針などを使って抜いた。出血した児童もいたが止血処置はされなかった。養護教諭や学級担任も抜歯に気づいたが不適切とは認識していなかったという。
保護者の一人が6月15日に「保護者の同意なく歯を抜かれた。ショックを受けている子もいる」と学校に抗議して発覚した。文科省によると、健診は学校生活に支障がないか児童の健康状態を把握することが目的。今回は、歯科医による医療行為で違法ではないが、担当者は「健診中のことなので、治療が必要な場合は保護者に医療機関での受診を勧めるべきだった」としている。
歯科医は「抜歯したのはぐらついていた乳歯。後から生えてくる永久歯の虫歯を予防するためで子どものためになると思った」と説明。抜歯したのは今回が初めてという。「軽率な行為だった」として6月16日付で学校歯科医を辞職した。後任の学校歯科医が今月13日、抜歯された6人を含む児童67人に臨時の健診を実施したが、異常は確認されなかったという。不安を訴える児童もいるため、夏休み期間中に同校にスクールカウンセラーを派遣し、心のケアに当たる。
歯科医として約15年の勤務経験がある小畑真弁護士(札幌弁護士会)は「抜歯はいわば手術にあたり、健診で行うべきではない。十分な設備が整っていたかどうかも疑問。親の同意を得ていなかったのも問題だ」と話す。
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2.子ども医療費 助成拡大 378自治体「高卒まで」厚労省調査
7月15日 毎日新聞 |
子育て支援策として市区町村が独自に実施している子どもの医療費助成で、通院費の援助を「高校卒業まで」としている市区町村が2016年4月1日時点で378自治体に上ることが、厚生労働省のまとめで分かった。前年より109増え、全1741市区町村の22%に当たる。
「中学卒業まで」は9増加し1005自治体(58%)。「就学前」は57減の202自治体(12%)、「小学校卒業まで」は27減の121自治体(7%)で、全体として助成対象が拡大した。「所得制限なし」は30増え、1432自治 体(82%)。「自己負担なし」も24増加して1054自治体となり、61%に達した。
国は助成拡大が医療費増加の一因になるとして、独自助成をする自治体への補助金を減らしてきた。しかし「少子化対策に逆行する」との自治体側の主張を踏まえ、厚労省は昨年、小学校入学前までを対象にした助成であれば18年度以降は補助金を減額しない方針を決めた。
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3.保険組合、財政悪化進む 25年までに4分の1解散も
7月14日 日本経済新聞 |
2025年までに大企業の健康保険組合の4分の1は財政悪化で解散の危機に追い込まれる。健康保険組合連合会(健保連)がまとめたこんな内部試算が明らかになった。
高齢者向け医療費を補填するための「支援金」が急増するのが主因だ。
保険料率が加速度的に上昇していく恐れが高く、高齢者の負担適正化やムダ排除など医療費抑制の議論が避けて通れない。
東北地方のある企業は高齢者医療向け支援金の割り当て増で保険料率が中小企業が主に加入する協会けんぽを上回る10%超まで上昇。「健保組合を維持する意味が無い」。これ以上の支援金負担増には耐えられないと判断し、組合を解散して協会けんぽに加入した。大企業の健保組合は約1400あり加入者は約2900万人。保険料は企業と従業員が原則、折半している。現役加入者への医療費だけでなく、65歳以上の高齢者医療費にも多額の保険料を「仕送り」する仕組みが財政をむしばんでいる。健保連によると17年度は全組合の7割で収支が赤字の見通しで、赤字額は合計3000億円超に達する見込みだ。
健保連が内々にまとめた試算では25年度に協会けんぽの保険料率を超える組合は380と全体の4分の1に上る。同料率は協会けんぽが赤字にならないように設定する
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4.「手足口病」警報レベルに兵庫県、患者数1601人 平成23年の大流行以降最多
7月14日 産経新聞 |
乳幼児を中心に手足や口などに発疹が出る「手足口病」の3〜9日の1週間の患者数が兵庫県内で1医療機関当たり12.41人となり、警報レベル(5人)を2週連続で超えたことが13日、県のまとめで分かった。患者数は、大流行した平成23年以降では最多となる1601人。県の担当者は「今後も患者が増える恐れがあり、予防のために手洗いをしっかりと行ってほしい」と呼びかけている。
県によると、患者数は6月中旬ごろから増加。前週の6月26日〜7月2日に1医療機関当たり7.24人となり、今季初めて警報レベルを上回った。
県内17の健康福祉事務所、保健所のうち、警報レベルを超えたのは13カ所。最も多かったのは姫路市の26.15人で、次いで伊丹16.00人▽赤穂15.75人▽加東15.63人▽明石15.14人▽豊岡13.60人▽尼崎市13.10人の順だった。
手足口病は口の中や手のひら、足の裏などに水痘(すいほう)性の発疹ができるウイルス性の感染症。感染から3〜5日の潜伏期間の後に発病し、まれに脳炎や髄膜炎などの重い症状を引き起こすことがある。
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5.医療費、スマホで即時決済 横浜銀など18年度から
7月12日 日本経済新聞 電子版 |
病院での入院や治療にかかった費用がスマートフオン(スマホ)で即時決済できる新しい仕組みが動き出す。横浜銀行など地方銀行や決済代行会社が2018年度に提供を開始。25年度にも全国750カ所の医療機関に導入する。急なけがや病気の場合にも手持ちの現金の心配をしなくて済む。赤字の病院が増えるなか、病院側の手数料削減など経営効率化にもつながる。
決済代行のGMOペイメントゲートウェイ、USEN子会社で医療機関向けの自動精算機を手掛けるアルメックス、コンコルディア・フィナンシャルグループ傘下の横浜銀の3社が中心となって仕組みを作る。横浜銀とGMOペイメントが、預金口座と連動して即時決済できる専用アプリを開発。アルメックスの自動精算機に表示したQRコードをアプリで読み取ると、支払う医療費を表示する。金額を確認して承認すると、自動精算機が医療費控除の申請に必要な領収書を出力する。自動精算機ではスマホを通じた現金の引き出しもできる。まず18年度に神奈川県内の医療機関約50カ所で試験的に導入。その後、団塊の世代が75歳以上になる25年度までに全国750カ所に広げる。スマホ決算サービスで横浜銀との協業を決めた福岡銀行など地銀十数行に広げたい考えだ。
今回の仕組みで、患者やその家族は支払い手続きの効率化に加え、夜間などに急な診療が必要になった場合にも手持ちの現金の心配をしなくても済む。病院側にとっては人件費や手数料などのコスト負担を減らせる。例えば患者がクレジットカードで入院費用を支払う場合、病院はカード会社に金額の数%を手数料として払う。高額になるほど手数料が増える。今回は金額でなく件数で手数料を設定し、1件あたり50〜150円とカード払いより割安にした。
独立行政法人の福祉医療機構によると、人件費の増加などで15年度は一般病院の約4割が赤字。16年4月の診療報酬改定も収益を圧迫し、今後も赤字割合は増加傾向が続くとみられる。手数料などの負担を減らすことで、病院経営の効率化につながる可能性がある。今回の仕組みが実現したのは、4月の改正銀行法施行で、スマホを通じた現金引き出しなどが可能になったことも背景にある。金融庁は金融とIT(情報技術)が融合したフィンテックの推進を後押ししており、スマホなどを通じた新しい決済の仕組みは今後も生まれる可能性がある。
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6.歯科用貴金属価格、10月に2品目を改定
7月12日 厚生労働省 |
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000170684.html
第356回中医協総会が7月12日、厚労省内で開催され、歯科用貴金属価格の随時改定について協議し、2品目の告示価格を今年10月から改定することを了承した。
今回の改定では、「歯科鋳造用金銀パラジウム合金(金12%以上JIS適合品)」を1279円から1414円に、「歯科非鋳造用金銀パラジウム合金 板状(金12%以上JIS適合品)」を1186円から1350円に、それぞれ告示価格を改める。歯科用貴金属価格は平成22年4月より、素材(金、パラジウム、銀)価格の変動幅がその時点の告示価格の±5%を超えた場合に、診療報酬改定時以外に6カ月ごとに見直しを行っている。
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